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121 名前:恋と一刀と愛情料理[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 03:03:33 ID:GyAc7q+l0
この俺北郷一刀は考えた。
あの自由奔放天上天下唯我独走な勢いでいつも授業をエスケープする可愛い恋についてだ。
大事な仲間である恋がたかが退学如きで離れねばならないなど正史が仕組んでも俺が許しません。
俺だって恋の成績を危惧して勉強しようと言葉をかけたこともある。
嘆願しても食べ物で釣ろうとしても子犬のような目に勝てない俺が悪いというのか。いや悪く無い。
そしてあの子犬アイに打ち勝つべく、愚考を重ねて幾星霜。
食べ物だとむしろ俺が釣られてしまうわけで、お願いだと敵わないわけで。
やはり俺にしか出来ないことで攻めるべきか?
ふむ……H?(……ご主人様?)おっと愛紗の冷めきった声が聞こえるような気がするからこれはだめだな。
おお、そうだ。愛紗で思い出したが手料理なんてどうだろうか。
不肖この私、上手とは言えないがハンバーグにカレーなど子供料理になら少々の自身が御座います。
簡単だし量もカバーできるだろう。……きっと。
口の周りとかを少し汚しながら食べるんだろうな…………っは!危うくトリップするところだったな。
じゃあ行ってみようか。
122 名前:恋と一刀と愛情料理[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 03:08:02 ID:GyAc7q+l0
家に帰り暖をとろうとする生徒と、部活動に励む生徒に分かれ放課後は始まる。
恋に会うため、屋上を目指し少し駆け足。
屋上に着いても恋は見あたらない、きっと屋根の上だろう。
なぜ屋根に登れるように梯子なんてあるのかは華蝶仮面が知っているかもしれない。
気にしても仕方なく、かじかんだ手をすり合わせて梯子にに手をかけた。
「お、居た居た」
恋は学校の制服を着て屋根の上の景色のいい所に座っていた。
しかし、景色は良いが風通しもいいこの場所は体を冷やしてしまう。
女の子は体を冷やしてはいけないものだ。
「…………? ご主人様?」
梯子の音で誰か来たのは気づいていたようだ。
俺と気づいたときに心なしか顔が嬉しそうになったと思ったのは自惚れているだろうか。
「寒くないの?」
後ろから抱きかかえるように座る。
「……少し。でもご主人様があったかい」
可愛いことを言ってくれた。
「そっか。体がちょっと冷えてたけど、杞憂だったみたいだね」
「……」
「……」
穏やかで暖かい沈黙。
心地いい沈黙だが、本願を果たさなくてはならない。
123 名前:恋と一刀と愛情料理[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 03:10:02 ID:GyAc7q+l0
「恋」
少し強く抱きしめ、話しかける。
「……何? ご主人様。」
「学校は楽しいか?」
耳元で囁くように訊ねる。
「んっ……ご主人様やみんなと一緒にいれて楽しい」
少し身じろいで声を漏らした恋の耳は少し赤くなったかもしれない。
「でも授業をよく抜け出すのは感心しないな」
「……授業は……苦手」
俯いてくぐもった声の可愛らしい抵抗
「恋?」
再び問いかけると、恋は抱擁から逃れようと動き出した。
心中で失敗したかなと苦心に思っていると、一度は離れた恋のほうから抱きついてきた。
「……苦手」
顔こそ見えないが胸の中で呟くように声を出す。
「一緒に学校に行けなくなるのは困るだろ?」
「……(コクコク)」
胸の中で頷いてくれた。
「だから、一緒に勉強しないか?」
髪を梳きながら提案する。
「……一緒に?」
首を傾げながら目を合わす。
一騎当千の武将だったとは思えないくりっとした可愛い目。
「一緒にだ。頑張るんだったら料理をご馳走してもいい」
ダメ押しのように一言添える。
「…………(コクコク)」
少し間があったがこれなら頑張ってくれるだろう。
「じゃあ早速明日からでいいかい?」
善は急げと言うもので、幸いにも明日は土曜日だ。
「……(コクコク)」

かくして北郷一刀の願いは達せられ、恋の喜ぶ顔とこれからの学生生活に思いを馳せながら帰途に着いた。
124 名前:恋と一刀と愛情料理[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 03:14:42 ID:GyAc7q+l0
あけましておめでとうございます
懺悔です
少しオチが弱いかなと思いますが、筆が進まなかったのでこれで纏めてしまいました
一部セリフの終わりに。が入ってしまっています。申し訳ありません
年明け早々なにやってんのとか思った人の後ろには華蝶仮面二号がいます
これからも精進いたします
改行規制は嫌いです

では今年もよろしくお願いします

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