- 246 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 15:38:23 ID:CFgVpdDh0
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( ´∀`)つ ミSS
基本的にゲームの設定を流用しているつもりですが、ムジュンがあるかもしれません。
その辺は脳内設定ということでお許しを。
以下、月が洛陽入りするまでを描いてみました。
漢の都、洛陽。
帝の威光もすでになく、宮中では民の嘆きを聞くことなく日夜繰り返される宴。
そしてその裏で行われている、泥沼のような権力争いの構図。
闇夜の中、城の屋根上からそれらを見下ろす一人の男がいた。
「ふむ……まずはこれを利用させてもらいましょう」
男はそうつぶやくと、おもむろに白い導士服の裾から数枚の人型をした紙切れと筆を取り出した。
そして紙切れに何かを書き記し宙に放った途端、それらは人間の姿へと変わった。
男が彼らに何事かを言いつけると、彼らは宮中に散っていった。
「北郷一刀……ですか。直接手を下すわけにはいかないというのは、左慈にとっては歯がゆいでしょうが」
男はひとりごちる。
「私としては腕のなるところ。ふ、さあ傀儡達よ。終わりなき悪夢に踊りなさい」
そう言うと男は一言の呪を口にし、宙に溶けて消えた。
- 248 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 15:39:05 ID:CFgVpdDh0
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昼下がりの渡り廊下にコツコツと靴の音が響く。
竹簡の束を小脇に抱え、詠が結った髪を揺らしながら足早に歩いていた。
幾つかの門をくぐり、向かう先には小さな庭園が見えてくる。
その庭園は質素ではあるが、その地の風土、景色を巧く取り入れた見事な造り。
庭園の奥には周囲の風景を映し込む池が広がっていて、そのほとりに小さな庵が建っている。
そこに一人、儚げな印象の少女の姿があった。
「月、殿が呼んでいらっしゃるわ。すぐに来るようにって」
庵に月を見つけた詠が、そう叫ぶ。
「御父様が……?うん、今行くね」
月はそう返すと、机の端に置いた数冊の書を取り庵を出た。
月の父は、漢に仕える将軍の一人であった。
各地を暴れ回っていた黄巾党討伐のため、一軍の将を任され官軍を率いて戦った。
黄巾の乱終息後にその働きを認められ、併州の州牧という地位を与えられた。
そして相次ぐ騒乱を鎮圧すべく、併州中の各所を奔走していた。
そんな中、大将軍何進からの密書が届く。
密書には、朝廷の乱れの元凶である宦官を討ち帝の威光を取り戻すべし、といった内容が書かれていた。
- 249 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 15:40:20 ID:CFgVpdDh0
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「そういうわけだ。他ならぬ大将軍の命、我等も行かねばなるまい」
董州牧――月の父は嘆息する。
併州に関して言えば目立った乱も鎮まり、多少の軍を残せばしばらくは離れても問題はない。
だが、何よりもこの何進の判断そのものに頭を痛めていた。
朝廷がここまで乱れていると知らせてしまえば、諸侯の中に天下を狙う者も出てくるに違いない。
董州牧はここに危惧を抱いたのだが、おそらく何進の事、そこまで考えが回らなかったのであろう。
こうなってしまった以上、諸侯の野望を抑えるためにも出向く必要がでてきた。
「そうですね。我等こそ行くべきと考えます」
状況を知った詠がそう進言する。今の話を聞いて、おそらく董州牧と同じ事を考えるに至ったのであろう。
それに董州牧はうなづいてみせる。
まだ若い彼女だが、その才知はいまや軍の者全てが認めるところであった。
そしてなにより娘の月と姉妹のように育った彼女に寄せる董州牧の期待は大きかった。
「うむ……そこでだ。今回の出征には月、お前も連れて行こうと思う」
思いもよらぬ父の言葉に、月は驚いた。
「私も……ですか?一体どうして……」
「わしの体もまだまだ動かぬわけではないが、そろそろお前も将として立つ時期と思う。
すでに詠も軍師団の一人として幾つも功を立てている事だし、おかしくもなかろう。
何、戦になると決まったわけでもない。これを機にお前を披露目ておくのも良かろうと思ってな」
「へぅ……でも私に将なんて、向いてないと思います……」
「確かにお前は性根の優しい子だ。わしとて出来る事ならお前には普通の娘として生きてもらいたい。
だが世情がそうは許すまい。わしには跡取りはお前しかおらぬのだ」
- 250 名前:4/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 15:47:55 ID:CFgVpdDh0
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跡継ぎは長兄あるいは長姉が取るものというならわしがあった。
もっともそれが確かであれば、帝の後継問題も起こらないはずではあるのだが。
月以外の子どころか血縁の者にも恵まれていなかった董州牧にとって、唯一と言っていい悩みの種であった。
「家臣達も領民達も、皆が納得する方法を取るべきだ。そうして初めて領地も安定しよう。
お前以外の誰を跡継ぎとしても、後の禍根となりうる。
……幸いにして詠という心強い者もいる。必ず、お前の力になるであろうぞ」
董州牧はそう言って詠を見た。詠はそれにうなづいて返し、胸を張って言う。
「月、ボクもそう思うよ。月ならできる。大丈夫、ボクがついてるから」
董家の跡継ぎに関する話題は以前からあり、詠はそのつど董州牧が頭を悩ませているのを見てきた。
そして今回の出征は、月を一人の将として立たせるにはまたとない機会となる。
この機会を逸してしまえば、今後も月は将として立つ事に躊躇してしまうだろう。
そう思った詠はいつもより強い態度で月を説得した。
- 251 名前:5/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 15:51:55 ID:CFgVpdDh0
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夕刻まで説得した末、結局今回は董州牧の後にくっついて動くという形で落ち着いた。
一人の将として軍を率いるわけではないため、跡継ぎとして十分、とはまだまだ言えないが
なにしろ今までは戦場に出たことすらなかった月である。これでも大幅な進歩と言えた。
「ねえ、詠ちゃん。皆の前で何か話さなきゃいけないとかある……?」
「併州軍で主だった将なら月の事は知ってるから、いまさら自己紹介なんてしないと思うよ」
ここは詠の自室。
従軍に同意こそしたものの、未だ不安が残る月の様々な質問に詠は答え続けていた。
「軍全体の指揮は殿がやるし、月も実際に兵を率いるわけじゃないからね。号令ってのもないかな」
もっとも機会があれば月にも経験して欲しいけどね……と心の中で付け加える。
「じゃあ、ホントに御父様と一緒にいるだけでいいの……?」
「そうだね。でも殿や皆がやってることをちゃんと見ておくんだよ。今回はそれが月の仕事」
「怖くない……?」
「大丈夫よ。私も月とずっと一緒にいるし、他の皆だっていつもと変わらないよ」
「そっか……ありがとう詠ちゃん。少し、安心したよ」
胸をなでおろす月を見て、詠もほっと息をつく。
「よかった。明日から準備で忙しくなるから、今日はそろそろ休んだほうがいいよ」
「うん、そうするね。遅くまでありがとう。それじゃ詠ちゃん、おやすみ」
「うん、おやすみ」
そういって部屋を出て行く月を見送った後、詠は自室の机に戻る。
月の件も重要な事だが、それより今回の出征は不安要素が幾つもある。
月を不安がらせることのないよう、何が起こっても対処できるだけの準備をしなくてはならない。
詠は洛陽周辺の地図をひっぱり出し、机に広げて思案を始めた。
- 252 名前:6/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 15:57:32 ID:CFgVpdDh0
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そして併州軍出征の日。
董州牧の号令のもと、十万を数える兵が一斉に洛陽へ移動を始めた。
陣容は董州牧以下、呂布、張遼、華雄などを筆頭にほとんどの将が顔をそろえている。
「へぅ〜。いっぱいいるね」
延々と続く行軍の様子を馬車から眺め、そう漏らす月。
「そうだな。これだけの兵を動員したのは黄巾の乱以来かもしれん」
董州牧が答える。
今回で実際に戦闘があるとすれば、おそらく洛陽の中……それも朝廷の宮中で、と考えられる。
それだけならそう多くの兵は必要ない。宮中は広いといっても入れる人数に限りがあるからだ。
今回はむしろ威圧が目的であり、そのための人数としてこれだけの兵が動員された。
そしてその威圧は宦官達だけでなく、他の諸侯に対しても有効なだけの人数が必要であった。
「それなりの物資、食糧は準備しましたが、いたずらに長引くと心配ではありますね」
そこに詠が大軍出兵の泣き所を指摘する。
「そうだな、すぐに治まってくれるとよいのだが」
「そっか……。兵隊さんのご飯もたくさん必要だね」
月が感心したようにうなづき、それを見て続ける詠。
「食糧だけじゃないよ。今はいいけど、季節も大事。種まきに収穫の季節や雪の振る冬は戦いたくないね」
月には出来る限りの多くの経験をさせてやりたいと、詠は董州牧に言われている。
詠は機会があれば、多くの事を学んでもらうつもりだった。
- 254 名前:7/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 16:16:42 ID:CFgVpdDh0
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「戦ってなんだかすごく大変なのに、どうして戦なんてするんだろう……」
「皆が皆、月のように優しい者なら戦などなかろう。だが、そうではない者もいるということだな。
戦をけしかける人物がいる……そして、戦のたびに兵達は命を落としてしまうのだと忘れてはならん」
月の疑問に、董州牧が答える。
「戦の理由にも様々だが……大抵は心無き逆賊が世にいることに端を発する。今回もそうだ。
彼らの悪行から罪なき民を守るために、我等は軍を率いて戦うのだ」
こうした疑問も月が語ることは珍しい。それだけ関心を示しているということか、と董州牧は考えた。
「そう思える月ならきっと領民に優しい、慕われる領主になれるよ」
詠は言った。
教える事はまだまだ幾つもある。けれど洛陽につくまでまだまだ時間がある。
まだ時間はあるんだ。
詠はそう思っていた。
- 255 名前:8/23 支援あり[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 16:17:31 ID:CFgVpdDh0
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蒼天已死、黄夫当立。
その旗を掲げ、十常侍をはじめ腐敗した政治を行う朝廷に反旗を翻した黄巾党。
その勢力は瞬く間に増大し、その力の前に多くの官軍が敗走を余儀なくされた。
だが指導者張角の病死により求心力を失った黄巾党はやがて瓦解し
各地を治める諸侯達により残党は討ち果たされ、乱は一応の終息を見る。
しかし国内に広まっていた朝廷への不信は収まるどころかより根強いものとなっていた。
そしてそこへ起きた、さらなる争乱。
漢王朝の皇帝、霊帝の死に始まる後継者争いである。
霊帝には二人の子があった。
一人は何大后を母に持つ弁皇子といい、もう一人は王美人を母に持つ協皇子といった。
何大后は嫉妬から王美人を毒殺し、協皇子を疎み霊帝の母である董大后に預けた。
後継者を決めていなかった霊帝の死後、十常侍は野心の強い何大后やその兄何進のからむ弁皇子より
協皇子のほうが利用しやすいと考え、協皇子を後継に立てるよう画策を始める。
こうして弁皇子を後継とする何大后と何進派、そして協皇子を後継とする董大后と十常侍派の対立が激化してゆく。
その中で、十常侍による何進暗殺計画が漏れたのがきっかけとなり宦官粛清事件が起こった。
これにより協皇子派は勢力を弱め、また董大后も何進の命により謀殺される。
こうして弁皇子が廃帝として即位することとなった。
しかし協皇子派はこれを覆さんと再び何進の暗殺を目論む。
その動きを感じとった何進は、徹底的に協皇子派を排除すべく各地の有力な諸侯を都に召集したのだった。
- 256 名前:9/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 16:27:21 ID:CFgVpdDh0
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そうして併州軍が洛陽に近づいた頃、すでに宮中では騒動が起こっていた。
諸侯の召集命令を察知した宦官は危機感を抱き、ついに謀略により何進を暗殺したのだった。
何進の側近達はこれに怒り狂い、宦官を粛清せんと宮中へ兵を差し向けた。
十常侍達は宮中で繰り広げられる殺戮から身を守るため、廃帝と協皇子を引き連れ宮外へ逃亡を図った。
だが十常侍は何進派の放った追手に捕まり、全員が処刑されることとなったが
いまだ帝の姿を見たというものはおらず、依然捜索の手は続いていた。
そうした情報を携え、斥候が併州軍の中軍へと戻ってきた。
併州軍は洛陽から数十里離れた所に陣を張っていた。
「……都の様子は、この様でございます」
斥候の報告を聞き終えた軍師団筆頭の李儒が、表情を曇らせる。
李儒は董州牧との若い頃からの友人で、若い頃は恋仲を噂されたこともあるほどの美しい女性だった。
もっとも月と詠の関係と似たようなもので、実際は友人止まりという事だったが。
「なるほど……一足遅かった、ということか。となると宮中は何大后が権力を握った形か」
「乱のあと、宮中の様子はどうだ?」
「ここは帝の捜索に加わるべきだろう」
李儒に続き、軍師団の面々が次々と意見を述べる。
「宮中はその後、ひとまず落ち着いたようでございます。帝については十常侍が捕らえられた周辺を中心に
捜索の手が伸びております。それと、洛陽に他の諸侯は見られませんでした。報告は以上です」
「ご苦労、下がって休みなさい。……そうなると、一番乗りは取ることができたか」
- 257 名前:10/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 16:39:15 ID:CFgVpdDh0
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下がる斥候を見送り、詠が進言する。
「帝捜索には手を回すとして……残りはこのまま洛陽へ進軍ね。城外に待機して様子見ってところかしら」
「そうだな。乱は収まったようだが、これで朝廷の権力の構図がかなり変わった。もう一荒れ来るだろう。
何進も大将軍の器ではなかったが、かといって代わりが務まる人物も今の都にはいない」
李儒がそう続けた。
「だが、妙な話だ。ここまで来て他の諸侯がやってくる噂すらないというのはどういうことだ」
「そうだな。曹操などは、すでに到着していてもおかしくはなかったが」
詠の発言を口火に、今後の動向についての検討が始まった。
そして長い議論の様子を見ていた董州牧が、機を見て口を開く。
「結局のところ、今は帝を保護するのが第一だな。その後については色々と意見があるようだが……。
引き続き洛陽内外の情報を集めるように。軍は城外まで進め、わしはその足で朝廷に向かう」
「はっ」
そうして、董州牧は会議から席を外す。同席していた月もそれに続く。
ぐったりした様子の月を見て、笑いながら董州牧は語りかける。
「はは、さすがに疲れたようだな。今日はこれまでだ。陣屋でゆっくり休むといい」
「へぅ……御父様、おやすみなさい」
月はそう言うとふらふらになって陣屋へ向かった。
その夜、二人の少年が山中に眠っていた。
二人は高貴なみなりをしていたが、その袖は擦り切れ、顔にも疲労が濃く滲んでいた。
彼等こそ、他ならぬ廃帝と協皇子であった。
十常侍の逃亡途中に二人の乗った馬車は暴走し、深い山奥まで来てしまった。
山道を見つけたまではいいが、帝が足を挫いてしまったために動けずにいた。
そこへ、一人の男が通りかかる。
「ふ、やっと見つけましたよ」
男は白い導士服を纏っていた。
- 259 名前:11/23 支援d[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 16:45:45 ID:CFgVpdDh0
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数日後、帝発見さるとの報が宮中に届いた。
協皇子ともども無事な様子であり、その報に宮中全ての臣が喜んだ。
だが帝と協皇子の瞳は虚ろに曇り、そしてその異変に気づいた者はいなかったのである。
月達は洛陽の街を散策していた。
帝は保護され朝廷もひとまず落ち着き、危惧していた諸侯も未だ姿もみせずにいた。
そのため月が暇を持て余すこととなり、董州牧のはからいで街に出かけることになったのだった。
「へぅ〜、すごい賑やかです。やっぱり都は違うね、詠ちゃん」
「ホントね。併州もいつかは司隷のように豊かにしてみせるわ……って恋、まだ食べるの?」
「………………………………………………モグモグ」
ふたりの護衛役として恋がつけられたのだったが、いつのまにか食べ物の匂いにつられて
フラフラと歩き回る恋に月と詠がついて行く形になっていた。
「でも詠ちゃん、食べ物もすごくおいしいよ。恋さんが夢中になるのもわかるなぁ」
「う……それはそうだけど。でもこれじゃどっちがお目付け役だかわかんないわよ」
と、溜息をつく詠。その裾をくぃくぃと引っ張る恋。
「また?こんどは何食べるの……って、アレは何かしらね」
恋が指差す先には、人だかりができていた。なにやら激しい音も聞こえてくる。
「喧嘩かな……?でも、みんな楽しそうに見てるけど」
月が言うように、喧嘩にしては取り巻く人々はずいぶんと楽しそうに見ている。
恋に引きずられるように人だかりに入り、三人が目にしたものは。
- 260 名前:12/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 16:48:07 ID:CFgVpdDh0
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大きな化け物のような物体が、逆光のなか全身を躍動させていた。
巨体に似合わず身軽に動くその物体は、腰に薄布を巻いただけの犯罪的な格好であった。
満面の笑みを浮かべ、動きに合わせほとばしる汗が陽光にキラキラと輝く。
不覚にもその一滴が顔にかかった詠は、状況を理解するやいなや昏倒した。
「え、何?……って、詠ちゃん、詠ちゃん!?へぅ〜、しっかりして〜」
周囲の人たちはそれも笑いながら見ている。どうやら随分と慣れているようだ。
ふと見れば誰もよせつけない強さを持っている恋ですら、表情に怯えが見て取れる。
月はこの異常事態の中、懸命に詠に呼びかけた。
「んぬっふぅ〜。今日もいい汗かいたわん。やっぱり美容には運動が一番ね」
そういって体を拭く貂蝉が向かった先には、いまだ意識の戻らない詠を介抱する月と恋がいた。
「それにしても、私の踊りをみて倒れちゃうなんて。ずいぶんとウブなのね」
体をくねらせる貂蝉に、恋は反射的に方天画戟を探す。
「あら、そんな怖い顔することないじゃなぁい。私の繊細な心が、傷ついちゃうわ。ぐすん。
ところで見ない顔ね。最近越してきたのかしらん?」
「いえ、ここへは……ちょっとおでかけにきたんです……」
貂蝉の問いに、月は怯えながらも精一杯の勇気を振り絞ってそう答える。
「あーらそう。ここ洛陽は楽しい都よ。おもいーっきり、楽しんでちょうだい。
ところでその眼鏡の子、まだ起きないのね。なんだかちょっぴり心配。
これも私の魅力のせいだものね。控え室に運んであげるから、そこで少し休むといいわ」
そういって詠を軽々と抱え上げ、連れて行く。
もし今詠が目覚めたら、その光景を見るや二度と目覚めることはないだろう。
月は祈りながら、恋とともに貂蝉についていくしかなかった。
- 261 名前:13/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 16:51:47 ID:CFgVpdDh0
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巨体に似合わずかいがいしく詠の介抱を手伝う貂蝉が口を開く。
「そういえば名乗ってなかったわね。私は貂蝉っていう、しがない踊り子よん」
そう言ってバチン、と片目を閉じる。
その風圧が額の髪を揺らすのを感じ、怯えながら月は名を名乗る。
「へ、へぅ……わ、わたしは董卓で、倒れてるのが賈駆ちゃんです」
「…………………………………………恋は、呂布」
その名を聞いた貂蝉が、少し驚いたように見えた。
「あらあら、こんなお人形さんみたいな可愛い子達になっちゃったのね」
ポツリと漏らすが、それは二人には聞こえない。
「ま何にしても、賈駆ちゃんなかなか起きないわねん。そうだわ。私すこし易もかじってるの。
ようは乙女の感ってやつだけど、どぅふふ。暇だし占ってあげる」
そういうと貂蝉は凄みのある眼差しで月を射すくめる。その威圧にかたかたと震える月。
「……これから、董卓ちゃんには転機が訪れるわね。それも今後の人生を変えてしまうほどの。
それはあまりにも大きな事だから、受け止めるまで時間がかかるかもしれない。
でも例え辛い事があったとしても、その先にきっと輝かしい未来があるわ。
何があってもくじけず、心を強くね。私が言えるのは、このくらいかしら」
そういうと、貂蝉はお守りを取り出した。どこから取り出したかは何故かよくわからなかった。
「これを月ちゃんにあげるわ。古い物だけど、きっと月ちゃんを禍から守ってくれるわん」
そういってお守りを手渡すと、貂蝉は仕事があるからと席を外した。
貂蝉が見えなくなった途端、詠がうっすらと目を開ける。
「詠ちゃん〜、よかった。心配したんだよ」
張り詰めていた心が緩んだのか、泣き出してしまう月。よほど怖かったのだろう。
「なんだか長い悪夢を見ていたようだわ……」
そう言いながら何故か泣いている月をあやす詠。
それを横目に、恋は貂蝉が立ち去った方向を見て、首を傾げながらつぶやいた。
「アイツ、なんで…………………月の真名、知ってた」
- 264 名前:14/23 4円どもです[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:02:00 ID:CFgVpdDh0
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陣に戻り、恋と分かれた二人は留守中に董州牧が宮中に呼ばれたと李儒から聞いた。
「帝も戻り、宮中は安泰のようなのだが、この期に及んで他の諸侯が一切見られない。
さすがにおかしいのでな、諸侯に向けて密偵を出してみた……するとどうだ。
諸侯は動かなかったどころか、密書についてどうするかといった議論すらなかったと言う。
考えるに、実は密書は我等にむけてのみ送られたのではないだろうか。
すでに何進もおらず、そうであっても今となってはその意図も計り知れないが……」
そこで月を一瞥するとそこで話を切り、李儒は続ける。
「まあ、この先はまた董州牧とも話し合った方がいいだろう。姫も疲れていらっしゃるようだしな」
「そうだね。月、陣に戻って休んでいなよ。何かあったら知らせるからさ」
そういう詠にうなづくと、疲れ果てた様子の月はふらふらと陣に戻っていった。
それを見送ると、詠は李儒の方に振り返る。
「……それってどういうことよ?ボク達は騙されたっていうの?」
「あるいは、な。その思惑が今も生きているのかはわからないが……不可解なことだ。
念のため殿には霞と屈強な護衛をつけている。もっとも騙し討ちならば軍ごと動かさせる必要はないが。
かといって朝廷には併州を空けさせる理由もない。併州を狙う勢力の仕業とも思えぬ」
こうした話題は月に聞かせるにはまだ早いだろう。詠と李儒はそう判断したのだった。
「確かに……妙ではあるけれど、読めないわね。単純にボク達を確実に呼び寄せるのが目的だったという事は?
他の諸侯にも宮中の乱れが知られたと思ったからこそ、今回動いたわけだし」
「それならそれで、正直にそう記せばよいはず。……待てよ、そうできない理由があったか。
あの命を下せるのは何進をおいていない。となれば、これは何進すら騙した上での手口ということになる。
この線は大げさすぎるとは思うが、消せないな。目的も見えんが、ここは注意しておくべきだろう」
「そうね……あるいは、すでに起きた何進の暗殺に利用されたのかもしれない。
何進を油断させて……っと、これはないわね。その必要はないし、返って敵を呼び寄せる悪手だわ」
「失策や悪手の類ならば、こうも心配することはないのだがな……」
ふと見れば、いつのまにか空は重く雲に覆われていた。
- 265 名前:15/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:03:07 ID:CFgVpdDh0
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結局、これからどうなるんだろう。
月は天幕をみつめながらぼんやりと考えていた。
疲れてはいるのだが、どうも眠れない。
貂蝉にいわれた易の話や、詠達の話が気になっているのかもしれない。
だがこれももうすぐ終わるだろう。父が帰ってくれば、住み慣れた併州に帰れる。
併州で留守を待つ母の姿を思い出し、急に故郷が懐かしくなってきた。
まだ併州を出発してから、そう日も経ってないのにな……。
そう考えていた時、本陣の方がなにやら騒いでいるのが聞こえた。
なんだろう……?行ってみたほうがいいかな。
月は身支度を整え、陣屋を出た。
すると思いのほか、陣中が慌ただしいのがわかった。
いままではのんびりとしていた兵達が、あわてた様子で武器や馬を用意している。
途端に胸騒ぎがおきた月は、詠達のいた本陣へ走っていった。
- 266 名前:16/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:04:15 ID:CFgVpdDh0
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「……!」
「そうだ!指揮系統は将に通達している!慌てるな……」
先ほどとは打って変わって殺気だっている陣の様子に、月は不安を隠せなかった。
こんな時、どうしたらいいんだろう……そうだ、詠ちゃんを探そう。
本陣の奥で軍議が取られるのを知っている月は、そこに詠を探す。
はたして詠は、そこにいた。
だが詠も忙しそうに、やってくる兵達の報告を聞いては次々と指示を飛ばしていた。
詠の邪魔はできない。
そう思い、言葉をかけられずにいると詠が気づいたようだった。
「月!これから忙しくなるから、月はここにいて!」
「詠ちゃん……これ、何がおこってるの?」
その言葉に、詠は少し戸惑った様子を見せたが、続ける。
「ボクもよくわからないけど、いきなり妙な集団が宮中に現れて占拠してしまったらしいの。
殿もまだそこにいるみたい。今軍を動かして、城を包囲してから突入するつもりよ」
話を聞いて、月は愕然とする。
たった今まで、楽しく洛陽の街を見ていたのに。
戦いなんてせずに、これから併州に帰れると思っていたのに。
そこへ、一人の兵が伝令にやってくる。
「李儒様!城の包囲が終了しました!」
どうやら不在の董州牧に代わり、李儒が指揮を取っているようだった。
だが、そんなことも気が動転してしまっている月にはわからなかった。
- 268 名前:17/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:28:35 ID:CFgVpdDh0
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「よし!そのまま包囲を続けろ。手はずどおり、全ての門から同時に突入する。突入部隊の準備を急がせろ!」
敵の正体はわからないが、突然の事に対しても併州軍の動きは見事なものであった。
李儒をはじめ軍師団にも、徐々に余裕がでてきたようだ。
李儒は月の様子に気づき、椅子を用意させるなどの配慮を見せる。
「姫、申し訳御座いませぬ。殿が敵方に捕まってしまったようです。聞いての通り、城は包囲しております。
これより精鋭をもって宮中に突入し、帝と殿をお救いする所存に御座います」
「月はここにいてね。相手はまだ攻撃してきているわけじゃないけど、何かあってはいけないから」
詠がそう続ける。月はただ、うなずくしかなかった。
そこへふたたび伝令が駆けて来る。
「突入部隊、準備終了しました!号令あればいつでも突入できます!」
「よし、これより突撃を開始する!伝令を……」
そこまで言った時、別の伝令がやってくる。
「お待ちください!敵側が正面城壁に人質を……!帝と殿の姿も確認できます!」
その報に、本陣にいた者全てが凍りついた。
「なんだと……!すぐに向かう!突入部隊に支持を待つよう伝えろ!」
そう言い残し、李儒らは城の正面に向かう。
たまらず月もそれについて本陣を飛び出し、それを詠が慌てて追いかける。
「待って、月!危ないから!」
「そんなこと言われたって……おとなしく待ってなんて、いられないよ!」
いつのまにか、雨が降り始めていた。
- 269 名前:18/23 ホント長くてゴメン[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:29:51 ID:CFgVpdDh0
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月達が城の正面につくと、それを待っていたように言葉を投げかけられた。
「もしも逆らうならば彼らの命は保障できませんよ。おとなしく我等に従っていただきたい」
白い導士服を着た男が月達を見下ろしている。
縄に括られ、城壁からぶら下げられている人質達はまるで眠ってでもいるように動かない。
「そちらの要求はなんだ……!」
李儒がたまらず、声を荒げる。
徐々に雨が強まっていく。
「まずは抵抗せず、すみやかに全軍投降してもらいたい。その後、そちらの姫をこちらへ遣していただきます。
その条件を飲んでいただければ、帝や董州牧の命は保障いたしましょう」
「馬鹿な……!そのような条件を飲めというのか!」
一方的な条件である。その上、見返りとしての約束もどうなるかわかったものではない。
だが、それでも帝に領主までも人質にされては、他に術も無かった。
「行きます……私が望みなら、そうします!」
突然月がそう叫んだ。詠も李儒も、その声量に驚いた。
依然強まる雨に負けないよう、精一杯の声を張る。
「わたしが行けば済むのなら……!そちらへ向かいます!だから……人質を引き上げてください!」
それを聞いた男が答える。
「いいでしょう。それでは正門を開きましょう。そこからお入りください」
その言葉どおり正門は開き、人質達も城壁に引き上げられた。
- 271 名前:19/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:45:47 ID:CFgVpdDh0
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雨に濡れた月が、城門をくぐる。
それに続いて詠と数人の兵が宮中に入ると、城門は閉ざされた。
詠が月に同伴することを願い出ると、男はあっさりとそれを承諾したのだった。
宮中に入ると、男と似た白装束を纏った者達が乱れることなく整列しているのが見えた。
そして月達が入ってくるやいなや、本宮へ続く道を空ける。
その統率に、人数。これだけの者をどうやって宮中に呼び込んだのか。
詠は恐ろしさを感じていた。
そうして月達が本宮に入ると、そこに先ほどの男と人質達がいた。
「……約束どおり、ここへきました。人質を解放してください。」
月がそう言うのを、詠は驚きながら見つめていた。
月が恐怖を必死に押し殺しているのはわかる。だがそれでも、月がこうして自ら矢面に立つ姿は
紛れもなく董州牧や詠が月に求めていた、あるべき領主の姿だった。
「ふ……、あなたが董卓ですね。あなたをここへ引きずり出すのに、随分と手間をかけてしまいました」
そして何気なく男が放った言葉に、詠は驚愕する。
帝でも、併州でも、董州牧でもない。月が目的だったとは、誰が気づけようか。
「アンタ!月をどうするつもりよ!」
たまらず詠が叫び、男はそれに薄笑いを浮かべて答えた。
「そうですね……私の駒になっていただきたい。そしてこの洛陽の領主として君臨して下さればそれで結構」
返って来た言葉は、詠には到底不可解な返事であった。
その反応をよそに男はおもむろに月に近づいていく。
「すでに帝も、だれもかも私の術中にあります。あなたもそれを受け入れなさい、董卓」
そういうと月に手を伸ばし、一言の呪を発した。
「操」
- 272 名前:20/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:46:41 ID:CFgVpdDh0
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途端、男の掌が怪しく輝いたが……それだけだった。
月もなにが起こったのかわからずにいる。男は舌打ちすると
「私の術が通じないとは……どうやら誰かの入れ知恵でもあったようですね。厄介なことです。
腐っても魔王董卓……ということですか。まあ、それならそれで使い古した手段をとるだけですが」
そういうと、指を鳴らす。
それに応じた白装束が、2人の人物を引きずり出す。
それは董州牧と、併州に残されたはずの月の母であった。
「御母様……!どうしてここに!」
しかし月のその問いにも答えることなく、ただその虚ろな眼差しを向けるばかりであった。
董州牧や帝も同様で、まるで人形のようであった。
「一体何をしたの……!」
「それをあなたが知る必要はありません。あなたがすべきは、その才知をもって董卓を守る事」
男は詠に言い放つ。
「そして董卓……あなたは併州軍を率い、この洛陽に留まればそれでいい。董卓の名と、少々の噂。
それだけあれば、本郷一刀を洛陽に呼び寄せることができるでしょう」
そうまで言った時、詠の後ろから人影が飛び出した。
「逆賊め!その首もらった!」
- 273 名前:21/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:52:09 ID:CFgVpdDh0
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それは詠とともに月に従っていた者達だった。彼らは男の首を刎ねる機会を窺っていたのだった。
彼らは懐に忍ばせていた短刀で、男に次々と刃を立てた。
しかしそこに手ごたえはなく、男は崩れ落ちたかと思うと導士服だけがそこに残された。
そして見れば帝のそばに、男の姿があった。
「馬鹿な……物の怪の類か!」
「てこずらせますね。まあいいでしょう。少しは見せしめでもないとわかっていただけない様子」
男の言葉の意味を悟った月が叫ぼうとする。
だが、その叫びが声となる前に男が腕を振るい――途端、その場にいた多くの者の首が同時に床に転がった。
男を襲った兵達だけではなく、廃帝そして他の多くの人質達が倒れ伏す。
残っていたのは男と協皇子、月と詠、そして月の両親だけであった。
その惨事に月と詠は身を震わせ、崩れ落ちる。
「わかっていただけましたか。貴方がお望みなら、幾らでも首を差し出してご覧にいれましょう。
帝とて例外ではありません。あなたの行動はすべて、あなたの知る者達の首に繋がっていると思いなさい」
男の言葉をそこまで聞いて、月と詠は意識を失った。
「ふ……仕掛けはこれで良いでしょう。あとは餌を撒き、魚が食いつくのを待つだけ」
瞳に暗い光を宿した男は、そう言うと次なる罠を張り巡らせる為に動き始めた。
その男の名は、干吉といった。
- 274 名前:22/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:56:09 ID:CFgVpdDh0
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朝廷が乱れる中、何進は劉協派を排除すべく各地の有力な将を都に召集した。
しかしその動きを見て取った宦官の企てにより何進が暗殺される。
そうした情勢の中、召集された将の一人に、併州牧である董卓があった。
董卓の有する強力な軍事力に目をつけた劉協派の宦官達は、董卓を味方につけることに成功した。
その軍事力を背景に宦官達は狙い通り廃帝から皇帝の位を奪い、劉協を献帝として即位させるも
逆にそれを董卓に利用され、やがて董卓は相国という位に就き朝廷を牛耳ることとなった。
いまや帝の威光も地に落ち、洛陽は董卓の暴政の下まさに地獄となっているという――。
その噂は広く流れ、もはや国にそれを知らぬ者は居ないほどであった。
そしてその暴挙を止めるべく、打倒董卓を旗に掲げ多くの諸侯が立ち上がる。
やがて彼らによる反董卓連合軍が結成され、董卓軍との血で血を洗う戦いが始まることとなる。
洛陽の本宮には、一人の少女が玉座に座っている。
「月は、悪いコだから……仕方ないんです……」
- 275 名前:23/23[sage] 投稿日:2007/05/21(月) 17:57:12 ID:CFgVpdDh0
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お終いです。
本スレで月の両親の生存云々を伺っておきながら結局組み込めなかった次第です。
ゲーム内で併州牧という地位でありながら、月がなぜ、どういう経緯で洛陽入りしたのか
全く描かれてなかった期間の一部を妄想してみました。
流れの関係で十分描ききれなかった死伏線や死設定もいくつもありますが
そのへんは紫苑の谷間のように深い優しさでご了承ください。
それとたびたびの支援に感謝。
長いことお付き合いくださり、ありが惇でした。