- 738 名前:鈴々[sage] 投稿日:2007/03/24(土) 10:06:52 ID:9F447uCo0
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「フー…」「……っ」じりじり…自分の間合いに少しずつ、少しずつ入っていった。
「っしゃおらぁ!」「…んにゃっ!」
槍を思いっきり振って先制攻撃をしたが、いささか間合いが遠すぎたし、タイミングが早すぎた。
翠の一閃を、背丈の倍以上ある矛を使って鈴々は、あざやかに受け流した。
「あっ!」攻撃を受け流され、体勢が崩れた翠へー
「うりゃりゃりゃーっ!」ー乱れ突き!
「くっ…!」なんとか乱れ突きは防いだものの
「うりゃー!!」とどめと言わんばかりの気合いの入った一撃が翠に炸裂した。
「…ぁっ!!」
翠の槍は弧を描き飛び、遠くの地面へ突き刺さった。そして鈴々は転んでしまった翠へ矛先をつきつけ、笑顔を見せた。
「へへーっ。また鈴々の勝ちだねー。」
「くそぉー!これで一勝二敗かぁー!」
お兄ちゃんと愛紗がいなくなってから長い時間がー実際にはそれほど時間は経っていなかった。
長く感じているだけだった。…おにいちゃんがいなくなってから時間が流れるのがとっても遅く感じるようになった。
…どうしてかな?紫苑にそのことを聞いてみたら
「それは鈴々ちゃんにとってご主人様がとっても、とっても大事な人だからよ…。」って悲しそうに言ってた。
…よくわからなかった。よくわからなかったけど、鈴々がお兄ちゃんのコト、いまでも大好きなのだけは…わかった。
- 739 名前:鈴々[sage] 投稿日:2007/03/24(土) 10:08:21 ID:9F447uCo0
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「もういっかい!」ってまた勝負する気満々な翠を制して、鈴々は庭を散歩した。
お兄ちゃんがいなくなってからも、さっきのように、翠と手合わせすることはやめなかった。
確かに腕を鈍らせないようにするためでもあった。だけど…多分、一番の理由は、お兄ちゃんのこと考えずに済むから…。
真剣勝負の時は、相手をどうやって倒すか…ただそれだけを考えていればいいんだ。
けど…こうやって一人でぼんやりしていると…ほら、やっぱりお兄ちゃんのことばっかり考えてる。
お兄ちゃんはズルい…。真剣勝負をしてみても、お酒を沢山飲んだって、鈴々の胸からでてってくれない。
胸が苦しいよ…お兄ちゃん…。
何でお兄ちゃんはいなくなっちゃったの…?
どうして………どうして!どうして!?
約束したのに…ずっと、一緒にいてくれるって、約束したのに!!
鈴々…いい子にしてたよ…?…どうしてなの…?
そうやって考えてしまうと涙が止まらなかった。拭いても、拭いても、目から涙があふれてしまう。
わかってる…お兄ちゃんが天の国に帰ってしまうのは仕方がないことだって、
こうやって泣いててもお兄ちゃんは戻ってこないことも…!
頭ではわかってる。だけど、涙は全然止まってくれなかった。
今でも悪い夢を見ているんじゃないかって。朝、目が覚めたらお兄ちゃんがいるんじゃないかって。
鈴々意地悪するために、どこかに隠れてるんじゃないかって…。
そう考えたけど、頬をつねっても痛いし、目が覚めても、どこを探してみても
お兄ちゃんはーいない。
- 740 名前:鈴々[sage] 投稿日:2007/03/24(土) 10:10:26 ID:9F447uCo0
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ゴシゴシ…彼女はもう一度涙を拭いて、空をー一刀がいるであろう空を仰いだ。
だけど…少なくともこうやって泣いてるうちは、お兄ちゃんは帰ってこないと思う。
いい子でいるから…お仕事もちゃんとやるし、警邏も訓練もサボらないから…。
いつか…いつかかえってきてね…。
少女は空に向かって笑顔を見せた。その笑顔は、この蒼天のように晴れやかだった。
少女の涙が…止まったー
- 741 名前:鈴々[sage] 投稿日:2007/03/24(土) 10:14:49 ID:9F447uCo0
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はぁー…も、ダメ。鬱になってきますわ('A`)
自分にシリアス系は向かないことがわかりました。
もうシリアス系はしばらく書かないと思います。
鬱になってくるのもそうだし、作品の方向性が被ると、どうしても食傷気味になりますしね。
それじゃあ、読んでくれた方々ありがとうございました。