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92 名前:ガルルガ[sage] 投稿日:2009/01/26(月) 01:19:45 ID:WOCWSsvh0
真夜中も良いところですが、三分後に亞莎SS第四段を投下します。
時間軸はいつもの通り、滅茶苦茶ですが、御勘弁を。

小ネタ的な感じが強いですが、楽しんで頂ければ何よりです
94 名前:ガルルガ【替えの眼鏡1/4】[sage] 投稿日:2009/01/26(月) 01:24:13 ID:WOCWSsvh0
今私の眼の前には、以前一刀様に勧められたものの、購入しなかった“ある物”が置いてある。
ですがつい先日、私は無けなしの勇気を振り絞り、一生懸命貯めた御金でこれを購入しました。

購入した後、物凄く後悔の念に苛まれましたが、根拠の無い自信で自分を奮い立たせました。
あの時はまだ私自身が、北郷一刀様と言う偉大な御方に全く慣れていなかっただけの事です。
けれど――今は違います。

一刀様とは毎夜勉学をしています。共に市へ買い物に行ったりもしました。
ごま団子を2人で作ったりもしているし、そして……その……男女の営みも……

と、とにかく……これだけの実績を持つ私が、今更躊躇う理由はありません。
ええ、きっと大丈夫です。実らない努力はこの世に存在しないのですから!

「そ、それでは……いきますッ!」

私はそれを手に取り、今付けている片眼鏡を外しました。
そして――新しく購入した眼鏡をゆっくりと掛けました。

素晴らしいです! 世界がこんなにも広く見えます。
片眼鏡の時とは違い、物もハッキリよく見えていて感激です。
こ、これで……遠目でよく見えなかった一刀様の御顔も……

「ううん……まだ安心しちゃ駄目。ちゃんと一刀様の御顔を見れて、初めて合格なんだから……」
96 名前:ガルルガ【替えの眼鏡2/4】[sage] 投稿日:2009/01/26(月) 01:28:13 ID:WOCWSsvh0
いつもと違う私を見て、一刀様とは何と言うだろうか。
に、似合っていると、言ってくれるでしょうか……?
私は大きく高鳴る胸を押さえつつ、部屋を出ました。


――――――――――


「あっ! 亞莎じゃないですか!」

部屋を出て一刀様を探す中、最初に出会ったのは親友の明命でした。
いつものように優しい笑顔を浮かべる彼女は、見ているだけで心が和みます。
どうやら訓練が終わり、一休みをしている最中だったようです。

「あれ……? 亞莎、いつもと何か違う感じが……」
「わ、分かりますか……」
「はい……あっ! 分かりました。眼鏡を変えたんですね!」
「正解です。以前一刀様に勧められたのを、購入して掛けてみたんです」
「そうなんですか。一刀様、ちゃんと亞莎に合ったのを選んだんですね」

そう言うと、明命が物珍しそうに私を見てくる。
いや、眼鏡を見ているのは分かるのですが……
こうジロジロ見つめられると、何となく気恥ずかしいです。

「一刀様もやるのです! 良かったですね、亞莎」
「はい……ところで明命、一刀様は今何処に――」
「ん? 俺に何か用? 亞莎」
98 名前:ガルルガ【替えの眼鏡3/4】[sage] 投稿日:2009/01/26(月) 01:32:15 ID:WOCWSsvh0
私が明命に一刀様の所在を尋ねようとした時、背後からとても聞き覚えのある声が……
正体はすぐに分かりました。私の探していた御人が、一刀様がすぐ後ろに居る。

「あっ! 一刀様! 丁度良かったのです!」
「えっ? 丁度良かったって、何が?」
「亞莎が新しい眼鏡に掛け替えたのです! 一刀様も見てあげて下さい!」

み、明名〜〜〜ッ! そ、そんな事は別に言わなくても……!

「へえ、そうなのか。亞莎、顔を見せてよ」
「う……あ……は、はい」

すぐ後ろに……一刀様の御顔がある。この眼鏡ならハッキリと見えてしまう。
以前のような失態は一刀様にも、そしてこの場に居る明命にも見せたくない。
私は秘かに息を深く吸い込んだ後、ゆっくりと後ろへ振り返った。

「うわっ! スゲェ似合ってる! 亞莎は眼鏡ならそれが一番似合うよ!」

一刀様がまるで、自分の事のように喜んでくれている。
そう言ってくれて、私はとても嬉しいのですが……その……
や、やっぱりこの眼鏡では、御顔が眩しすぎます……!?

「やっぱり一刀様もそう思いますよね? 亞莎はとても似合っているのです!」
「ああ、とても似合ってるよ。亞莎、以前より良く物が見えてるだろ?」
「あ……あ……う……」
99 名前:ガルルガ【替えの眼鏡4/4】[sage] 投稿日:2009/01/26(月) 01:35:21 ID:WOCWSsvh0
こ、言葉が上手く口から出ません。
い、いけません。このままでは……

「亞莎……?」
「どうしたですか亞莎。御顔が真っ赤です」

分かってます……分かってはいるのですが……!

「あ……う……お、御顔が……まぶ……しい……」

あ……身体中から力が抜けていく。足にも力が入りません。
そして――力が抜けた私の身体はゆっくりと崩れ落ちていきました。

「あ、亞莎ッ!? 大丈夫かッ!?」
「亞莎ッ!? 傷は浅いのです! しっかりするです!」

地面に落ちようとする私の身体を、一刀様が抱き止めてくれました。
でも……その御蔭でより、一刀様の御顔が私の顔に近づいて……
も、もう……限界です……一刀様……



こうして、ある意味で(嬉しい)生き地獄を味わった私は、この眼鏡を封印しました。
未熟な私が一刀様の御顔の輝きに慣れる時まで……この眼鏡は掛けない事にします。
はあ……一刀様。
100 名前:ガルルガ[sage] 投稿日:2009/01/26(月) 01:38:31 ID:WOCWSsvh0
以上です。オチが弱くてすいません……。
支援、ありがとうございました。

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