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461 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2010/10/18(月) 04:22:59 ID:bYiAGr/AO
「にゃー(眠い…)」
「どうしました、馬鹿猫?」
「にゃー(いや幻聴なのか部屋の中だと、ずっと耳なりみたいのが…で、寝不足というか快眠出来ずで)」
「先程までグッスリと寝てたじゃないですか、ペッチャンコで」
「にゃー(あれは寝てたんじゃなくて死んでたんですよ)」
「どっちでも一緒でしょ馬鹿猫に取っては、では11桃香ですよー」
「にゃー(個猫的には割と深刻な問題なんですけどね〜)」
462 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:24:41 ID:bYiAGr/AO
「許しませんよ!!」
ドンッ!!
青龍偃月刀の石突きを地面に叩き付けながら最後まで反対する愛紗。
「第一に人材不足なのは孫呉だけではありません!我らとて深刻な人材不足でしょう」
今、愛紗が言ったことは咄嗟に出た苦し紛れでもなんでもない。
事実、桃香が徐州の州牧に任命され下準備が整い。いざ、これから政を開始って時に袁術の来襲。
取る物も取り敢えず、慌てて迎撃し撃退して帰ったら戦後処理とやりかけの政が待っているのでいる。
「そうね確かにそっちも人材不足かもしれない、でもね関羽?おそらくあなた達だと『ご主人様〜』とか慕ってるから間違い無く甘やかしちゃうでしょう。そしたら偉大な人物になる可能性を潰しちゃうかもしれない。
 鉄は熱いうちに打てって言うじゃない、だ〜か〜ら〜私に貸してみなさい。四ヶ月後には立派にして返すわよ〜、人としても男としても♪」
「なっ!男としてもとはどういう意味だ孫策!?…」
雪蓮の台詞にますます警戒心を強める愛紗をよそに蠢く陰謀が一つ。
「(ご立派なご主人様…そしたら私と雛里ちゃんとで政治面に軍略面と三人で支え合う仲に…で、執務室に入り浸りに?または軟禁!!監禁!?)…はわわ!」
463 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:26:24 ID:bYiAGr/AO
思いに耽っていたところに袖を引っ張られ驚いて小さい悲鳴を上げてしまう朱里、そこには軍師としても親友としても有一無二の知り合いの姿が有り小声で話かけられた。
「…朱里ちゃん、朱里ちゃん。ご主人様はいくら鍛えても流石に武芸の方で戦線にて活躍って無理だよね?…」
ここから策士と化した二人は目と多少の手振り身振りの会話に切り替えた。
「(だと思うよ…)」
「(なら、やっぱり政治・軍事方面での活躍だよね)」
「(それしかないと思う、私も今それを考えてた)」
「(なら、なら。朱里ちゃんと私とご主人様三人で政務のお仕事の為にほぼ三人一緒?)」
「(そうだと思うよ、それどころか仕事量によっては三人で執務室に籠もってそのまま♪とか)」
「………!(キャー!?)」
歴史上、一人で天下を取れると唄われた天下の名軍師二人が全力で策を巡らした。
そして二人のうち先に口を開いたのは朱里だった。
「まあまあ、愛紗さん。よろしいのではありませんか?」
「何処がだ、朱里よ!?」
「実際問題としましてわ、私達が組織として発足したのがあまりに日が浅過ぎます」
それを反対側の雛里が答えた。
「だからなんだと?」
と、反論する愛紗に次は朱里が語る。
464 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:28:59 ID:bYiAGr/AO
「孫策さんのところですと組織としての規模も年季も違い、ご主人様がやろうとしたり・やりたがっている天の知識などを応用した行事や政を順調に事を進めてくれるかと」
またも雛里が喋る。
「次に徐州と揚州では広さが違います」
「それならば狭い方が目が行き届いて良いでわないか」
と愛紗の反論も。
「いえいえより広い揚州ならば、ご主人様の天の知識が役立つ機会が多大に増えるかと」
と、あっさり返す朱里。
ひょこり愛紗に近づいた雛里が愛紗に耳打ちをする。
「…始めは勝手も分からない問題が後から山積みになりだした頃、揚州から帰って来たご主人様が効率よく徐州で大活躍しますよ愛紗さん…」
「いや、しかしだな…」
愛紗が思いの外、首を縦に振らなかった。
そしていつの間にか近づいた朱里も耳打ちを開始する。
「…愛紗さん。ご主人様が一回りも二回りも成長して帰って来た暁にはより一層政務に励んでもらいます…」
反対側から雛里が。
「…そしたらご主人様は政務室に籠りきり、勿論我々の最重要人物なんですから護衛の方もそれなりの方を…」
「…さすればその方とご主人様は執務室で二人っきり…」
「…そこから先は言う必要は無いですよね…」
465 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:34:22 ID:bYiAGr/AO
二人の甘言に一刀と執務室で二人っきりになった時を想像して少々顔が崩れる、軍師二人は愛紗が護衛だとは一言も言ってないが・・・しばらくの沈黙の後。
「うぬ、外に出て見聞を広めるのも良いかもしれぬ。大敵袁術を退け、強国になった孫呉と親しい我等においそれと戦を仕掛ける者もそうそうにいないだろう…」
愛紗が悪魔の誘惑に陥落した瞬間だった。
・・・
・・

とにかく一刀が揚州に行くことは決まったのだが、誰が護衛に付くかでまた揉めるのだった。
「ご主人様には確実に安全な護衛が必要だ。なので、護衛は是非とも私が承ろう」
「はわっ!何を言ってるんですか?私達は人材不足だとたった今、ご自分で仰ったばかりじゃないですか。将軍の愛紗さんは却下です」
「ぬぬぬ…」
本気で悔しがる愛紗の横から次の立候補者が現る。
「じゃあじゃあ!鈴々が行くのだー」
「鈴々ちゃんも我が軍の立派な将軍です、軍部で絶対外せません!」
「ぬー、朱里は意地悪なのだ!」
「そう言う問題じゃありません」
言われもない言い掛かりに朱里は反論し、次の候補者が。
「だったら、だったら」
「桃香様は論外です〜!」
「第一桃香じゃ、護衛は無理だろ」
と、一刀からも的確な突っ込みが入り。
「ええっ〜」
と、桃香の反論もみんなの笑い声で消えてしまった。
466 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:38:23 ID:bYiAGr/AO
なにやら部下と真面目に自分が居なくなったな時の話をしながら、然り気無く遠出の仕度をしている者まで。
「あっ、星さん。抜け駆けは駄目ですからね」
「チッ!!」
軍師ズに行動を見抜かれてて、きっちり釘を刺されて舌打ちをする星。
「・・・・・」
「白蓮さんも騎馬隊の育成には絶対外せませんし〜」
「ですよね〜」
分かっていながらも普段の影の薄さから“もしや?”と淡い期待もあっさり裏切られる。
「なんだったら親睦を深めるのも兼ねて呂布に護衛を頼んだら?うん、凄く良い考えよね私」
つい先程まで殺そうとしていた相手の護衛をさせるなんて無茶苦茶な考えを思い付く雪蓮、当然反対意見が飛ぶ。
「・・・・・」
また、なにやら呂布の方もあまり乗り気じゃないらしく、妙に落ち着きが無くなっていた。
あたかも早くなにかを確かめたいような感じで。
そこに飛び出して来た小さな影が一つ。
「ワンッ!」
「・・・セキト!」
「そうでした、恋さんの処のご家族はみなさん無事ですよ。詠ちゃんの進言をご主人様が受け入れてくれましたから、ここには来ていませんけどきっちりご主人様が保護してくれてます」
現れた犬はセキトと言い、いつの間にか月達の馬車に潜り込んでたらしく既に引き返せない所で気が付いて仕方なく連れてきたのだ。
467 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:41:25 ID:bYiAGr/AO
「・・・みんな無事?」
「はい、皆さん無事で元気に暮らしてますよ」
再度、一刀の方を向いた呂布が。
「・・・恋」
「ん?」
「・・・恋の真名」
「俺なんかに預けてくれるの?」
「・・・コクッ。月と詠、助けてくれた。・・・セキトと家族、ねねも助けてくれた。恋の真名ご主人様に預ける」
「ありがとう。じゃあ恋の真名、大事に預からせてもらうよ」
「じゃあ恋さん、ご主人様の護衛もお願いできますよね」
「・・・月のお願い、ご主人様の護衛も頑張る」
「なら一刀の護衛も決定!!支度が済みしだい江東に向けて出発!?」
「なっ!恋殿が行くならねねも付いて行きますぞー」
こうして更に一人付いて来て将と軍師は決まった、兵は一刀の親衛隊と恋の兵士達から比較的元気な者を混成した部隊を急遽作成、そこそこの部隊にして決定した。
◇ ◇ ◇
こうして建業に向かっているのだが道中もそれなりに波乱だった。
セキトが消えて捜すうちにセキトと共に軽い崖から落ちたり、恋と仲良くしようとするとねねの妨害が入るのがいつの間にか日常となってそれが一種のコミュニケーションに成っていたり。
懸念していた“先日まで敵同士だったから相容れぬ”な事態は起きなかったのが一刀に取って嬉しかった。
468 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:44:36 ID:bYiAGr/AO
上が仲が良いと自然と兵士達の方もそれなりに仲良くするのか、目立った揉め事も無く順調に軍隊として機能していた。
そんでまたある別の日。
「で、一刀。建業に着いたらなんだけどさ」
「何?当初の呼ばれた理由通りにやれるだけのことはやるよ、ただしだいぶ勝手が違うだろうからやり始めはおろか全体的に役に立つかどうか判らないよ?」
「そこら辺は大丈夫よ。ばっちし役に立つでしょうし、万が一に駄目でも役に立たせるわよ」
「うわ怖っ、駄目な時は強制かよ。しかし普通に役に立つと言う根拠は?」
「う〜ん、勘かな?」
「・・・やっぱし」
「それよりもカズト〜こっちの世界に来てから私とはまだなんだよ分かってる?」
「そりゃ〜こっちの世界で多少なり余裕持って行動出来たのが今回が初めてなんだから・・・そのなんだ、それが普通だろ」
「あら、余裕なのね?でも私は一刀に対して余裕無いの、付いたその日の夜は寝かさないわよ♪」
「そん時はお手柔らかに」
余裕な振りをしているが本当は嬉しさと期待が体内で暴走していた、そして雪蓮の告白に内心凄く照れてもいる。
「で、私だけでなく可能なら…いえ、必ず孫呉の武将も口説いて回りなさい」
「えっ、なんでそっちも強制決定なの?」
469 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:47:37 ID:bYiAGr/AO
「あらっ嫌だ?一刀ったら、強制じゃないわよちゃんと口説き落としてから、しっかり子供を作れって言ってるの。無理やりでやったりしたら切り落としてやるんだから…どうせ、劉備の陣営でも愛を振り撒いているのでしょ」
「…否定はしないよ、既にそういう関係になっているのも何人かいるし・・・だけど今回の陣営は蜀で目的は桃香の理想を現実化する為、場合によっては水と油を混ぜなきゃいけない作業が待っているんだから…
 優先的にするのはきついかな?でもなんでそんな話するの?」
「現世でね…いや、あっちの世界の学園の博物館で南海覇王に触れた時に流れてきた蓮華の想い…」
「?」
「凄く幸せそうだった…違うわね間違い無く幸せだった。幸せなみんなの顔を見たらね、この世界のみんなも幸せにしたくなるじゃない(それに駄目かもしれないけど今回は私も一刀の子供が欲しいし)
 だからよ、だからみんなに女の幸せを教えてあげなさい♪」
「はいはい、分かりました雪蓮含めてみんな幸せにするために頑張りますよ」
心を見透かされたみたいで一瞬驚いた雪蓮だが直ぐに心が通じたと判断して嬉しくなった。
「なら普通に接してくれればそれで良し!それで問題無いでしょう。後、呂布と陳宮にもしっかり接してあげなさいよ」
470 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:49:36 ID:bYiAGr/AO
「恋とねね?恋は特にセキトとの崖の一件で更に仲良くなったし、ねねに関しても普段恋と関わった時にコミュニケーション?一方的の虐待だけどそう悪くない雰囲気だと思うよ。まあ恋の食事が全てを癒やしてくれるよね」
「そうね、恋の食事はある意味、反則よね〜」
自分の話題が出て反応する恋。
「・・・ん?」
「なんでもないよ、みんな仲良くしようね、って話し」
「・・・コクッ」
恋の視線は再び前方に戻り一刀も再び視線を雪蓮に戻す。
「恋達と仲良くするのは当たり前として、なんで念を押すような問を?」
「う〜ん?手っ取り早く安心確実に大陸に平穏をもたらす為の布石?」
「なんで疑問符?」
「そりゃ〜やっぱり、一歩間違えたら大陸平和はおろか、全土を巻き込む争いの原因に成りかねないから?」
「そこで更に疑問符?・・・まあ、そうなのかな。アハハ…」
途中から気付いたのか心当たりが有りすぎる一刀は苦笑いをするしかない。
「ところで曹操とはどうするの?」
「どうするもこうするも、目指す為の道が違うだけで目指すべき場所は一緒なんだから話し合うつもりだよ。ただやはり華琳の性格を考えれば一度は雌雄を決する必要が有ると思う。
 それからじゃないととてもじゃないけど話すら聞いてもらえないと思うんだ」
471 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:51:39 ID:bYiAGr/AO
「そう、なら私も手伝わないといけないかしら」
「雪蓮ごめん、それは辞退させて」
「あら、ど〜して?」
「う〜ん、上手く言えないんだけど…今いる陣営?俺と桃香達だけでなんとかしないと華琳に届かないって言うか…他人の力を借りなきゃ駄目な輩の話なんか端なら聞く気無さそうじゃん、華琳って」
曹操の性格をよく理解しての発言なのだろう“話を聞いてもらいたいなら一度は己の力で屈してみせなさい”との曹操の性格が伝わる。
「そう、だったら一刀の意志を尊重してこちらからの戦いは控えるし一刀達の戦いにも手を出さない。もとより私達孫呉は、無節操に攻める気は無いから…でも一刀、曹操から噛みついて来た時は話は別よ!
 孫呉は仲間を傷つける者は何者でも許さない、絶対に…」
「まあ、その時はしょうがないよね…」
返事する一刀の顔が突然曇りだす。
「どうしたのよ一刀暗い顔して、曹操も馬鹿じゃないんだから無意味には仕掛けてこないでしょ。そんなんじゃ話聞いてくれないぞ一刀」
「そうだねごめん雪蓮」
「・・・所で一刀?」
「ん、何?」
「曹操の真名だけど、やたらと口に出すのは控えた方がいいわよ。どんな形であれ、いざ対面した時にうっかり真名なんか口にしたら殺されるわよあなた」
472 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/18(月) 04:54:01 ID:bYiAGr/AO
何故か一刀は無意識に雪蓮と二人きりに近いと曹操のことを真名を呼んでいた、それがまた雪蓮を微妙に苛つかせる。
「ははっ、そうだね気をつけるよ、忠告ありがとうな雪蓮(曹操・・・曹操・・曹操、と良しっ!気をつけよう)」
気持ちを新たにして曹操に対する呼び方も改めた一刀。
「どういたしまして、ただ単に三国が平定なり統一したとしても最後の会見なり尋問等で…」
話の途中の『尋問は無いな〜』と考えながらも黙って話を聞き続ける。
「…真名の件でもし曹操が一刀を殺しちゃったら猫被ってる意味無くなっちゃうのよ。まあ、その時は蜀・魏、皆殺して大陸の覇者かな〜」
「・・・冗談でもそんなこと言って欲しくないな、雪蓮」
突然に真剣な顔になって雪蓮に語りかける一刀。
「(別に冗談じゃないんだけどな〜)はい、はい。分かったわよ、ごめんね一刀」
真剣な一刀に謝って場の空気を和ませるしか選択がなくなった。
そんなやりとりをしていると遠目にうっすらと目的の地、建業が見えて来た。
到着まで後、二・三日な距離まで迫っていた、そして出迎えの部隊だろう前方に周の旗印を翻した一団が待っていたのだった。
473 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2010/10/18(月) 04:57:37 ID:bYiAGr/AO
「にゃー(マズいな〜)」
「なにがです?」
「にゃー(いや、家賃更新なんすっよ)」
「今働いてなかったですよね馬鹿猫」
「にゃー(あーコレクション売らなきゃ、あっこんな早朝、万が一ご静聴してくださった方いたらありがとうございます)」
「ではでは」

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