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171 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:25:03 ID:DD2ukt850
この先続くか……それは神のみぞ知る
「北郷新勢力ルート
  〜北郷一刀 配下を得る〜」

なんてものが一応出来たんですが…
13/13になると思いますがいかがですかね。
176 名前:真√1/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:31:04 ID:DD2ukt850
「……おや?」
 荒野を旅しているらしい、三人の少女達のうち、
 ゆったりとした服装の少女が、そんないぶかしげな声を上げて足を止めた。
 視界の端に写った『それ』を見定めようと、空を見上げると、
 抜けるような青空の中、自分達が向かう方へと落ちて行く流星が視界に入った。
「風、どうしました?」
 急に足を止め、空を見上げた少女──風に、眼鏡を掛けた、
 少し気の強そうな雰囲気の少女が声をかける。
「…稟ちゃんは見ませんでしたか?今、流れ星が落ちて行ったのですよー」
「流れ星……?こんな昼間に?」
 そう言って、稟と呼ばれた少女は空を見上げ、少し渋い顔をした。
 こんな日の高いうちからはっきりと見える流れ星に、あまり良い兆候は感じられなかったからだ。
 けれども風は違うように感じたらしく、
「ええ。……ふふっ、『何か』が起こりそうな気がしますねー」
 なんとも楽しそうに笑いながら、そう言った。
177 名前:真√2/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:32:51 ID:DD2ukt850
 いかにも盗賊風と言った三人の男達に、誰かが絡まれている。
 遠めにその光景を見た少女は、共に居た二人へ二、三声を掛けると、猛烈な勢いで地を蹴った。
「……もう……せえっ! おい、さっさとやっちまうぞ!」
 近づくにつれ、はっきりと声が聞こえてくる。
「だ、誰か……っ!」
 絡まれていた方──どうやら少年のようだ──が転倒し、
「こんな所に誰も来ないっつの! おい、コイツの口、とっとと塞いじまいな!」
 リーダー格らしい盗賊のヒゲ面が声を張り上げ、
「んだ」
 太った盗賊がその得物を振り上げた時──
「待てぃ!」
 少女が吼えた。
「だ、誰だ!」
「たった一人の庶人相手に、三人掛かりで襲いかかるなどと……その所行、言語道断!」
 言いながら、手にした槍を構え、さらに加速する。
「そんな外道の貴様らに名乗る名前など、ない!」
 一閃。
「ぐふっ!」
「な……っ! 何だコイツ! ぐはぁっ!」
 もう一閃。
 一合も打ち合うことなく、太った男と背の小さな男がその場に崩れ落ちる。
「なんだなんだ。所詮は弱者をいたぶることしか出来ん三下か?」
 そう言って不適に笑う少女。
「くっ……おい、お前ら!逃げるぞ!」
 ヒゲ面の言葉で、少女にぶっ飛ばされた二人も何とか起き上がり、
「へ、へえ……」
「だ、だな……」
 そのあまりの実力の違いを感じ取ったか、山賊たちは泡を食って逃げ出した。
178 名前:真√3/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:33:54 ID:DD2ukt850
「逃がすものか!」
 かといって、簡単に見逃がす程甘い性格はしていないらしく、
 少女も山賊たちを追って駆け出していく。
「………」
「大丈夫ですかー?」
 取り残され、呆然とする少年に、先ほどの少女の仲間──風が声を掛ける。
「……え?」
「傷は……たいしたことは無いな。立てるか?」
 とは言っても、どやら転倒した時に頭を軽く切っていたらしく、血を流している少年を助け起こす稟。
「あ、ああ……大丈夫……」
「風、包帯は?」
「もうないですよー。こないだ、稟ちゃんが全部使っちゃったじゃないですかー」
「……そうだったっけ?」
「いや、そんな……包帯で手当てするほどの傷じゃないから……」
「そうですか?ならいいですけどー」
 そんなやりとりをしていると、そこに、先ほどの槍の少女が戻ってきた。
 どうやら盗賊達は取り逃がしてしまったらしい。
「やれやれ、すまん、逃げられた」
「お帰りなさい。……盗賊さんたち、馬でも使ってたんですか〜?」
「うむ。同じ二本足なら負ける気はせんが、倍の数で挑まれてはな」
 そう言って、軽く肩をすくめる。
「まあ、追い払えただけでも十分ですよー」
「それにしても災難でしたね。この辺りは盗賊は比較的少ない地域なんですが……」
「比較的……?」
 稟のそんな言葉に、少年は何か違和感を覚えたのか、
179 名前:真√4/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:34:45 ID:DD2ukt850
「あの……風、さん?」
「……ひへっ!?」
「貴様……っ!」
 何気なく、風の『名』を呼んだ瞬間、
 驚きと怒りと槍の穂先を突きつけられた。
「な……何……っ!?」
「おぬし、どこの世間知らずの貴族かは知らんが……
 いきなり人の真名を呼ぶなど、どういう了見だ!」
「て……っ、訂正してください……っ!」
 いきなり向けられた怒りの矛先に戸惑う少年。
「え……?だ、だって……え?」
「…………?」
 何故自分に槍が向けられているのか、その「原因」自体がよく分かっていない様子に、
 風は一瞬いぶかしげな顔をした。
「訂正なさい!」
「……わ、わかった。ごめん。訂正する、訂正するから!
 お願いだから、その槍、引いて……!」
「…………結構」
 稟の一喝であわてて訂正するのを聞き、少女は槍を収めた。
「はふぅ……。いきなり真名で呼ぶなんて、びっくりしちゃいましたよー」
 風にそう言われた少年は、もう一度「ごめん」と謝りつつも、
「……ところで……まなって、何?」
 そう聞いた。
180 名前:真√5/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:36:37 ID:DD2ukt850
「……は?」
「……何?」
 今度は稟と槍の少女が、予想外の事を聞かれた…といった声を上げる。
 それは当然と言えば当然なのだが。
 真名は、この世界に住む者にとって、最も大切な物の一つだ。
「………えっと、真名というのはですねー…」
 対して、あまり驚いていない様子の風が、少年に説明しようとした時、
「風、待て……どうやら陳留の刺史殿が来たようだ」
 どうやら遠くに砂塵を確認したらしく、槍の少女が言葉を遮った。
「……今関わり合いになるのは避けたいところですね。……行きますか」
 稟のその言葉に、三人は顔を見合わせて小さく頷く。
「そうですねー。……そだ、よかったらお兄さんも一緒にきませんかー?」
「は?」
「なっ!?」
「ええ!?」
 風のその提案には、それを言われた少年よりも、むしろ他の二人の方が驚いた声をだしていた。
「風、本気ですか!?彼は許可もなく真名を呼ぶような人なんですよ!?」
「まぁそうなんですけどねー……少々思う所がありまして。
 稟ちゃん、星ちゃん、巷で噂の管輅ちゃんの占い……ご存じですか〜?」
「管輅の占いと言うと……まさか、アレか?
 ……風は、彼が『そう』だと?」
「ええ。だと思いますよー。先ほど風の真名を呼んだのも、
 真名のことを知らなかったと思えばまあ、納得もできますしー。
 ……稟ちゃん、この人と出会う前、風が何を見たって言ったか、覚えてますかー?」
 風の言葉に、稟は少し考え込むと、
「なるほど……そうですね。
 私も少々、彼が本当に噂の『天の御遣い』なのか、確かめたくなってきました」
181 名前:真√6/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:38:42 ID:DD2ukt850
「趙雲って………まさかあの趙子龍!?」
 『真名』というのは、親兄弟や仕える主君等、余程親しいか、自らが認めた相手にしか
 呼ぶのを許さないものである。
 また真名を呼んでしまってはかなわない……ということで、とりあえず歩きながら自己紹介をし、
 槍を持った少女の名前を聴いた瞬間、そんなことはありえないと思いつつも思わずそう声を上げていた。
 ちなみに、ゆったりとした服装の少女は「程立」、眼鏡をかけた少女は「今は戯志才と名乗っています」と名乗った。
 戯志才の方は明らかに偽名であるのだが、とりあえずは気にしない事にしておく。
「あの、と言われる程有名になった覚えも無いのだがな。
 ……まあ、貴公の言う趙雲と私が同一人物かはわからないが、確かに、私の字は子龍ではあるな」
 それにしても……といぶかし気な視線を送る趙雲──星。
「ふむ。何故名のっても居ない私の字を知っているのか、非常に気になる所ではあるが……
 まあ、詳しい話は追々……町についてからするとしよう」
 そう言って先へ行く星に習い、彼もまた、黙々と歩みを進めて行く。
 ……およそ日本とは思えない山並みの見える荒野。
 先程の盗賊達に突き付けられた刃物の感触。
 「三国志」の登場人物として有名な「趙雲」の名を名乗り、またその名に恥じない槍捌きを見せた前を歩く少女。
 ……そんな、「あまり現実と認めたくない様な現実」の起きた原因を考え、
 タイムスリップなどと言う、「あまり原因と考えたくない様な原因」に思い至り、
 実はこれから向う町が至って普通の町で、「全部ドッキリでしたー!」
 なんてことにならんかな。などと、無理のある希望を抱いて混乱する気持ちを無理矢理奮い起しながら。
 やがて時刻も夕刻にさしかかる頃だろうか、町へついた一行は入り口をくぐり、
 とりあえず落ち着ける場所を探して大通りへ向った。
 そして、その町並みを見た瞬間、
「…………………………………………………………………………………はぁ」
 北郷一刀は、深い深いため息を吐いた。
182 名前:真√7/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:45:15 ID:DD2ukt850
「──つまり、要約すると、貴殿はこの世界の人間では無い。と言う事でよろしいですか?」
 とりあえず、大通りで見つけた大衆食堂の、四人掛けのテーブルに腰を落ち着け、
 軽い食事を終えた後、一刀は自分の現状の予想を説明した。
 タイムスリップ──しかも、「他の世界の過去」への移動ではないかと言う事。
 もののついでに、制服のポケットに入っていた数点の道具を見せてもやった。
 ちなみに位置関係としては、一刀の向かいに稟、横に風、稟の横に星が座っている。
「ああ。多分間違い無いと思うよ」
 結局──散々考えた末、達した結論はそれだった。
 最初は、単にタイムスリップしただけ……だと思ったのだが、
 少なくとも彼の知っている「趙雲」は女では無いし、何よりも、タイムスリップしただけだとしたら、
 こうやってまともな会話をする事自体が不可能である事に気付いてしまったからだ。
 何故なら──北郷一刀は、中国語が話せない。
 漫画等で知ったいくつかの単語ぐらいなら分かるが、間違っても会話などできるはずもないのだ。
「……って言うか、随分とあっさり信じるんだな。
 自分で言ってても、かなり荒唐無稽な話だと思うんだけど…」
「まぁ……それに関しては、ある程度予想はしていた……と言いますか、一応理由がありまして」
 そう言って、稟はその「理由」を語りだした。
 それは簡単に言えばこうだ。
 今から数ヶ月前、管輅という占い師が、ある予言を行った。
 その予言は噂となり、多少の形を変えながらも、大陸全土へと一気に広まっていった。
 無論、稟や風たちの耳にも、だ。

『白き流星と共に天よりの御遣いが大地へ降り立ち、動乱の世を太平へと導くであろう』
185 名前:真√8/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18:52:29 ID:DD2ukt850
「………えーっと……つまり、その『天よりの遣い』とやらが俺だと?」
「ええ。多分間違い無いかと。
 ……あなた自身、他の世界から来たとおっしゃっている事。
 実際に、私たちに分からない言葉を話すこと。
 そして見たことも無い道具を扱い、良く見れば絹とも違う、陽の光を映し光る服などを着ている。
 それになにより、貴殿と出会う前に、風があるものを見ているのです。
 ……風」
 一刀が天の御遣いである理由をつらつらと列挙した稟は、風に話題を振る。
 実際に見た風が説明した方がいいだろう。との事だろうが……。
「……風?」
「………………………ぐぅ。」
『寝るな!』
 見事に、稟と一刀人のツッコミが重なった。
 ちなみに星は、そんな三人の様子を眺めつつ、先ほど一刀が見せた「ボールペン」を楽しそうにいじっている。
「おぉ!?…風としたことが、空腹を満たされた心地よさについうっかり」
 どうやらちょっと本気寝だったのか、少し慌てて居住まいを正すと、一刀の方へ向き直る風。
「えっとですねー、お兄さんと会う前に、こう空を見てたらですね、流れ星が流れたのですよ」
「流れ星?」
「ええ。それはもう、昼の空でもくっきり見える鮮やかさ。
 ……先ほど稟ちゃんが話した予言にもあったと思いますがー」
 その言葉に、一刀は先ほどの稟の言葉を思い返し、
「あー、あの『白き流星と共に〜』ってやつか」
「はい正解ですー。
 流れ星とお兄さんの言動、風体を見て、ピンと来てしまったと言うわけですねー」
「……なるほど」
 一刀は風の言葉を噛み締める様にしばし考え込むと、
「じゃあ今度は、俺の方からいいかな?」
 改めて三人の方へと向き直ると、そう切り出した。
186 名前:真√9/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 19:01:20 ID:DD2ukt850
 「伺おう」と、それまで黙って様子を見ていた星が促す。
「じゃあ、まず……三人は何故旅をしているんだ?」
「見聞を広げる……と言うののもあるが、一番は将来仕えるべき主君を見極めることだな。
 私が同行したのは少し前からだが、風と稟はもう結構長く一緒だと聞いている」
「そですねー。まぁいわゆる同郷の士と申しましょうか」
「それじゃあ、これはお願いになるんだけど……俺をその旅に連れて行ってもらえないだろうか?」
 そう言って、深々と頭を下げる一刀。
「はっきり言って、今の自分が、この世界で一人で生き残る事ができるとは思えない。
 ……言ってて、自分でもまぁ情けないとは思うけどね。
 それに、君達が誰かに仕官する時に、俺の『天の御遣い』って虚名が役に立つかもしれないし……
 どうだろう?」
 一刀の言葉に、それぞれ考え込む三人。
 最初に口を開いたのは星だった。
「私は構わぬよ。こんな時勢だ、助け合うのもまた一興という物。
 まぁ、悪い人間でもなさそうだしな」
「風もいいのですよー。まだ色々と天の国の話も聞きたいですし」
「まぁ……二人が良いのならば、私も反対する理由も無いですね」
「本当に!?ありがとう!!」
 三者三様の肯定に、安堵したように、そして嬉しそうにもう一度頭を下げる一刀。
「けれども盛ってオイタしちゃあいけねえぜ?兄ちゃん」
「しないから!?」
 反射的にツッこんでから、今の台詞が風の頭の上のアレのだと言うのに気づき、
 ツッコミ所を間違ったかなー……なんて思ってしまった一刀であった。

 結局、思っていたよりも時間が経っていたようで、この日はこれで話を切り上げ、宿を取る事にした。
 なお、一刀の食事代と宿代は星が出した。「面白い物を見せてもらった礼だ。気にするな」との事である。
 ちなみに、宿までの道すがら──先ほどの風の頭の上のアレ……宝ャの台詞の後ぐらいから──
 稟が何かを我慢するかの様に、鼻を押さえていたことに気づいたのは、風だけであった。
187 名前:真√10/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 19:03:20 ID:DD2ukt850
「おはよーっす」
 翌日宿を出た一刀は、集合場所にしておいた、昨夜の大衆食堂へと向かうと、
 眠そうな目をこすりながら、既に集まっていた三人へと声をかけた。
 そんな一刀へ、風がおもむろに衝撃的な一言を発した。
「おはようございますー。
 ……ところでお兄さん、残念なことに、風達…いえ、風のですね。
 風の旅に、お兄さんがついてくることは出来なくなってしまったのですよー」
「……は?……えぇ!?どういうこと!?」
 さすがに一発で目が覚めたようで、慌てて空いた席──昨日と同じだが──へ掛け、詰め寄ると、
「貴殿が来てから話すとのことでしたので、私たちもまだ聞いていないんですよ」
 と稟が答えた。
「それで、風?どういう事なの?」
 稟に促された風は、こくり、と頷くと、
「えっとですねー、昨夜、夢を見まして」
「夢?」
「はい、風が日輪を捧げ持つ夢でしたねー。
 ……日輪とは、すなわち天の象徴。そしてそれを捧げ持つということは……」
 そこまで言って、改めて一刀の方へ向き直り、
「お兄さん。
 天の御遣いであるあなたへ仕え、支えよというお告げだと思うのですよー」
 そう言って、ふふりと笑う。
「ちなみに、お兄さんが風の旅にに付いて来る事が出来ないのは……
 今日からは、風がお兄さんの旅に付いて行く事になるからですねー。
 そうそう、風は今日から、程立ではなく程cと名を改めますので」
 対して他の三人は、あまりに唐突な風の言葉に、驚きで固まっていた。
188 名前:真√11/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 19:04:33 ID:DD2ukt850
「…………はぁ」
 最初に沈黙から脱したのは、稟だった。
「風……本気なのね?」
「当然ですよー。冗談でこのようなことは言いません。
 まあもっとも、お兄さんがよければ……なのですが」
「そうですね……北郷殿!」
「はいぃ!?」
 突如名を呼ばれ、ビクゥッと思わず立ち上がってしまい、
 ゴホンっと小さく咳払いをしてから座りなおす。
「えーと……何?」
「……もしも貴殿が風を家臣になさるのでしたら、どうぞ、この私も共にお加え下さい」
「え?……ええ!?」
 先ほどから驚いてばかりである。
「稟ちゃん、良いのですかー?そんな簡単に決めてしまって」
「……あのねぇ、風に言われたくないわよ。
 あの予言が本当なのだとしたら、北郷殿は天下を太平へと導く方。
 ならば、主とするのに不足はないでしょう?
 それに……風の王佐の才の直感を信じてみるのも、良いものです」
「家臣…って言われてもなぁ。
 ……昨日も言った様に、現状の俺では、この世界で一人で行きぬける自身がない……
 ってぐらい情けない状態なわけなんだが。
 そんな状態で、君達の主君として務まるとは到底思えんぞ?」
 と、自信無さげに言う一刀に、稟は「そんな事か」と言わんばかりに、軽く笑って言った。
「北郷殿は、今まで主君となったことは無いのでしょう?
 ならば、務まるか務まらないかは、やってみなければ解らないではありませんか。
 ……臣になる以上は、我々も全力を持って支えさせていただきますよ」
「稟ちゃんの言う通りですよー。
 それに、お兄さんは天の御遣いなのですから、大丈夫ですよー」
「………………はははっ」
 頼もしい稟の言葉と、朗らかな風の言葉に思わず笑いが漏れた。
 そして、一度笑ったら、どうやら色々と吹っ切れたようだ。
190 名前:真√12/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 19:07:10 ID:DD2ukt850
「……わかった、いいよ。やってみる。
 俺に何が出来るのか……この世界でどんなことを成し遂げられるのか、
 解らないし想像できないことばかりだけど。
 踏み出さなければ、何も始まらないのは事実だし、何より…他に道も無いしな」
 一刀がそう言うと、稟と風は頷き合ってから立ち上がると、一刀の足元へ跪き、
 臣下の礼を取ろうとしたが、
「ちょ……ちょっと待って」
 と、一刀はそれを押し止め、立ち上がらせる。
「主君と家臣って言っても、そういう堅苦しいの無しにしたい。
 ……っていうか、正直俺自信、そういうものの礼とか作法とか良く知らないしさ。
 俺としては、何て言うか……仲間?みたいな感じの方が強いぐらいだし」
 そんな一刀の言葉に、稟と風はもう一度顔を見合わせると、軽く吹き出した。
「ふふっ……風、どうやら私たちは、大変な人を主に選んでしまったかもしれないわよ?」
「……ですね。
 では改めまして。名は程c、字は仲徳、真名は風と申しますー。
 これからは風と呼んで下さって結構なのですよ〜」
 そう言って、軽く一礼する風に稟も続く。
「私の名は郭嘉。字は奉孝、真名は稟と申します。
 今まで偽名を名乗っていた非礼、お許し下さい。
 私の事も、今後は稟とお呼び下さい」
「ああ、じゃあ俺も改めて。
 北郷一刀。俺の事は好きに呼んでくれていいよ。
 色々解らないことばかりだけど、助けてくれると嬉しい。
 ……これからよろしく。風、稟」
と、改めて自己紹介を終えた時、それまで黙って成り行きを見ていた星が口を開いた。
「おめでとう。風、稟。
二人が仕えるべき主君を見つけられたのは、喜ばしい事だ」
「では、星ちゃんはー」
「ああ、北郷殿に仕えてみるのも、なかなかに面白そうではあるが……
私はもう少し、色々と見てみる事にするさ」
191 名前:真√13/13[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 19:08:26 ID:DD2ukt850
「では……まずはこれからの方針についてですが……」
 何か凄いことになってきたな……と、稟の言葉に耳を傾けながら、北郷一刀は思う。
 それでも──この世界に来て、彼女達に出逢ったのが、自分に課せられた天命だというのなら。
 この世界に、自分の成すべき事があると言うのなら……
 ただひたすらに、進んでいけばいい。
 頼もしい仲間が居るのだから──。
192 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 19:10:12 ID:DD2ukt850
以上ですー。

お目汚し失礼しましたー。

あと支援ありがとでした。
194 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 19:14:14 ID:DD2ukt850
>>193
メインパートナーは風ですね。
拠点イベントは無論単枠でw
考えてる途中、もっとイメージ固めようとして風の猫イベント垂れ流してたら
可愛すぎて逆に手に付かなかったという。

風可愛いよ

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