[戻る] []

512 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/03/12(月) 01:37:18 ID:C87+gzsL0
久々に外史を紡ぎたい気分になって書いてみた

まだ途中までだから続きは後日ってことで
モチベ維持の為に今書いたとこまででも晒そうと思う
513 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/03/12(月) 01:38:36 ID:C87+gzsL0
これは、由々しき事態だ。
その筈なのに、あまりにも異常な現状に思考が上手く追いつかない。
「愛紗、どうする?」
「……いや、どうすると言われても……」
歯切れの悪い声。
困惑という困惑に満ちた声音が、本当に自分の声には思えない。
目の前には、信じがたい光景。

――――ご主人様と貂蝉が、いちゃついていた。

私と星、翠の三人が見ているにも関わらず、止まる様子のない蛮行。
あまりにも見苦しいその光景に、さすがの星も苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「……で、何故このような惨状に?」
「わからん。私が朝駆けをしようと主の部屋に忍び込んだら、こうなっておった」
「こうなってたって……」
この際、星がしようとした『朝駆け』に関しては言及しないでおこう。
とにかく、今は目の前で行われている状況を何とかするのが先決だ。
今、ご主人様は貂蝉の膝枕にうっとりと目を細めている。
「あ〜……お前の膝枕、ゴツゴツしてて気持ちいいなぁ……固めの枕って感じで」
「あらやだわん♪ ご主人様ったらん♪」
不気味極まりない光景だ。
嫌な顔ひとつしていない辺り、ご主人様は気が触れたとしか思えない。
「主、さすがに私もこれは引きますぞ……」
「こ……こここ、この!エロエロ魔神っ!!」
「翠。そのツッコミはさすがにどうかと思うが」
514 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/03/12(月) 01:45:01 ID:C87+gzsL0
口々に辛酸に満ちた言葉を放つ私たち。
しかし、そのどれもがご主人様には届いていない様子。
「何ならこのまま、耳掻きでもしてあげちゃおうかしらぁん♪」
「ははは。こやつめ」
正視に堪えかねるご主人様の痴態から、揃って目を背ける。
翠はおろか、いつもは飄々としている星ですら渋面で奥歯を噛み締めている。
かく言う私もそうなのだが。
「ん〜♪ ご主人様とこんなあまぁい時間が過ごせるなんてカ・ン・ゲ・キ♪」
「ああ、俺もずっとこうしていたいぜ?」
貂蝉の甘い囁き声に耳を傾け、その言葉に頷くご主人様。
見ていると、胸の奥がチリチリと痛む。
関雲長の魂ではなく愛紗の心が、目を背けたたくなる現実に悲鳴を上げる。
「……とにかく、一旦退こう」
「ああ。ご主人様はちょっと頭が壊れちまってるだけさ。
 あたし達で何とかご主人様を正気に戻してやろうぜ! このままじゃ不憫すぎる!」
「何気に酷い物言いだが……異論はない、な」
あまりの居た堪れなさに三者三様の渋面を浮かべながら、私たちは玉座の間を後にした。
背中から今も聞こえてくる、心底楽しそうなご主人様の声音。
心にきりきりと爪を立てるような感覚に、私は拳を固く握り締める。
それは、どうやら翠と星も同じようだった。
(ご主人様……何で……)
あまりにも受け入れ難い現実に困惑した頭を抱えて、私は深く溜息を吐いた。
515 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/03/12(月) 01:47:59 ID:C87+gzsL0
「さて……どうしたものか」
場所は代わって、私の部屋。
気持ちを落ち着ける為に淹れた茶を飲みながら、三者三様の思索に耽る。
現状の推察だけは、様々な意見が飛び交った。
妖しげな薬を使われた、妖術や呪詛の類、頭を打ってご乱心……。
だが、憶測は飛び交っても肝心の解決策がちっとも見出せない。
朱里に相談しようという意見も出たには出たのだ。
そしてそれは迅速に実行されたのだ。
だがしかし、我が軍の誇る神算知謀の軍師殿は、主の痴態を前に気を失ってしまった。
今は運ばれた寝床の中で魘されていることだろう。
「ん〜……槍でご主人様の頭を一発ブン殴ってみるか?」
「却下だ。翠の馬鹿力では、ご主人様をそのまま昇天させてしまいかねん」
「ば、ばばば……! い、言うに事欠いて馬鹿力とは何だよ!?」
「いや。翠なら本当に加減を違えてしまうかもな」
星の言葉に、私も同意する。
……と言うか、幾らあの状態でもご主人様に手を上げる真似は避けたい。
稀に手を上げている気がしなくもないが、そこは目を瞑っておく。
「……だが、実際どうすればいいものやら……」
「簡単な話だ。愛紗がご主人様を篭絡してしまえばよい」
不貞腐れた翠の言葉に、さも当然のように言う星。 
……。
「今、何と言った?」
「愛紗が、ご主人様を篭絡すればよいと言ったのだ」
516 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/03/12(月) 01:53:22 ID:C87+gzsL0
「あ、え……いや、いやいやいや! そ、それは……あぇ!?」
唐突な星の言葉に、私は思わず動転してしまった。
上手く呂律が回らずに慌てふためく私を、星は面白そうに見やっている。
言葉遊びでは、星には勝てない。
何とか状況を打開しようと翠に助けを求めようとして――
「……あー……」
翠は、部屋の隅で床に『の』の字を書いていじけていた。
ぶつぶつと、呪詛のように『ばかぢから』と連呼している。
そこまで傷つくとは悪いことをした気になってくる。
「翠……?」
謝辞を述べようとして呼びかけるも、心ここに在らずといった感じの翠。
救援も期待できず、星は他人事、挙句に打開策の一つも思いつかない。
観念した私は、やや投げ遣りに星の提案に賛同した。
「……もういい。勝手にしろ」
「そうそう。諦めが肝心だぞ、愛紗よ。
 お前の魅力で、上手いことご主人様の目を醒まして差し上げよ」
満足そうに頷く星。
諦めが肝心……だが、ご主人様のことを諦められない以上は腹を括るしかない。
「私は城壁で一杯傾けるとしよう。
 愛紗。もしもお主の魅力でどうにかならなかった場合は、私を呼ぶがいい」
「どうするつもりだ?」
「知れたこと。お主の魅力でどうにかならぬのなら、私の魅力でどうにかするまで」
挑戦状とも取れるような、星の言葉。
見え透いた挑発だと承知の上なのに、私の胸の奥底がカッと熱くなる。
「……いいだろう。私がご主人様を虜にしてみせよう」
「フフ。期待しているぞ、愛紗」
挑発めいた視線を真っ向から見返しながら、私は頷いてみせる。
星からは、ご主人様を虜に出来るという自信が滲み出ている。
負けたくない……ご主人様の一番でありたい。
そんな気持ち――独占欲にも似た慕情が、私の闘争心に火をつけていた。
やってやる。
何やら主旨がズレている気がするが、とりあえず置いておくことにしよう。
517 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/03/12(月) 01:55:54 ID:C87+gzsL0
とりあえず今日はここまで
続きはまた明日にでも書いて投下します
お目汚し失礼しました

 [戻る] [上へ]