思いつき投下
思春は悩んでいた。
最近、主である蓮華の機嫌がいい。王という地位に苦しんでいた昔とは大違いだ。
原因もわかっている。北郷一刀の存在だろう。
昨日も北郷と一緒に市へと出かけていたようだ。
それはいいのだ。いやよくはないか。問題は北郷だ。
自ら望んだとはいえ、彼に抱かれた。そして主である蓮華と共に抱かれたりもした。
それで終わるはずだったのだ。いや、そうしなければならないのだ。
しかしこの感情はなんなのだろう?情が移ったとでもいうのか?馬鹿馬鹿しい。
私にとって蓮華様の幸せこそが全てなのだ、いやそうでなくてはならないのだ。
だが、何故こんなにも胸が苦しいのだ?
穏にも相談してみたが、ニヤニヤされただけだった。自分に正直になればいいんじゃない、
と言われたもののどうすればいいのだろう???
ええい、甘興覇ともあろうものが何を悩んでいるのだ。
本人に聞いてみればいいのだ、北郷一刀本人に!
一方そのころ秋蘭もまた悩んで・・・・・・・・はいなかった。
魏の将は皆そうなのだが、自信家でもあり、また力もあった。
悩む前に行動する、というと大抵は失敗に終わるのだが、良いほうに向かうこともできた。
だからそうすることが当然であるかのように北郷一刀の部屋の前まで来ていた。
「おや、珍しいな。孫権の護衛が一人でこんなところで何をしている?」
「貴様こそ曹操の取り巻きが何をしにきたのだ?」
「私か?私は北郷に相談があってきたのだ」
「私もそうだ。先約があるのなら仕方が無い。今日は出直すとしようか。」
「私のほうは構わないぞ。どうやら同じ相談のようだしな」
察しのいい秋蘭は何かに気づいたらしい。
「同じ相談とな?そんなことがあるものかな?」
思春の問いかけは聞こえないかのように秋蘭はつぶやく。
「ふむ、甘寧殿と一緒とはまたおもしろい。奴はどんな顔をするのだろうな。ふふふ。」