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335 名前:ガルルガ[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 00:00:47 ID:P+533dVh0
場が袁術や風などに染まっている中、三分後に亞莎SS第三段を投下。
空気が読めなくてホントにすいません……。

甘めに書いたつもりですが、表現出来ているか不安です……。
336 名前:ガルルガ【逢いたい気持ち1/4】[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 00:04:13 ID:P+533dVh0
瞼を閉じては開け、閉じては開け――そんな動作を繰り返した後、私は布団を退け、身体を起こした。
空に浮かぶ月の光で多少は明るいが、外はもう真っ暗。いい加減寝なければ明日に差し支えてしまう。
だけど眠れない。その理由はとても単純な事でした。

一刀様に逢いたい――只それだけの事。

一刀様とはつい先程、勉学の時間を終えて別れたところです。
私は彼と約束した通り、明日の為に寝ようと、素直に寝台に身を預けました。
疲れていたし、眠りにつくのも時間は掛からない――そう思っていました。

「どうしよう……」

でも別れ際、一刀様が言った「お休み」の一言が、眠ろうとする私の頭を巡ります。
ゆっくりと休み、明日になれば、また普通に一刀様と御逢い出来ると言うのに……。
別れ際の一言が急に寂しく感じてしまって……逢いたくなってしまったのです。

――あの人に逢いたい

――あのひとにあいたい

――アノヒトニアイタイ

首を振り、忘れようとしても、もうこの想いは抑えられない。
自分がとても卑しく思えてきて……涙が出そうになりました。

少し前までの私なら、こんな事態は考えた事がありませんでした。
まさかこんな自分に……逢いたくてたまらない人が出来るなんて。
338 名前:ガルルガ【逢いたい気持ち2/4】[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 00:07:57 ID:P+533dVh0
呆れられても構わない。あの人の御顔が一目見られるなら……
そう決意した私は燭台を持ち、刺さる蝋燭に火を灯しました。
外していた片眼鏡を掛け、帽子は……必要はないですね。

部屋を出る準備を整えた私は、ゆっくりと扉の取っ手を握る。
自分の胸が、異様に高鳴っているのが嫌でも分かる。
これは焦る気持ちなのか、それとも大きな恐れなのか……

そしてゆっくりと扉を開けた私は――石のように固まってしまった。

「「あ…………」」

思わず手に持っていた燭台を落としそうになる私。
何故なら眼の前には、今から私が逢おうとしていた御人が。
逢いたくてたまらなかった御人が、眼の前に居たのだから。

「や、やあ……亞莎」
「か、か、か、一刀様……」

ぎこちない挨拶に、同じような態度で返す私。
駄目です……まだ眼の前の光景が理解出来ていない。
どうして一刀様がこんなところに居るのか……。

「ど、どっか出掛けるの? こんな夜遅くに……」
「あ、あの……私は、その……一刀様こそ、どうして……?」

私が訊くと、一刀様は頬を掻きながら言いました。

「……何だか無性に逢いたくなったんだ、亞莎に」
340 名前:ガルルガ【逢いたい気持ち3/4】[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 00:11:05 ID:P+533dVh0
信じられなかった。一刀様が私と同じように……
私と同じような気持ちになっていたなんて……
偶然か、奇跡か、でもそんな事はどうでも良い。

「あ、あははは……俺、何言ってんだろうな。今のは忘れて――」
「お、同じです……」

胸の高鳴りが抑えられないくらいに――嬉しかった。

「亞莎…………?」
「わ、わ、私も……同じです……」
「えっ……? 同じって……」
「私も……か、一刀様と御逢いしたくて……今から……その……」

顔がとても熱い。恐らく真っ赤に染まっているだろう。
けど私と同じように、一刀様の御顔も赤くなっていた。
その後、一刀様と私は御互いに喋らず、淡々と時が過ぎていきました。
話す切っ掛けを見つけられない自分が、とても情けなく思えました。

そんな気まずい空気が流れる中、一刀様が私の頭に手を優しく置いた。

「じゃあ、今日はもう遅いから……」
「は、はい……そうですね。もう遅いですし……」
「うん。また明日、な? 亞莎」

そう言って笑顔を浮かべる一刀様に、再び寂しさを感じる私。
少しだけでも話せていたら――今更遅い後悔が私を襲いました。

「そうだ……亞莎」
342 名前:ガルルガ【逢いたい気持ち4/4】[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 00:14:23 ID:P+533dVh0
自室に帰ろうと背を向けた一刀様が、また私の方に向かってきます。
何か言い忘れてしまった事でも――そう私が何となく思った時……

「あ…………」

一刀様の御顔が迫り、温かい感触が私の額に伝わった。
何が起こったのか、一瞬私には分かりませんでした。
でも一刀様が離れた後、額に残る温かさと感触の正体に気付いて……

「か、か、か、一刀様……!?」
「ごめん……一応、お休みって言う言葉の代わり」

一刀様に口付けをされた……それも不意打ち気味に。
嬉しさと恥ずかしさが入り混じって、訳が分からなくなる。

「じゃ、じゃあ俺はこれで……!」

慌てたように背を向け、自室に戻っていく一刀様。
あの人に眼に、今の私はどう映ったのだろう。
口付けをされた額を、ゆっくりと指でなぞる。

まだ……微かに温かい。

顔はまだ熱い。けれど自然と笑みが浮かんでしまう。
先程感じた寂しさは、とっくに無くなっていた。
何故かは分からないけど、この後はよく眠れそうな気がした。
344 名前:ガルルガ[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 00:17:22 ID:P+533dVh0
以上です。御後が宜しい……ようで?
毎度、支援ありがとうございました。

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