- 857 名前:メーテル ◆999HUU8SEE [sage] 投稿日:2009/02/04(水) 00:04:09 ID:Ui+suVza0
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>>856
乙よ……
ふふっ、やはり風はいいものね。
わたしの名はメーテル……恵方巻を食べる女……
即席でささっと書いたものだけど、十分後に投下を開始するわね、鉄郎……
- 867 名前:真・恋姫無双 外史 「美羽と七乃と恵方巻」(1/3)[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 00:14:28 ID:Ui+suVza0
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「七乃。それは一体何なのじゃ?」
その日、七乃が美羽に持ってきたのは一枚の皿と、その上に置かれた長細い何かであった。
「これはですねー。一刀さんに教えて貰った、天の国の食べ物なんです」
「おおっ。天の国の食べ物じゃと!?」
玉座の上でそれを聞いた美羽は、身を乗り出して目をきらきらと輝かせた。
美羽はこれまで古今東西の様々な美食を口にしてきた結構な美食家でもある。
だが、天の国の食べ物というのは食べたことがない。
興味津々なのも当然であろう。
「はいー。恵方巻と言うらしくて、天の国ではこれを今日食べると、とても縁起が良いそうなんです」
そう、今七乃が手にした皿にのっているそれは、一刀の世界で最近流行りのアレ。
恵方巻というものである。
七乃の手で再現されたそれは、形だけなら一刀が見ても完璧と判ずる程の出来映え。
違うのは一刀が思っていたサイズよりも、ほんの少しだけ大きいことくらいで、他は実にそっくりだった。
「それでですね。是非ともこれをお嬢さまに味わって貰おうと思いまして、お作りして持ってきたのです」
そう言って笑顔で七乃は皿を差し出す。
美羽は嬉しそうにそれを受け取ると、上から下から、物珍しそうに目の前にある物体を観察した。
「ほー。これは随分と変わった食べ物じゃのぅ。して、どうやって食べるのじゃ?」
「はいー。端っこの方から口に入れて、少しずつはむはむと食べちゃうそうです」
「なんとっ!? それでは息ができんではないかっ!?」
そう言った美羽の手から、驚きのあまりに皿がこぼれかけるが、とっさに手を伸ばした七乃が受け止めた。
- 868 名前:真・恋姫無双 外史 「美羽と七乃と恵方巻」(2/3)[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 00:17:38 ID:Ui+suVza0
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「いえいえー、息は鼻ですれば良いんですよ、お嬢さま」
「む、むむむ、そうであったな。……ときに七乃、これには蜂蜜は入っておるのかえ?」
「いえー。入っていませんが、食後の甘味として蜂蜜たーっぷりのお茶を用意してありますよー」
「そうかっ! さすが七乃、分かっておるな! そういうことなら七乃が作った天の国の料理、食べねばなるまい」
そういって美羽は再び皿を手にした。
そして、
「うむ、それでは食べるぞ……」
そういって、ごくりとつばを飲み込み、恵方巻を掴み、口へと持って行く美羽
それをわくわくといった表情で七乃は見つめている。
と、そこで美羽の手が止まった。
「のう、七乃……これを食べるときは、大きく口を開けねばなるまい?」
「はい、そうですね。お嬢様」
「その……それは、妾には、少しはしたないように思えるのじゃが……」
そう言って、恵方巻がのった皿を、すすすと離す。
するとすかさず、七乃がフォローを入れた。
「いいえー、そんなことありませんよ、お嬢さま。むしろお嬢さまのような高貴な生まれの気品溢れるお方だから、許されるんですよっ。そりゃあ、袁紹さんところの文醜さんあたりが囓ったらはしたないし、見苦しいかもしれませんけど、お嬢さまなら万事大丈夫ですよー」
「ほ、ほんとかえ……?」
「ええ、ほんともほんと、全然大丈夫ですよー」
「そうなのかの……?」
「そうですよー」
「……ふむ。七乃がそう言うのじゃから本当なのじゃな……」
「はいっ。さすがお嬢さま、決断がはやぁいっ! よく考えてないだけの決定に時間なんていりませんものねっ。いよっ、神速の決断力ー」
「うむっ、そうであろうそうであろう! よし、七乃、妾はこれを食べるぞっ!」
「はーい。私はここでお嬢さまが喉を詰まらせたりしないか、しっかりと見守らせて頂きますねっ」
- 869 名前:真・恋姫無双 外史 「美羽と七乃と恵方巻」(3/3)[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 00:20:57 ID:Ui+suVza0
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美羽は差し出された皿から恵方巻を受け取り、一つ深呼吸をした。
一方七乃は皿を持って半歩下がり、美羽の赤子のように瑞々しい唇に注目する。
「い、いくのじゃ……」
そう言って、美羽はその端の部分を、ぱくりと咥え込んだ。
そしてそのまま、もぐもぐと口を動かして長い恵方巻を端から咀嚼し始める。
「ははの……はへふはひほひゃは……」(七乃、食べづらいのじゃが……)
心なしか不安な顔をした美羽が言う。
それに七乃は頬を紅潮させながら答えた。
「あ、お嬢さま。言い忘れましたが、恵方巻というのは一度口に入れたら最後まで離さずに食べないととても縁起が悪いそうですよ」
「はんほっ」(なんとっ)
七乃の言葉を聞いた美羽は、仕方ないという様子で、ゆっくりと端からはむはむと食べていく。
「ははのほれ……ほほきふひるほふぁ……」(七乃のこれ……大きすぎるのじゃぁ……)
美羽は太く大きな恵方巻を、可愛らしい口一杯に頬張っている。
目には小さく光る、涙を溜めて。
「お嬢さま、がんばってー」
そのような様子を見ながらそう声援を送る七乃。
しかし、その胸中では、
(もぅ、お嬢さまったら、すっごい可愛らしいですよぉ。ああっ、お嬢さまが……私の恵方巻を、あんなに苦しそうに頬張って……大きくて太くて、固い恵方巻を……。……あんっ、そう思うだけで感じ過ぎちゃいますぅ)
そんなことを思いながら、七乃は顔を赤くして身もだえするのであった。
終
- 871 名前:メーテル ◆999HUU8SEE [sage] 投稿日:2009/02/04(水) 00:25:43 ID:Ui+suVza0
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わたしの名はメーテル……即席で書いたものを投下し終えた女。
そのままな話だけれど、書いてみたわ。
さ、そろそろ停車時間も終わり、列車に戻るわよ、鉄郎……