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147 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:06:48 ID:8ukfea6y0
書けたので貼ります
だらだら書いていたら59kになってしまいました。


 あれから1ヶ月の時が流れた。
 俺は今、俺の作り上げた新しい外史の中で異なる外史から来た28人の女の子たちと学園生活を送っている。
思えばこの1ヶ月は大変極まりない1月だった。
現代機械とか法律とかこの世界の常識を簡潔に彼女らに教えたが、
やはり何事も口で教えても慣れないといけない。
愛紗は電化製品使い方がいまいち分かっていなかったのだろう。
自慢の炒飯を作る際に火加減などいろいろ間違え、
あの世界で俺に初めて作ってくれたあの炒飯よりも
凄い炒飯を持ってきてくれたり(もちろん完食したが)、
鈴々と翠なんかは勝手に公園で真剣をつかっての打ち合いを始めちゃって、
巡回していた警察官に見つかり、銃刀法違反で厳重注意されていたり。
でも皆今となってはこの世界に見事に順応してくれた。
こういうことが無いことはいいことだけど、
教える方として教えることが無くなったというのはちょっぴり寂しい気もした。
 愛紗達の入学・住居手配等に関しては、貂蝉が取り仕切ってくれた。
その点で感謝したいものだが、住居に関して、皆は女子寮、俺はあのプレハブみたいな男子寮に隔離されて住んでいる。
ちなみに俺の隣人はあの及川だ。
貂蝉はそればっかりはどうしようもなかったと言っていたが実際はどうなのだろう?
148 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:08:19 ID:8ukfea6y0
そんなことを考えてながら朝食を食べていると、
「一刀様、まだ寝ていらっしゃるのですか?」
と玄関のドアのノック音と共に凛とした声が聞こえた。
考え事してたらもうそんな時間になってしまったのか。
「ちょっと待ってくれ、もう1分ぐらいで行くから」
「まったく、1分じゃ遅すぎるでしょ。あと10秒で出て来なさい」
「愛紗、華琳、もうちょっとゆっくりさせてもいいんじゃないか・・」
「蓮華、この男は甘やかしたらつけあがるからこれぐらいが一番いいのよ」
・・今日は愛紗と華琳と蓮華が来てくれているらしい。
そうそう、言い忘れていた。
愛紗達が一緒に通学してくれるのはうれしいことだが
28人+俺っていう大所帯で行く訳にはいかず、毎日本郷軍、魏、呉の各1人ずつ当番制で俺と通学することになった。
2分後
「はいよ、お待たせ」
「遅い!10秒で出て来いって言ったでしょう?あなたは昔から呑気なのだから少しは性格を直しなさい」
「華琳のように10秒とまでは言いませんが、確かに一刀様は呑気が過ぎます。もうあと20分で鐘(チャイム)が鳴りますよ?」
「まぁ、いいじゃないか。急げば間に合うのだし。この性格でこそ一刀なのだから」
「あら、呉の守成の名君と呼ばれた孫仲謀が朝っぱらからお惚気かしら?」
「そ、そう言う訳ではない。恥ずかしいことを言うな!」
「ごほん、2人ともそれくらいにしてさっさと行くぞ。さ、一刀様も行きましょう」
こうして、俺の多忙な1日は始まる。
149 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:09:22 ID:8ukfea6y0
通学路では少し急ぎながらも、昨日魏の皆で札遊び(トランプ)をしていたところ春蘭が負けまくった上に桂花にからかわれたため暴れそうになったとか、
恋が行方不明になったかと思えば、人気の無い所であらゆる動物に囲まれて寝ていたとか、
皆の近況を踏まえた世間話をしながら登校することが出来た。
そんな他愛も無い話をしていると
「一刀、おはよ〜」
と、声が聞こえると同時に背中に何かが飛びついてきた。
「小蓮、お前が一刀と登校していいのは明後日のはずだろう。なぜこんなところにいるのだ」
「だってシャオは将来一刀のお嫁さんになるんだも〜ん。妻が夫と一時も離れたくないと思うのって普通だと思うんだけどな〜。あと、お姉ちゃんが一刀に何かしてないか監視しなくちゃいけないもの」
「まったく、別になにもしないというのに・・」
「はは、まぁもうすぐ学校だし、中等部も高等部のお隣だし。小蓮もこの際だから一緒に行こうか。」
「一刀!そんな規則を破ることなど」
「さすが一刀ね。お姉ちゃんなんかよりシャオの気持ちが分かってるわ」
「小蓮!!」
そうこうと蓮華と小蓮が言い争っていると、見るに見かねたのか華琳と愛紗が
「いいじゃないかしら、蓮華。あなたは姉なのだから、妹の行動にも寛容でありなさい」
「私も一刀様がよいとおっしゃるなら、今回は特別に認めても良いでしょう。ただし、規則は規則ゆえ、今回だけ、ですよ?」
と、言い放ったお陰か、蓮華もしぶしぶ了承してくれた。
150 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:17:31 ID:8ukfea6y0
「では、私たちは自分の教室に向かいますゆえ、失礼いたします」
小蓮と出会って10分ぐらいだろうか。俺たちは校舎に到着し、各々の教室に向かうことになった。
「おや、一刀殿。愛紗と一緒だったとはいえ、今日も授業にギリギリでしたな。」
「ま〜一刀様は向こうにいたときからよく寝坊してたからな。しょうがないっしょ」
「そういえばそやったな。まぁ間に合ったから良かったやん。もうあと3分で遅刻やったとこやで」
俺が自分の教室のドアを開き教室に入るや否や、3人の女の子達が駆け寄ってきた。
星と翠と霞である。この3人は俺と同じクラスになった子たちだ。
クラス分けされたとき、霞なんかは「愛紗と同じ教室がええ〜」と最初の頃はさんざん駄々をこねていたが、
休み時間になると会いにいけるし、体育などでは愛紗のクラスと合同で行っていることから妥協したらしい。
「うん、なんとか間に合ってよかったよ。で、今日の時間割は・・うわ〜強烈だな」
「世界史、数学、英語、漢文、化学、体育、ですな。確かに主要五教科が入っているとなると、気を引き締めていかねばなりませぬ。」
「うわ〜数学と英語が連続してあるのかぁ。やばいなぁ、あたし今日3限目ですでに死んでるかも」
「いや、俺が強烈と言ってるのはそこじゃなくて・・・」
「ま、なにはともあれ体育入ってるからええやん〜今日は愛紗と柔道でもしたいな〜」
こういった会話が弾んできた頃だろうか、チャイムが鳴り、先生が入ってきて1時間目の世界史が始まった。
151 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:19:35 ID:8ukfea6y0
1限の世界史、2限の数学が終わり、3限の英語が終わった時点で、翠は宣言どおりに燃え尽きており、
一方で霞は6限目の体育の時間が近づくにつれてテンションを上げていたが、俺としてはここからが大変なのだ。
キーンコーンカーンコーンと3限目と4限目間の休憩を終わらせるチャイムが鳴り、漢文の先生が入ってくる。
「はーい、皆静かにしましょうね。」
母性に富んだやわらかい声が教室を包む。
この先生こそ最近赴任してきた先生の1人であり、数少ない聖フランチェスカ男子生徒の憧れの的となっている人である。
「じゃあ早速授業の方を始めますね。27頁を開いてください。ここの問1を星ちゃん、問2を・・お疲れの翠ちゃんにやってもらおうかしら?」
「承知した」
「紫苑〜お願いだからカンベンしてくれよ〜」
「紫苑先生、でしょ。翠ちゃん、授業中は寝てないでちゃんとしなさい。さ、問い2の方をお願いね」
「だってこれ、漢詩じゃんか〜。韻とか絶句とか意味わかんないよ」
「詩を解さないとは無粋だぞ、翠よ。なんならこの私が問2もやってやろうか?」
「う〜、わかったよ。やってやろうじゃないかよ」
「うふっ、いい子ね。」
そういうと、星としぶしぶ問題を解くことを了承した翠は黒板に向かい、思い思いの解答を書いていく。
「じゃあ、2人が解答を書いてくれている間に次の長文の和訳を読んでくれる人を指名しておこうかしら。一刀君、お願いできるかしら」
「えっと、この文章はちょっと・・・」
「お・ね・が・い・できるかしら?」
「・・・わかりました」
152 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:20:18 ID:8ukfea6y0
このやりとりの間に、星と翠は解答を書き終えていた。解答の結果は星が正解、翠が不正解だった。
翠なんかはいかにも「くぅ〜」と言い出しそうな顔をしていたが、
紫苑が俺に出した長文和訳の問題のお陰で、今の俺には翠をなぐさめるほど余裕はなかった。
文章自体、和訳しにくい性質のものだったし、なにより、文章中に「共に床」とか「陰門」ってあるのだが。
確か蒼天○路では女の人のあそこのことを「陰門」って書いてあったし・・この部分はどう訳したらいいものですか?紫苑さん?
「それじゃあ、一刀君、次の文章を訳してもらえるかしら?」
「え〜と、『帝は戦場での(中略)ご帰還なされたあと、後宮の后の処に行き・・え〜・・共に床について、后の陰門で抜くことなどを行い、一夜を過ごした・・?』」
「ふふ、最後の部分が曖昧ですよ?陰門って何かしら?」
「・・降参です」
「うふふ、しょうがないわね。ここは『后の処へいくための陰門を通り抜け、共に床について一夜を過ごした』でいいのよ。つまり、陰門っていうのは名称で、ただの門だったということね」
あぁ、俺の考え過ぎだったのか。てっきり「陰門」があれのことだと思った。
どれにしても、暗にとはいえそう訳した俺って。ずいぶんとこれは恥ずかしいぞ。
「ずいぶんと大胆に訳してくれましたね。ふふ、ご苦労様、一刀君」
こういった出来事もあったが、4限目の紫苑による漢文はなんとか終了した。
153 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:26:43 ID:8ukfea6y0
「では、授業を始めます。教科書43頁を開いて。今日は火の熱量について授業します。」
この先生は冷たく言い放ったこの教師は最近赴任してきた教師の1人であり、美人だが氷のような冷たい印象を受ける人である。
この教師こそかつての呉の軍師、周瑜公謹である。
彼女は、というか彼女にかかわらず朱里、華琳、穏、詠などはこちらの学問にいたく感心し、勉強している。
ただ、周瑜と彼女らと違うところは周瑜がすでに教職員になれる年齢だった、ということで勉強がてら教師をしている。
ちなみに紫苑はほとんど無勉強で漢文の職員になれたらしい。考えてみれば漢文って彼女たちの母国語だし。
 で、周瑜の話に戻るが、正直俺は彼女が少し苦手だ。というのは周瑜が俺を目の敵の如くあたってくるから。
その理由は簡単だ。俺が周瑜に認められていないからだ。
この世界に来て周瑜と蓮華の確執は解消されただけでなく、逆に周瑜はいろいろと蓮華の世話をすることとなった。
ただその「世話をする」程度で済めばよかったのだが、周瑜は蓮華の恋愛事情までおせっかいを焼いてしまうこととなった。
蓮華に告白する男子の中で周瑜が認めない奴は----蓮華が振った男子だとしても----全て彼女の陰謀術数によって酷い目にあわされているらしい。
証拠が掴めないからさらに性質が悪い。
俺も周瑜から認められていない男の1人だが、俺は例外であった。
蓮華が周瑜を止めてけれているからだ。それは俺にとって有難いことであるが、周瑜にとって面白くないことだろう。
その証拠に廊下とかすれ違った時とかすげー怖い形相で睨んできたり、
・・ほら、授業中で俺の方をみたらやっぱり親の仇を見ているような顔をする。
教師と生徒という立場上あからさまな嫌がらせを受けないがこれはこれで怖いんですよ、周瑜さん。
ちなみに周瑜が認める男子というのは周瑜より賢いことが最低条件らしい。
・・・赤壁の英雄相手に無理だろ。常識的に考えて。
 そういったことを考え、時々周瑜から「ちゃんと授業を聞きなさい」と辛辣な叱りを受けながら、
なんとか周喩からのプレッシャーから解放してくれるチャイムが鳴った。
・・なんで化学の授業時間はこんな長く感じられるのだろう?と思わずにはいられない5限目だった。
154 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:27:30 ID:8ukfea6y0
ある意味一番楽しみな、ある意味一番逃げたい時間がやってきた。
その教科は体育。
俺は体育という授業自体は数ある教科の中で一番好きな授業だった。しかし----
「か〜ずと〜さま〜」
・・・この化け物のせいだ。
言ったかもしれないが、聖フランチェスカは男子がクラスに1人いるかいないかという人数である。
にもかかわらず体育は男女別、しかも男子の教師はこいつときた日には首を吊りたくなる。
「あら〜今日、早川君はお休み?もうしょうがないわね」
「そうやで、今日はかずピーと俺しかおれへん」
「あら、じゃあ私と一刀様と及川君の3人になってしまうわね。今はなにしようかしら」
「じゃあ卓球でええんちゃう?かずピーもそれでかまへんやろ?」
「・・ああ」
「それじゃ、早速体育館にいきましょ」
こうして、俺と及川と筋肉お化けは3人で体育館で卓球をすることとなった。
・・及川お化けのせいで卓球する光景は燦燦たるものだった。なぜなら----
「行くぜ、スペシャルローリングサーブ!!」
「ふふ、こんなもの傾国之美女リターンでお返しよ!」
及川と貂蝉がこんな終始こんなテンションなので正直ついていけないし、なにより周りの視線が痛い。
誰か助けてくれ・・そう切に願う6限目だった。
155 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:28:31 ID:8ukfea6y0
放課後、俺は部室に向かった。目的はもちろん部活をするため。
剣道部には愛紗、鈴々。マネージャーとして朱里が入ってくれた。
他の皆が何の部活をしているのかは、また別の機会に話すとしよう。
 男子部員が少ないゆえ、無駄に広々とした部室の中で、今日の打ち合い予定表一覧が貼ってあったので見てみる。
そこには「第1試合 本郷一刀対張鈴々」という試合が組まれていた。
・・・明日は筋肉痛とお付き合いかな。そう思いながら準備を終え、道場の方へ向かうと威勢のいい声がする。
「てやぁ〜、たぁ〜」
あぁ、この子供じみた掛け声を発するのは鈴々だ。
そんな掛け声とは異なり、見た感じ竹刀のキレは鋭かったし、重さも十分ありそうだ。
「ふぅ、準備運動はこれでだいたい終わりなのだ。」
「よう鈴々、精が出るな」
「あ、お兄ちゃん。今日は愛紗と一緒じゃなかったの?」
「あぁ、愛紗は風紀委員会でちょっと遅れるらしいぞ。」
「ふーん。そうそう、今日鈴々とお兄ちゃんとで打ち合いだね。鈴々負けないのだ」
「はは、くれぐれもお手柔らかにな。くれぐれも。じゃないと、また愛紗が・・」
「う〜ん、お気の毒だけど練習に手加減したら意味が無いのだ。だから全力で戦うのだ」
「はは・・」
こりゃあ本格的に覚悟を決めないといけないな。
そうこうしているうちに、主将や愛紗が来て全体練習が始まり、打ち合いが始まった。
俺と鈴々の試合は一瞬で着いた。
鈴々が始めの合図と共に仕掛けてきて見事に不意を突かれた俺は胴を一突きされてしまっていた。
あ〜あ、これで・・
そう思いながら恐る恐る愛紗の方を見ると、やっぱりすごい睨んでる。
試合を終え、場外に出ると、
「いかに相手が鈴々といえど、一瞬で胴を取られるなど言語道断。やはり今日も部活の後特訓をすることとしましょう」
と俺に愛紗が冷たく言い放つ。
「・・やっぱり?」
「当然です。しかも今日は試合内容がひどすぎます。その分厳しく致しますからお覚悟をなさってください」
そう、俺が打ち合いでだらしない試合をしたら部活後に特別特訓をすることとなってしまっているのだ。それも愛紗直々の指導で。
はぁ、欝だ。
----結局、部活終了後に俺は結局愛紗と打ち合いを丸々1時間みっちりとやらされたとさ。
156 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:36:36 ID:8ukfea6y0
「まったく、一刀様はだらしがなさすぎます。もしそんな腕でゴロツキにでも絡まれてしまったらどうなさるおつもりですか」
「まあまあ愛紗さん。一刀様もがんばっていらしたし・・ね」
「でもまだまだお兄ちゃんは弱っちいのだ。今日の試合も一瞬だったのだ。」
俺は剣道部のメンバー、愛紗、鈴々、朱里と帰路についている。
下校は部活の都合とかあるため、誰が俺と一緒に帰るとか特に決めていない。
ゆえに同じ部活の子達と帰ることが多い。
「まぁ確かに鈴々が即断即決で来るって予測できなかったのは俺のミスだな」
「そうです。一刀様も鈴々の猪突猛進の性格をよくご存知のはず。あの敗北はそれを分析しきれなかった一刀様の落ち度です」
「にゃ、2人とも今鈴々のことすごく馬鹿みたいに言ってない?」
「い、いや別に」
「いいも〜ん、どうせ鈴々は馬鹿なんだも〜ん」
「はわわ、鈴々ちゃんがいじけてしまいました」
「う〜ん、どうしよ愛紗?」
「大丈夫です。鈴々、駄菓子屋に寄って行くか?」
そう愛紗がいうと、急に鈴々の顔がぱっと明るくなる。
「行く!絶対行く!」
扱いやすい奴だ。
愛紗と朱里もたぶんそう思いながら俺たちは駄菓子屋に行った。
157 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:37:35 ID:8ukfea6y0
駄菓子屋では10円ガムやらプチヨーグルトやら懐かしいものが売っていた。
これには鈴々だけでなく俺も心が弾んだ。
ここまで来ると、なにか買いたくなってくるのが心情というものだろう。
「おばちゃん、俺はこの練りアメとうまい棒ください」
「あいよ、30円」
「愛紗と朱里もなんか買うか?」
「私は遠慮しておきます。甘いものは少々苦手なもので」
「え〜と、私はこの桃味の飴を頂きたいのですが・・・」
「うん、じゃあおばちゃん、この飴も一緒にお願い」
「はわわ、それぐらい自分で払いますよぅ」
「いいよ、こっちの方が楽だろ。鈴々の分も一緒に払うつもりだったし」
「・・いいのでしょうか?」
「気にするなって。」
顔を紅くし、うつむきながら「・・お願いします」とつぶやく朱里。
飴1つで喜んでくれるなんて僭越至極だ。うんうん。
「で、鈴々は選び終わったか?」
「うん、こんだけ」
そういって俺に差し出した駄菓子の量は・・・かご一杯分。
「鈴々、まず問いたいのだが。こんなに食えるのか?」
「1人で食べるわけじゃないのだ。星とか翠とか紫苑にも分けてあげるのだ。じゃ、お兄ちゃん、お会計お願いしますなのだ」
ゆうに2000円は超えそうだ。
でも鈴々は居残り訓練のときも俺を待っててくれただけでなくいろいろとアドバイスをくれたりしてくれし、
なにより鈴々が皆のことを思ってくれたことは評価できる。
だからここは涙をのむこととしよう。
「・・おばちゃん、このお菓子もお願い」
駄菓子屋で2000円以上の出費を重ね、俺は帰途に着いた。
158 名前:一刀の1日 @羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:38:18 ID:8ukfea6y0
はぁ、今日もなんだか疲れたな。
駄菓子屋に言った後、俺たちは今日の近況報告などしばらく話をして、各々の寮へ帰ることとなった。
男子寮の部屋に帰ってしまえば基本的にだれもいない、俺だけの時間になる。
こんなとき、俺は向こうの外史にいたときのことを考える。
今この世界にいると向こうの世界の時間が幻の時間だったように思われる。
でも、そのなかでたくさん人と出会い、たくさん戦をし、たくさんのことを学んだ。
それはまぎれもなく俺が経験した出来事であるし、なにより------
「皆がこの世界に来てくれて、本当によかった」
皆がいてくれたから、俺は向こうで生きることができた。
それ以上に、皆は俺に愛すること、愛されることを教えてくれた。
その皆がもしこの世界にいなかったら・・あの世界の出来事もだんだんと儚く色あせていっただろう。
愛するべき人たち。その人達の存在が今でもあの世界のことを形づけてくれている。
この世界では俺が皆の支えとなろう。
あの世界で皆が俺を支えてくれたように。

----それがこの世界で俺ができる『恩返し』なのだから。

159 名前:羊 叔子[sage] 投稿日:2007/05/09(水) 20:48:15 ID:8ukfea6y0
思った以上に見にくい文章になってしまいました・・
しかもやたら長い。
そこらへんを気にせず読んでくれたら幸いかと。

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