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697 名前:21[sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:25:32 ID:en7NqD630
こんちわーっす
袁術ルートですが問うか大丈夫ですか?
699 名前:21(袁術ルート 1/7)[sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:30:00 ID:en7NqD630
───南陽・玉座の間

「お嬢さま〜 美羽お嬢さま〜 」
パタパタと足音を響かせながら七乃が玉座の間に現れた。

「どうしたのじゃ 七乃」
玉座に腰掛けた美羽が七乃に声をかける。

「いま一刀さんが孫策さんたちを連れて戻ってきました〜♪」

「うむうむ、でかしたのう一刀。さすが妾の見出した家来じゃ」

「ですです♪ 勇猛をもってなる孫家が美羽様の軍団に入れば
 美羽さまの敵はないですよ♪」

「文字通り妾の軍団は無敵ということじゃな!」

「常勝不敗の絶対無敵ですよ! せいぜい孫策さんたちをこき使ってあげましょうっ♪
 よっ 最年少の荊州王! 劉表さんなんか目じゃないぞ!」

「うはは− これで妾は荊州王間違い無しじゃー♪」

「それじゃ早速一刀さんと孫策さんたちをお呼びしますね♪」

「うむうむ。 一刀にも皆の前でご褒美をあげねばの!」
700 名前:21(袁術ルート 2/7) [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:30:44 ID:en7NqD630
───玉座の間、外

「・・・・・・なんか馬鹿笑いが聞こえるわね。」
孫策さんが不機嫌そうにつぶやく。

「・・・内容までは聞き取れないが、何を話しているかは大体予想が付く。」
周瑜さんが半ばあきれながら、こちらを伺う。

「・・・まあ、何とかしてみせるよ」
美羽さえ説得できれば、七乃さんは強く反対する事はないはずだ。
・・・・・・だと思いたい。

「・・・・・・期待してるわよ。天の御遣い君?」

プレッシャーかけないでよ

「それでは一刀さん、孫策さんご一行さま、美羽様の御前へ〜♪」
七乃さんのお声がかかる、いよいよだ。


左右に袁術軍の主だった将たちが居並ぶ中、孫策さんたち三人は
ひるむ様子もなく堂々と歩を進める。

「ただいま戻りました。」
他の家臣たちの手前もあるし、主君袁術への礼をとる。

「うむ、ご苦労。堅苦しいのは抜きでよい。」

「一刀さん大手柄ですね♪」
二人はご機嫌の様子、まあ無理もないよな。
701 名前:21(袁術ルート 3/7) [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:31:13 ID:en7NqD630
「では一刀、早速仔細を報告するのじゃ♪」
満面の笑みで言われ、少し怯むが、もうあとには退けない。
やるしかないんだ。

「そのことなんだが美羽、落ち着いて聞いて欲しい。」

「うむうむ。妾はいついかなるときも冷静沈着であるぞよ♪」

「俺は孫策さんたちを、美羽の家来としてではなく
 袁術軍に賓客としてお迎えしたんだ。」

「な、なんじゃとー!?」
「えぇぇ〜!?」
美羽も七乃さんも驚きの声をあげる。
そりゃそうだろう、配下に誘えと命令したはずだし。

「勝手に決めたのは謝る!でも最後まで話しを聞いてくれ!」

「ばかものぉっ! そ、そなた何をやっておるのじゃ!
 せっかく妾が手柄を立てる機会を与えてご褒美まで用意してやったにっ!」
「そうだそうだー」
美羽が怒ってる。うわ、目に涙まで浮かべてるよ。
それに七乃さんが合いの手を入れる。
 
「わかってる。孫策さんたちの力は確かに欲しいよ。でもいま孫策さんたちが困ってるのを利用して取り込んでも
 信頼は得られないだろ? 美羽だって孫策さんたちがいつ裏切るかと疑い続けないといけない。
 それじゃ意味がないじゃないか」

「ふんっ! 逆らったら妾の軍団で踏み潰しちゃえばよいではないか」
「そうだそうだー」
埒もないとばかりに言い切る美羽。確かに今の袁家と孫家の勢力差を考えれば
そうなるだろう。で、七乃さんが合いの手を入れる。
703 名前:21(袁術ルート 4/7) [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:34:58 ID:en7NqD630
「だからまず、こっちの方が信頼を得るために美羽に度量を示してほしい。
 美羽ほどの強者が示す度量は恥にはならないはずだよ」

「・・・・・・なんじゃ? 度量って」

「美羽にとっても邪魔な劉表は、孫策さんたちにとっても仇だ。
 だからそれを倒すために袁家の力を孫家に貸して欲しい。
 そしてもう一つ、孫家再興にも美羽の力を貸してあげてほしいんだ」

「一刀さーん、一つ目は確かに共通の敵だからわかりますけどー
 二つ目って美羽さまに利がないじゃないですよぅ
 大体一つ目だって、動かす兵の規模を考えたら
 ほとんど美羽様の持ち出しじゃないですか〜」

「なんと。そうなのか? 七乃ぉ」
驚いた顔で七乃さんに聞き返す美羽。

「そうですよぅ」
困った顔で応じる七乃さん

「一刀〜! そなた妾の家臣であるに、なんで孫策に肩入れするじゃ!」
「そうだそうだー」

「御家再興にかける孫家の人たちの気持ちは本物だよ。
 美羽が力を貸してあげれば、孫家は決して美羽を裏切らない味方になる!
 世間もきっと美羽の懐の広さに感動する。それは孫家のために使う力の
 何倍にもなって美羽に帰ってくると思う」

「他人の仇討ちや御家再興で、心動かされるほど世の中甘くないですよぉ〜」

(・・・・・・御遣い君がんばってるけどこれはダメそうね)
(彼個人が信用できるとしても、これではな)
704 名前:21(袁術ルート 5/7) [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:37:54 ID:en7NqD630
「そんな事ないよ。俺のいた国・・・みんなの言う天の国の話だけど、
 時代を超えて多くの人を感動させた話だってある。」

「ふんっ ならば言うてみるがよい!
 そんな話で妾の心を動かせると思ったら大間違いなのじゃ!」

「・・・わかった。少し長くなるけど・・・」

俺たち日本人の心を捉え、何度も爺ちゃんと見ていたあの話。
忠孝を重んじる儒教社会の後漢なら通じるかもしれないと、一縷の望みを賭け
俺なりに要約した形で語り聞かせる。

玉座の間は水を打ったように静まり返り、長い時間俺の声だけが響き続ける。

「・・・・・・・・・こうして赤穂浪士四十七士は見事仇討ち本懐を遂げ、吉良上野介の首を
 主君浅野内匠頭の墓前に捧げ、全員自害して果てたそうだ。」

要約したとはいえずいぶん長くなってしまった。

ふと、みんなの反応を伺うと、静まり返った玉座の間に美羽の啜り泣きが聞こえる。

「うう・・・七乃ぉ 大石が・・・大石が・・・グスッ」

「大丈夫ですよ美羽さま、内蔵助さんは
 美羽さまの心の中にずっと生きてらっしゃいますよぉ ううっ」

「・・・・・・うっ・・・グスッ・・・もし妾が倒れたら、七乃は妾の仇討ちしてくれるかの?」
「そんなの当たり前ですよー!」

「七乃ぉ〜!」
「美羽お嬢さま〜!」
美羽と七乃さんは堅く抱き合いながらおいおい泣いている・・・
706 名前:21(袁術ルート 6/7) [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:39:29 ID:en7NqD630
袁術軍の諸将も目頭を抑え肩を震わせている。
感動は時代を超えて人の胸を打つんだなと実感する。

「・・・・・・天の国の忠魂の士の義挙、見事じゃ」
黄蓋さんは居住まいを正すと黙祷を捧げている。

周瑜さんは瞑目して天を仰ぎ、つぶやく。
「・・・大石内蔵助、貴殿はその義挙を持って主君の名を、己の名を
 人々の心に刻んだのだな・・・」

そして孫策さんは・・・あっけにとられた顔で俺のほうを見ている。

「・・・美羽、もう一度頼む。このとおりだ」

美羽は目を閉じてエッヘンポーズで思案する。
「・・・・・・孫策よ!」

「・・・何かしら?」

「妾はそなたを賓客としてこの南陽に迎え入れようぞ。
 時が来たれば、必ずや仇討ちの義挙と孫家再興の助力をして進ぜよう
 ・・・受けて・・・くれるかの・・・?」

美羽の言葉に全員が孫策さんへ注目する。
静寂の中、すこし間を置いて孫策さんが口を開く。

「孫家当主、孫伯符。そのお申し出ありがたくお受けします、袁術殿。」
708 名前:21(袁術ルート 7/7) [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:41:01 ID:en7NqD630
「きゃー 美羽お嬢さま 太っ腹ー! この小さな巨人め かっこいーぞっ!」
感極まったように七乃さんが美羽を称えると袁家の諸将もそれに倣う。

「うむうむ。皆も遠慮せずもっと妾を褒めてたも♪
 孫策よ、そなたは賓客ゆえ堅苦しいのは無しでも苦しゅうないぞよ♪」

満面の笑顔でガッツポーズを決める美羽。
よかった、きっとこれで孫呉との確執は怒らなくて済む。

「ありがとう袁術ちゃん。私も堅苦しいのが苦手で助かるわ〜
 これからよろしく頼むわね♪」

「むぅ 何じゃこやつ・・・なんかがらりと変わってからに・・・」

「気にしない、気にしない♪ ・・・冥琳、祭、二人も自己紹介なさい」
二人は一歩前に踏み出すと、作法にのっとった礼を行い各々名乗りをあげる。

「黄蓋、字は公覆。主ともども良しなに。」

「姓は周、名は瑜、字は公勤。孫伯符の元で軍師を勤めております。」

孫策さんは俺のほうに顔を向けて微笑んでくれた。
彼女もきっと約束を果たしてくれるだろう。
あとは美羽たちと孫策さんたちが仲良くやってくれれば言うこと無しだ!
710 名前:21[sage] 投稿日:2009/01/17(土) 14:45:55 ID:en7NqD630
以上です。
一刀が爺ちゃんにスパルタ教育受けてた事から、
爺ちゃんとテレビを見るときは時代劇だったんじゃないかと忠臣蔵を持ち出してみました。

拠点イベントのミカンの子供とかを見るに美羽は根っこは善人だろうということで。

強引な展開ですが、一刀の「知識」をこういう形で利用ならチートにならないかなあと。
あとノリもライトになるので書きやすい。

筆者としての感想は
「美羽、馬鹿でホントにありがとう!」です。

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