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657 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:04:44 ID:pCUfcAVl0
>>655
そんな私は蓮華、翠スキー。
でも、冥琳も秋蘭も星も詠も斗詩も、その他のみんなも好きです。

ってなわけで、発売記念!
何か、エロが薄いようだが、俺には関係ない!
という事で、諸事情(忙しくて書き下ろせなかった)により、妄想伝に落選したのを加筆修正したSSを投下します。
終わりには=了=本日発売って付けます。
658 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:10:04 ID:Tv67LnGw0
 真っ白な日差しに照らされる砂。蒼と白が混ざり合う地面。そして、その白い砂浜に立つ無数の色とりどりのパラソル。
 そう、そこは夏の海。子供から夫婦までが集う、常夏の海岸。
 そのような場所に、とある奇妙な一団が辿り着いていた。
「うわ〜、この世界の海も綺麗ですね〜」
「うん!しかも人がいっぱい〜♪」
「穏、はしゃぎすぎだ!小蓮さまもお気をつけてください」
「まぁまぁ……思春も大目に見てやってくれよ」
 明らかに物珍しそうに海を見る女性陣とそれをなだめる1人の少年。
 言わずと知れた北郷 一刀と蓮華の一行‐蓮華、小蓮、思春、穏だ。
「でも、一刀……本当にいいの?」
「ん〜、多分……」
 明らかに心配そうな蓮華が心配そうにしているものの、それを曖昧ながらも大丈夫だと言う。
 彼女らが海に来た理由。それを言うには、もはやこれ以上の理由は必要ないだろうというもの。
 そう、ずばり海水浴だった。


『海水浴に行こう』
659 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:15:58 ID:Tv67LnGw0


 このような状況になっている事を話すには、まず事の発端である近くの本屋で行なわれていたくじ引きの件まで遡らなければなるまい。
 この外史に来てから2ヶ月以上が経ち、彼女‐蓮華達も自分の生活を持つようになっていた。
 近くのデパートで買い物をし、学校で学業に励んで、普通の女の子の生活も何不自由なく過ごせるようになっていた。
 そんなある日、蓮華と思春、穏、小蓮の4人で穏の欲しがっていた本を買いに行った時の話である。
「蓮華さま……会場はこちらです」
「分かっているわ。でも、本当に私なんかがやっても良いの?穏」
「大丈夫ですよ〜。誰がやったって結果は変わりませんからぁ」
 その時、たまたま本屋でのキャンペーンが開催されていたのだ。
それは一定額以上の買い物をしたお客にくじを引かせるというものであり、たまたま穏が買った書物はその一定金額をはるかに超えていて、結果として、くじを引く権利が与えられたのだ。
「じゃあ……」
 どうやら、穏はくじを引かずに、蓮華がくじを引くようだ。
「……ごくり」
 緊張しながら、彼女はくじの入っている箱の中に手を入れる。中には数十枚の三角形に折られたくじが入っている。
(別に外れたところで……)
 そうは思いながら、適当に手に触れた一枚のくじを箱から取り出して係員に渡す。そして、係員はゆっくりと中身を見ると、その驚愕の内容を大声で読み上げた。
「おめでとうございます!特等のシーサイドホテル2泊3日へ5名様ご案内!」
660 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:20:51 ID:Tv67LnGw0
 そんな棚から牡丹餅のような出来事によって彼女らは新設されたホテルへとやってきたわけである。
 ちなみに小蓮と蓮華がほぼ同時に一刀を誘い、結果として現在のメンバーに至るのだ。そして、ホテルへチェックイン後、彼女は小蓮の提案によりホテルの近くの海岸へと遊びに来たわけである。
「蓮華様。何をためらっておられるのです?」
「そうだぞ。蓮華。折角、くじで当てたんだから、楽しまないと損だろ」
 念願の一刀との旅行だというのに、あまり気分が優れていない蓮華を見て、一刀と思春は少しだけ不安を憶えている。だが、その理由は明白だった。
「いや、別に躊躇っている訳ではない!」
 むきになったのか、つい昔の口調で答える蓮華。だが、それは自分でボロを出したのと同じだ。
「つまりぃ、お姉ちゃんは自分が愛しい一刀と一緒に来ても良かったのか、自信がないんだ〜」
「なっ!小蓮!」
 小蓮の発言に顔を赤くする。どうやら、図星らしい。
「まぁ、蓮華さまは意外とウブなんですねぇ」
「穏まで……」
 さらに、呉の副軍師にまであっさりと見破られてしまい、そのまま顔を赤らめて下を向いてしまう。これは自白行為も同然であった。
「あ〜……え〜っと……」
 一方で一刀はどうしたら良いか分からないらしく、また、下を向いた蓮華にかけるような言葉も思いつかないらしい。そして、彼がとった行動とは、
「そういえば、冥琳はどうしたんだ?」
とにかく話を逸らす事であった。
「冥琳様なら、今頃、大喬ちゃん小喬ちゃんとお買い物だと思いますよ〜」
 その質問に答えたのは穏だ。
661 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:25:04 ID:Tv67LnGw0




 ちなみに蛇足ではあるが、同時刻、某所で、
「……私も行きたかった……」
と机にうつ伏せになってぼやいている冥琳が小喬に目撃されたのはこの話には関係ない。




662 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:30:02 ID:Tv67LnGw0
「へぇ……そうなんだ」
 そんな関係のない事を一刀は知る由もないため、そのまま曖昧に頷いておいた。
「それなら、ご主人様の方こそ、大丈夫なんですかぁ?」
「へっ?何が?」
 穏の唐突な切り返し、それに一刀は少し後れを取ったが、それでも混乱するような事がないようなゆっくりとした口調で、穏は言葉を続ける。
「朱里ちゃんや鈴々ちゃん達の事ですよ〜。ご主人様が旅行に行く、って聞いて飛んでくるんじゃないかとぉ」
「ああ、それなら大丈夫だ」
「ええ?」
 その答えは簡単なものだ。
 それは、以前に行なわれたフランチェスカでの期末試験に起因する。
 そこでの愛紗たちの成績は、成績が優秀な朱里を除いて、かなり悲惨なものとなっていた。
まぁ、この世界での物理、政治、数学等を一から覚えようとしたのだから、その結果は当然のものだろう。
 翠に至っては、「燃えたぜ、燃え尽きた……」と、某ボクシングの選手のようになっていた。
彼女の成績がどれくらいまで悲惨であったのかは、ここでは言及しないのが優しさであると思う。
 そして、成績が悪い者に課せられたのが補修であった。
「で、翠を筆頭に愛紗、鈴々、星は補修。朱里は再テストに向けてのお手伝い。紫苑は水着が着られないからダイエットするらしい」
 最後のだけは関係がなかったような気がするが。
「はぁ……」
 一方で彼女も同じようなテストを受けたが、彼女たちは、呉一番の才女とも言われる穏の助けによって何とか、補修という悪夢だけは避けられたらしい。
(まぁ、本を読みまくってたからな……)
 そう思うのが、彼の正直な感想である。
663 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:35:09 ID:Tv67LnGw0
「まぁ、そんなんだから、蓮華も気にしなくて良いぞ」
 はっきり言って、会話の前後関係がめちゃくちゃで関連性など皆無だが、
「ほら!そんな暗い顔してないで、早く泳ご♪」
小蓮がそれに同意して、蓮華を更衣室へ引っ張っていく。
「こ、こらっ!小蓮!」
「ああ〜、小蓮さまぁ〜」
 焦る蓮華とそれに急いでついていく穏。
 そして、その場に取り残されたのは、一刀と思春だけであった。
「それでは、私はこれから日傘の用意をする。北郷 一刀。貴様はもうすぐ昼時だから、冷たい飲み物と食料でも調達して来い」
「……はい」
 そして、命令口調の思春には逆らえず、彼は1人でトボトボと売店へと向かうのであった。
664 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:40:10 ID:Tv67LnGw0
 売店は、夏では相変わらずの混み具合であった。カップルしかり、親子連れしかり、沢山の人で埋め尽くされている。
「……まぁ、こんな事もあるか」
 後ろを見れば、先ほどから思春が砂浜にビニールシートをひいている。どうやら、場所を見つけたのだろう。
「さて……」
 そして、彼も観念したのか、売店の店員に呼びかける。
「すみません!オレンジジュースと焼きそばを5つください!」
 多分、このくらいの大きさで言えば奥で焼きそばを焼いている店員に聞こえるはずである。
だが、返ってきたのは、彼にとって意外な声であった。
「ん?おお!北郷じゃないか!」
「へっ?」
 かなり気安く呼ぶ声に、店員の顔を見ると、それは彼にとって見知った顔であった。
「伯珪?何でここに?」
 そこにいたのは、水着の上に『海の家』とかかれたエプロンを羽織った公孫賛 伯珪であった。
「何でって、私はここのバイトだ」
「……そうか」
 確かに、公孫賛については、近年アルバイトをしているという噂が多々あった。どうやら、その噂のとおりなのだろうと一刀は納得してしまう。なお、一方で袁紹や曹操のせいで尽くクビになっているという噂もあるが、それについては言及しない方が良いのだろう。
「ところで、お前はどうなんだ?」
「いや、実は蓮華達と一緒に遊びに来たんだけど……」
「蓮華?……もしかして、孫権の事か?」
 どうやら、彼女は蓮華の真名を良く知らないらしい。
「ああ……」
「そうか……孫権と……って、ええええええ!!あの孫権が?」
「そうだけど……」
「う、嘘だろ?……あの孫権だぜ?あの『私には関係ない』って見事に無視する孫権だぜ?」
 明らかに信じてないのか、声が震えている。
「いや……その蓮華なんだが……」
「そ、そうか……あはは」
 どうやら、冷静に取り繕うとするが、どうしても声が震えている。
(そういえば、伯珪は蓮華のあの後の事、知らないんだよな)
 そう言われれば、それで仕方がないのだろう。
665 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 00:46:55 ID:Tv67LnGw0
(変わったか……)
 つくづく、それを一刀は思う。彼女が彼と出会う前に孫呉を背負っていた蓮華。そして、出会ってから今までの1人の女の子としての蓮華。
 どちらも蓮華には変わりはない。だが、
(笑っている蓮華の方が良いな)
 そう思うのが彼の素直なところであった。



 そして、まだ震えていた伯珪のいる売店を後にし、手に焼きそばとジュースを持った彼が戻ってきた最初の一言は……
「何で、和傘?」
であった。
 そこにいたのは、ビニールの上にパラソルではなく赤い大きな番傘を立てた場所。そして、そこで褌とサラシを身につけて立っている思春の姿であった。
「傘、と言われたからだ」
「確かに言ったけど……」
 思春に日が強いからパラソルを用意しろと言ったのは他でもない一刀だ。
だが、彼女にはパラソルでは通じなかったので、敢えて傘と言ったのだが、それが裏目に出たようだ。
「まぁ、良いか……」
 元々、周りの皆さんからは、思春が褌にサラシの地点で奇異な目で見られている身だ。今更、何をしようと関係なのだろう。
「ところで、蓮華は?」
「そろそろ、戻ってこられる頃だろう」
 だいぶ、更衣室が混んでいるのか、先ほどからずいぶん時間が経っている。だが、時間的には十分な時間が経ったのだろう
「まぁ、ゆっくり待つか……」
 そして、一刀がビニールの上に腰を下ろすと、ちょうど声が聞こえてきた。
「カ〜ズ〜ト!」
「ご主人様〜〜」
 この元気な声は小蓮と穏のものだ。
「やっとか……」
 そして、声の方を振り返ると……確かに彼女たちはいた。魅力的な水着姿で。
666 名前:名無しさん@初回限定[] 投稿日:2008/12/26(金) 00:56:02 ID:Tv67LnGw0
その描写はとても文に出来るものではないが、一応ながら彼の見た光景を蛇足ながら説明させていただく。
 まず小蓮であるが、
彼女の元気一杯な事を示すかのような明るいレモン色を基調としたワンピースタイプの水着だ。
腰の部分には、同色のフリルレースがついており、それがさりげなく自己主張をし、
明るさの中に可愛さ見出す事に拍車をかけている。彼女の体型もこの水着にはイメージどおりであり、
褐色の肌は水着と一緒に健康美である事を際立たせているといっても過言ではない。
 次に穏であるが、これは布地面積の少ない青を基調としたビキニタイプであった。
 彼女の今にもはち切れそうな胸を、青い三角の布地がしっかりと押さえ、胸の谷間をさらに強調させている。
それは小蓮とはまた違った魅力で、周りの男性でさえもつい振り向いてしまう程の魅力を持っていた。
さらに腰にはパレオを巻いており、年上にも間違われるような、
彼女に似合ったおとなしい雰囲気を醸し出している。
「へへ〜ん、どう?似合ってる?」
「ああっ……凄く似合ってるよ」
 他に彼には感想はなかった。だが、そこにいるべきもう1人の人物がいない。
「あれ?蓮華は?」
「お姉ちゃんなら、アソコだよ♪」
 そして、一刀は彼女が指し示す方を見ると、また、言葉を失ってしまった。
667 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 01:00:08 ID:Tv67LnGw0
そこにいたのは、確かに蓮華であった。
 だが、彼女の体は、眩しいと勘違いするほどの白いビキニに包まれており、さらにその布以外の部分からは、健康的な褐色の肌を覗かせている。
また、ビキニタイプであるため、腹部のくびれ等は一切隠されておらず、それが褐色の肌、それと対照的な白い水着と共に魅力的なオーラを出していた。
胸は穏には及ばないものの、それでもかなりのボリュームがあり、男なら誰もが振り向かざる負えないような魅力が、
その健康的な肌とそこに挟まれた胸元の谷に盛り込まれている。
 さらに、元孫呉の王であった気品も溢れ、太陽の光に照らされたその姿は、それが彼女を一つの芸術へと変えてもおかしくない物であった。
「ああぅ……見ないで……」
 一刀に見られてか、彼女の顔は真っ赤に茹で上がり、手で出来るだけ体を隠そうとする。
「か、一刀……」
「どうですぅ?ご主人様〜?」
「うん、凄くかわいい」
 ただ、不安がる蓮華にただ、それしか言えなかった、だた、それ以外に言う言葉が彼にあるのだろうか?いや、答えはきっと否だろう。
「凄く似合ってるよ、蓮華」
「うう……本当?」
「本当だって」
「そうです、凄くお似合いですよ。蓮華様」
 思春も同じ意見らしく、相槌を打っていた。
「……うん」
 そして、まだ顔に赤みが残っているのも、ゆっくりと立ち上がって、傘の日陰へと歩いていく。一刀のいる元へ。
668 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 01:05:02 ID:Tv67LnGw0
「と言う訳で〜、一刀!西瓜割りやろう」
 正に唐突。その提案はそのようにいきなりのものであった。
「西瓜割りって……」
 一刀は少し呆れていたものの、既に思春は少し切れ目の入った西瓜と目隠しの用意をしていたりする。
いつの間に用意したのだろうか?
「……まぁ……いいか」
 一刀も別に異議を唱える必要もない為、それに賛同する。
蓮華は少しだけ不満げな顔をしていたが、それでも異論はないようだった。
「準備が出来ました」
「じゃあ、まず一刀からだよ♪」
 隣で思春と小蓮の声が聞こえると、早速、一刀の顔に布が巻きつけられる。
その際に思春が気配もなく近付いて後ろに素早く回ったのは、彼女のご愛嬌であろう。
 そして、隣から穏や小蓮の声が聞こえて、西瓜割りが始まる。
 一刀の結果から言えば、空振りだった。
「一刀って、意外と駄目なんだね〜」
「うう……くそ……」
 小蓮にからかわれるのが悔しいのか、その場で膝を突く一刀。
「こら!小蓮!」
 隣からは蓮華の声が小蓮の行動を戒めようとする。
「本当にむずいんだって……」
「ふ〜ん、じゃあ、次は思春ね」
「はっ!」
 すると、今度は思春がゆっくりと自分の顔に目隠しを縛り付ける。
そして、体を三回ほど回して、ゆっくりと立たせた。
 西瓜までの距離は約3mと言ったところであろう。
「じゃあ、初……」
 そして、一刀が指示を開始しようとした時、
ヒュ!ザクッ!
 一筋の風が西瓜を真っ二つに切っていた。
669 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 01:10:44 ID:Tv67LnGw0
「へっ?」
 それが、思春の刃であった事に気付くのには、数秒を要していた。よく見れば、彼女は目隠しをしたまま剣を手にこちらへ歩いて来ている。
「これでよろしいですか?」
「うん♪ほらぁ、一刀の嘘つき」
「いや、どう見ても思春が凄いだけだろ……」
 どうやら、思春には目隠しをしていても十分に方向はわかるようである。
「って言うか、真剣禁止ーーー!」
一刀がそれにツッコミを入れるのは、少し遅かった。
「じゃあ、次は穏!」
 そんな一刀のツッコミは無視するかのように、西瓜を新しいのに変え、今度は穏の顔に目隠しを巻きつける。
 だが、それに気付くべきだったのかもしれない。目が見えない状態で穏が何をやらかすかを。
「はぅ〜、何も見えない〜」
 いきなり視界を塞がれ歩こうとすると、砂浜という不安定な足場にパニックに陥る穏。
「穏、右だ!」
「もうちょっと、左」
 そんな声を小蓮や蓮華はかけるが、それを無視して彼女は西瓜の方へ早歩きで近付いていく。そして、事件は起こった。
「はぅ!」
 足場が不安定であれば、つまずくことも簡単に予想できた。ただ、それが西瓜の前で躓いたのだったら?
 そのまま、彼女の体は重力に引かれ落下し、そして、
バコーン!
「むきゅう!」
その、枕にもなりそうな胸で西瓜を潰すように倒れこんでいた。
670 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 01:15:04 ID:Tv67LnGw0
「あぅ〜……転んじゃいましたぁ……」
 彼女が目隠しを外しゆっくりと起き上がると、下にあったのは凶器とも言える胸に押しつぶされ、パックリと割れた西瓜の残骸。
その様子を見ると、周りの男性も顔を赤くしてその光景を見ている。
(西瓜が羨ましい)
(まさに、おっぱいボンバー)
 男性陣がそんな事が思っている中、蓮華、小蓮、思春、そして、一刀までもが共通して思ったことがあった。
『穏のおっぱい、恐るべし!』
 とりあえず、そんな事が頭を過ぎっていた。



 結局、その後の西瓜割りは肝心の西瓜が無くなってしまい、そのまま中止になってしまった。
 少しだけ小蓮が不機嫌になっていたが、西瓜がない状態ではどうしようも出来ない。
「という訳で、やっぱり海に来たら泳がないと」
 西瓜の後片付けが一通り終わると、今度は蓮華が提案してきた。
「そうだな……小蓮、いいか?」
「うん、一刀と一緒なら♪」
「小蓮!」
「ああ、また始まった」
 この2人の姉妹喧嘩は本当に絶える事を知らないようだ。
671 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 01:20:01 ID:Tv67LnGw0
「まぁまぁ……お2人ともおあついですね〜」
「穏、お前は焚き付けるな」
 その火種をすぐに火事にしようとするおっぱい軍師には、忠犬甘寧が先手を打つ。
「あれぇ?思春ちゃんは参加しないの?」
「貴様!何故私が参加しなければならんのだ!」
「だってぇ……」
 だが、如何せん、彼女が才女と呼ばれているのは伊達ではない。彼女はその火種を思春にまで飛び火させようとする。その手腕は彼女のおっぱいと同様に伊達ではない。
「思春ちゃんだって、ご主人様の事、大好きなんでしょ?」
「穏……お前は……」
 完全に額に青筋を浮かべる思春。
(ていうか、もう限界?沸点まであと数秒?)
 一方の一刀はというと、この構図に真面目に腰が引けている。
「ま、まぁまぁ……とりあえず海に入りましょうか。こんなとこでいがみ合ってもしょうがないし……」
「むっ……そうね」
「このままだと、日が暮れちゃうからね」
「♪〜♪〜」
「……ちっ」
 とりあえず、最悪の危機は、彼の何とか搾り出した一言で回避できたらしい。
(よかった……思春なんて剣をもう少しで抜くとこだったよ)
 とりあえず、穏と思春を二度と言い争いさせまい。そう固く心に誓う一刀であった。
672 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 01:25:05 ID:Tv67LnGw0
跳ねながら光る水玉。白い波。そして、女の子がボールで遊ぶ姿。
 そんな楽園のような光景が彼の目の前にあった。
「そーれ!」
「あら〜」
「ふふふ……そら!」
 そんな事を言いつつ、波に浸かりながらビーチボールを飛ばす3人組。
(しかし……)
 それを砂浜で見ている一刀にとって気になるのは、
(うわっ……また揺れてる)
穏と蓮華の胸であったりする。ここで言っておきたいのが、彼は健全な男子であるということだ。少なくても、ボールが足元に来るたびに打ち返そうとしてかがむと揺れる胸に興味を示さないのは、別に男としてはおかしい事ではない。
(……まぁ、別にそれが良いとか……ごめんなさい。さっきからかなり気になってます)
 自分の心にツッコミを入れる姿も見ていて同情したくなるほど羨ましいものである。
「正に、パラダイスだな」
「そうなのか?」
「ああ、ってえええ!」
 再び、気配を感じさせず後ろに居た思春に声をかけられ、思いっきり驚愕の声を上げる一刀。
(あのー、って言うか、気配を消して近付かないでくださいよ、思春さん)
 心の中で文句を言うのは、実際に言ったら恐らく首に剣を突きつけられるのが目に見えているからだ。
「思春は入らないのか?」
「私は護衛だ。一緒に遊ぶわけはないだろう」
「さっきは、西瓜割りしてた……いや、何でもありません」
 どうやら、彼女の視線が突き刺さるだけで、首に剣を突きつけられているも同然らしい。まぁ、このようなことは彼も慣れているらしいのだが。
 そして、再び彼女と彼は蓮華達を見る。すると、思春はゆっくりと口を開いた。
673 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 01:30:05 ID:Tv67LnGw0
「変わられたな……」
「えっ?」
「いや、蓮華様の事だ。お前に会ってから今の世界に来るまで間に」
「……そういえば、伯珪も不思議がってたっけ?」
 先ほどの伯珪の言葉を思い出す。
「あの方はいつでも、亡き先代に囚われ、孫呉の誇りと運命を背負っておられた」
「ああっ、知ってるよ」
 それは、蓮華が1人の少女としての生活を妨げ、冥琳との衝突を生み、そして自分自身が傷ついてまでも守ったものだ。
 だが、この世界には、
「けど、そんなものはない」
「知っている。お前が作ったこの世界では、現に蓮華様は、あんなにも笑っておられる」
 すると、ゆっくりと思春は彼の目の前へ行くと、そのまま膝をついた。
「この世界に連れてきてくれた事について、まだ何も言っていなかったな。改めて……礼を言う」
「いや、そんな事は……」
「いや、これは私にとっては重要な事だ」
 それは、彼女にとっても恐らくはけじめなのだろう。
 ずっと、蓮華の側で支えようとしてきた彼女の、そして、彼女の笑顔を見ることをずっと望んでいた彼女にとっての。
「いや、多分お礼を言うのは俺のほうかもな」
「はっ?」
だが、一刀のその言葉に思春は少しだけ虚を突かれていた。
674 名前:エロ本[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 01:35:36 ID:Tv67LnGw0
「俺が今ここで楽しいって思えるのは皆のおかげだ。
蓮華、小蓮、穏、思春、それだけじゃない、愛紗達や華琳達、月や恋達。皆が俺のかけがえのない日常を与えてくれる。
そういう意味じゃ、俺も皆にお礼を言わないといけないのかな?」
 あの三国志世界の外史が終わる時に願った日常。それが今はここにある。
「それに、蓮華や小蓮の笑顔を見れるのは、俺にとっては最大の褒美なんだろうな」
 もしかしたら、この海での出来事も、誰が願ったのかは知らない。だが、それは一刀達の中ではかけがえのない日常なのだ。
 蓮華が水着で恥ずかしがる事も、一刀の気を引こうと積極的になる事も、穏が胸で西瓜を潰した事も。
 全部が彼らの宝物として永遠に保存される。
「ふっ、相も変わらず面白いやつだ。だからこそ、蓮華様もお前に惹かれたのかもな」
 思春は言葉につられるように、自分の唇を綻ばせる。
「まぁ、これからもよろしくって事だ」
「そうだな」
 いつ終わりが来るか等、一刀たちは知る由もない。
 だからこそ、彼らはこの世界を生きていくのだ。
「一刀―!」
「シャオ達と一緒に遊ぼ!」
「よし!いってやるか」
 そして、一刀は再び蓮華の元へと向かう。

 自らと彼女たちが願う日常へと。


               =了=祝!本日発売

手抜き&駄文でスマソ……orz

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