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700 名前:エロ本[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 23:32:39 ID:D4z34jfN0
 毎度どうも、エロ本です。手元に謝謝が来て、落ちたのが明らかになったのですが、その前に欲望と妄想をぶつけたので……
 なお、今回は終わりには了を付けませんので……あとがきを書きますのでそれを終わりの合図としてください。

 なお、題名は『恋姫†無双〜サイド呉〜』です。
701 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 23:36:09 ID:D4z34jfN0
 ただ、彼の見上げた先にあるのは空だった。
 果てしなくどこまでも澄んだ青い空。おそらく彼の世界でもめったに見る事は出来ないだろう空がそこにある。
「……朝か」
 ぼんやりとした頭で、彼はその空をおぼろげに見ていたりする。
 何があったかを今一度整理してみようとするも、頭が働かない。いや、働かす必要が無いのかもしれない。これから、やる事は起き上がり、学校の支度をする事だからだ。
「さて……」
 そして、彼はゆっくりと立ち上がり、近くにあるはずのクローゼットへと手を伸ばす。だが、実際に触れたのは……竹であった。
「へっ?」
 一気に頭が覚醒する。それは同時に周りの風景を一気に脳に送り込んでいた。
 見渡すばかりの竹林。正直に言えば、こんな見事な竹林は少なくても彼の住んでいた聖フランチェスカの傍にはないものだ。
「て、何じゃこりゃーーーーーーーー!」
 某刑事風に叫んだところでこの謎が解ける訳でもないのだが、それでも叫ばずには居られなかったようである。
「な、何だよ、ここ……まて、ここで慌てるな。クールだ、クールになるんだ」
 どうにかして、頭を落ち着かせようとする。
「すーはー、すーはー」
 とりあえず、落ち着くために深呼吸までする一刀。だが、その効果は意外とあった模様で、何とか考える余裕ができた模様である。
「……よし」
 何とか、頭を冷静に戻した後に再び周りを見渡す。
 周りにあるのは、確かな感触の竹。それは決して幻でないことがわかる。当然、聖フランチェスカの周りに無い事は先ほども述べた通りである。
「……どうなってんだ?一体……」
 そういって、彼は状況を整理しようと昨夜までの記憶の糸を慎重に手繰り寄せていく。
「確か、昨日は……」
702 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 23:42:05 ID:D4z34jfN0
 しばらく考えていた。
 不思議な少年のこと。鏡のこと。そして、その鏡から発せられた光のこと。そして、彼の結論は、
「全然、分からん」
とりあえず、この現状に白旗を上げることであった。
 まったくもって、理解不能な事態に思考を放棄し、地面に座り込む一刀。
 本来ならば、ここかどこかを突き止め、自らの寮へと向かう方法を考えるところなのだが、奈何せん、彼の腹の虫がそれを見事に邪魔していたりする。
「おい!」
「どうすりゃいいんだろ?」
「おい!」
 唯でさえ、追い詰められて余裕がない時に、その声が一刀の耳へと届いた。
「ん?」
 振り向いていると、そこには男が三人いた。大きいのと小さいの、そしてその二人のリーダー風な男である。3人とも同じような服装をしていて、頭には黄色い布をバンダナのように巻いている。
「ん?じゃねぇぞ、このくそ野郎!ぶち殺されてえか?」
「いや……えーっと……」
 正直に言えば、理解ができず話すことさえままならなかった。手に持っている剣とかは、彼が見た限りでは本物と大差ないように思える。
「兄ちゃん、いい服着てんな」
 ある意味、一刀にとっては不思議な問いであった。着ているのは学校の制服だ。特に珍しいものでもなければ、別にかっこいいものでもない。
 だからであろうか。彼は次の言葉の意味を理解できていなかった。
「だから、着ぐるみ置いてけや」
 それが、本当の追剥であるという事に。
703 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 23:46:39 ID:D4z34jfN0


 首に峰を打ちつけられる感触。それは確実の敗北の感触であった。
「ぐはっ」
 衝撃と共に木刀を柔らかい地面に落とす。彼だって、剣道をしているので剣を落とす意味は分かっている。それはすなわち、敗北。
「ったく、手こずらせやがって」
「て、……抵抗しない方がいいんだな」
 地面の湿った感触を振り払おうとしても無駄であった。アニキと呼ばれた山賊の足がそれを許すことはしていない。
 3対1、しかも相手は武器持ちという圧倒的な差を埋める事は達人であったとしても無理なのだろう。しかも、3人の追剥は戦いなれをしており、万に一つの勝ち目もなかった。
「とっととやっちまえ」
「……わかった」
 そして、完全に一刀の意識を奪う為に、デクと呼ばれている男が剣を持ち上げる。もう、終わり。これ以上の未来は闇に包まれていると思ったその時だった。

「ちょっと、待った!」
 闇を切り裂くような、それでいて幼い声が響く。
「あっ?」
 その声に、その場にいた誰もが唐突の乱入者に目を向ける。そこにいたのは、声に相違ない一人の少女であった。肌は浅黒く焼けており、何故かパンダに乗っていたりする。
「何だテメェは!」
 アニキは、一刀に向けていた剣の切っ先を、その少女に向けなおす。だが、少女はおびえる事を知らないのか、パンダから降りるとゆっくりと追剥達の方へと近寄っている。
「それ以上近づいてみろ! ぶっ殺すぞ!」
「そんな脅し怖くなんかないもんね♪」
「なっ!」
 その言葉は確かなのだろう。でなければ、おそらくこのように歩くことさえままならないだろう。いや、普通ならば切っ先を向けられただけで、威圧されてしまうのが普通なのだが。
「こ、この野郎!」
「大の大人が、そんな物を振り回して楽しいの?」
「あ、遊んでるだと? ゆるさねぇ!」
 どうやら、その言葉は彼の堪忍袋の緒を切る刃だったのか、彼は大声を張り上げた。
704 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 23:51:06 ID:D4z34jfN0
「デク! やっちまえ!」
「……で、でも……」
「そいつだって、奴隷市場に売れば金になんだろうが!」
 最低の思考である。
「……うん、捕まえる」
 だが、デクはそれに従うように、剣を構え、飛びかかった。
「危ない!」
 一刀が枯れそうなほど声を張り上げた。それが、全く無駄な行為であったとも知らずに。

 ガキッ!

 注意すること自体が無意味だった。少女の手にあるのは、装飾の施された大きめのチャクラムである。
「なっ!」
 その場にいた全員が声を上げていた。それもそうだろう。体格差の違うデクの一撃をか細い少女が受け止めたのだ。
「弓腰姫の名は伊達じゃないのよ!」
 力など必要がないように、チャクラムでその受け止めた刃を地面へと流すと、少女はデクの懐へと入り込み、

 ドスッ!

「げぼっ!」
彼の鳩尾に正確な一撃を食い込ませていた。
 圧倒的
ではないとはいえ、どう見ても腕は少女の方が上だ。だが、悲しい事に追剥は引くことを知らないのか、アニキはさらに声を上げる。
「この野郎が! デク! チビ! 一気にやるぞ!」
「へい!」
「……う、うん」
 同時に向く三つの刃。それを一斉に少女に向かって振りおろせば、いくら相手が強くても差を埋める事が出来るのだと、彼らは思ったのだろう。
 だが、それは大きな間違いであった。
705 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 23:55:02 ID:D4z34jfN0
「ふ〜ん、でもいいの?」
「何がだ!」
「別に……ただ、わたしだけじゃなくて、周りも見た方がいいのかな〜って」
「はっ?」
 その自信はどこから来るのか。その答えはいつの間にか彼らを囲んでいる人影なのであろう。
 一刀が視認できる範囲だけで、20人以上はいる。陰に隠れているのも合わせれば、その3倍近くになるだろう。
 さらには、その先頭に白虎おり、いつでも彼らに飛びかかれるような姿勢をとっていた。
「な……なな……」
「皆、わたしの仲間だよ? どうする?」s
 その言葉は事実上の勝利なのだろう。唯でさえ敵わないのに、その上数でも彼女達の方が圧倒的に上回っているのだ。もう、追剥たちに勝ち目など残ってはいなかった。
「くそっ! ずらかるぞ!」
「「へい!」」
 アニキもそこまで馬鹿ではないらしく、手下に命令すると、そのまま踵を返して走り去って行った。どうやら、北郷 一刀の命運はまだ尽きていないようであった。



 追剥との遭遇から約数十分後、一刀は……
「あの……何で、俺は縛られてるんでしょうか?」
何故か囚われの身になっていたりする。
「安心してくだせぇ。取って食やしませんよ」
 近くにいるガラの悪い、というか、少女の話によると、完全に山賊らしい男が一刀に話しかけている。そして目の前には先ほどの少女が虎の上に跨って、一刀を品定めするように見ていた。
 ちなみに、今まで聞いた話では、この少女は家を飛び出した後の放浪中に、彼らのような山賊を次々と仲間にして、今では2000人ほどの仲間を持っているという凄い少女らしい。
「珍しい服を着てるよね〜」
「何か、光ってやすしね」
706 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 00:01:56 ID:bT5ybiXa0
 どうやら向こうは勝手に話が進んでいるらしく、しかも妙な方向に伸びているのが言葉の端々からわかる。
 そして、なにやら相談が終わって、少女は一刀に近づいてくる。そして、念を押すかのようにもう一度一刀を見ると、あっさりと言った。
「うん、合格♪」
「はっ?」
 唐突の合格発言。
「よく見れば良い男だし……」
「あの〜、意味が分からないんですが……」
 唐突の発言についていけないのか、混乱する一刀。だが、そんなことも気に掛ける暇もないように少女は頭の上にオタマジャクシを浮かばせるかの如く、喜んでいたりする。
「えっと……とりあえず、聞きたいことがあるんだけど……」
 本来ならば、逆の立場だとは思うのだが、一刀はそんな事は気にする暇もないらしい。
「うん♪何?」
 だが、少女も特に気にかけていない。だから、一刀はそのまま言葉を続けた。
「ここは何所?」
「へっ?ここは、楊州会稽だよ?」
(揚州って、日本じゃないよな?)
 揚州会稽。すなわち、中国の地方名だ。特に、揚州は揚子江の河口付近に位置しており、またその中の会稽は揚州の東部に位置している。
 ただ、一刀がその事を理解しているとは到底思えないが。
「つまり……日本じゃないんだよな?」
「?……【にほん】って……何?」
 どうやら、少女は知らないらしい。つまり、それは彼女の中で日本が存在していないことも示していた。
「あ〜、次……」
「ダメ♪わたしが質問に答えたんだから、わたしも質問していいよね?」
「えっ……ああ……」
 確かに一方的な質問では失礼であろうと思ったのか、簡単にうなずく一刀。それを見ると、少女は楽しそうに言う。
707 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 00:06:23 ID:bT5ybiXa0
「あなたの名前は?」
「俺の名前?……ああ、俺は北郷 一刀」
「ふ〜ん、一刀ね」
 いきなり苗字ではなく、名前で呼ばれているのも、一刀は気にしていない。
「じゃあ、今度は俺から、君は誰?」
「シャオはね、孫尚香っていうの」
「はぁ……そんしょうこう……ってえええええええ!」
「な、何?」
 一刀が驚くのも無理はないのだろう。孫尚香といえば、彼らの世界では、三国志に出てくる昔のお姫様の名前だ。
「えっと……冗談?」
「む〜、冗談じゃないもん! シャオは正真正銘の孫呉のお姫様なの!」
 一瞬、一刀の中の時が止まった。
「……孫呉」
 それは、三国志に出てくる中国の国の一つだ。
「……タイムスリップ?」
 そんな言葉も出てくるが、それも彼は否定する。当時のお姫様は基本的にお城に閉じこもるのが定石のはずだ。如何に孫尚香が『弓腰姫』と呼ばれるほどの女性だったとしても、こんな竹林でパンダや白虎、山賊達と一緒にいたりはしないだろう。
「どうしたの?」
「いや……実は……」
 全てとは言わないまでも、少しだけ事情を話してみようと、思ったその時であった。
708 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 00:11:03 ID:bT5ybiXa0
「孫尚香様! 大変です! 黄巾党の連中が!」
 彼らの間に割りいったのは、武装した山賊の息切れと声であった。
「どうしたの?」
 いったん話を中断し、報告しに来た山賊へと向き直る孫尚香。そして、それを確認すると、山賊はさらに話を続ける。
「向こうの山に陣を張ってやす。数はおよそ6000」
 6000。その数は少なくても、今、孫尚香が仲間にして一緒にいる山賊達のほぼ3倍だ。
「ふ〜ん、シャオ達にやられた腹いせにやっちゃおうってわけね」
「いや……実は、問題はその後なんです」
「ん?」
 どうやら、山賊の言いたい事が分からないらしく、首をかしげる孫尚香。だが、その態度は次の一言で途端に変化していた。
「実は、その後に呉の兵士が来たんですが、数が少なくしかも食糧とかも持っていたんで、そいつらに襲われてるんです! 多分、黄巾の連中を狩るのが目的じゃなかったんで油断してたんだと……」
「何ですって!旗印は?」
「たしか『丁』」
 瞬間に孫尚香は白虎に再び飛び乗ると、
「皆を集めて! 丁ちゃん達を助けに行くよ!」
と、急いでその報告の場所へと向かおうとする。だが、それは無謀な事だ。
「けど……相手は6000.こっちは呉の連中と合わせても3000がいいとこじゃ……」
「でも、丁ちゃんは友達なの! それに、呉の皆が襲われてるのに、指を咥えてみてる、何てことは出来ないんだから!」
 彼女の瞳に映る強い意志。それはおそらく誰も止められないのだとわかったのだろう。
「野郎ども! 孫尚香の為に死ぬ気で行くぞ!」
 それは、一斉の雄たけび。山賊達が命を懸ける声。それが竹林の中に響き渡った。
「でも、統率には軍師みたいなのが必要なんじゃ……」
「む〜、こういう時に穏がいれば……」
 だが、やはり問題は残っているらしく、イマイチ締まっていない。だが、そこで声を上げたのは意外な人物であった
709 名前:恋姫†無双〜サイド呉〜[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 00:14:45 ID:bT5ybiXa0
「……あのさ」
「ん?何?」
「俺も手伝おうか?兵法とか知ってるし……」
 声を上げたのは、一刀だ。
「ふ〜ん。でも、戦いには慣れてないんでしょ?」
「でも、君みたいな女の子が戦場に出ているのに、俺だけ逃げるって言うのは出来ないよ」
 それは、正真正銘の本音だった。
「だから、直接戦う事は出来なくても……何か手伝いたい」
 瞳には決意の文字。それを見ると、孫尚香は笑顔を浮かべていた。
「うん。ますます気にいっちゃった♪」
「へっ?」
「いいよ。シャオに付いてきても……」
 それは共に戦う事を許された証拠なのかもしれない。これから始まる、戦という現実の中で。
「ああっ……あと一つ」
「ん?」
「縄を解いてくれない?」
 しかし、最後まで締まらないのが彼‐北郷 一刀のだらしない所であったりもするが。


 こうして、もう一つの外史が幕を上げる。
 新たに始まる外史。それは、一刀と孫呉の皆が織りなす、もう一つの世界……
710 名前:エロ本[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 00:24:59 ID:bT5ybiXa0
という訳で、これで終了です。

 本来なら、この後も作りたいんですが……丁奉とか程普と呂蒙とか黄蓋とかも出す羽目になりそうなので……。
 時間かかるし、私が作るキャラは『萌え』からほど遠い。オリキャラは敬遠されるしね……orz

 要望があれば……という事で。

 最後に……
 かぜあめさん……作品が素晴らし過ぎです……勝てない……orz

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