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318 名前:蓮華の人[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 23:01:00 ID:JG42fnSn0
では、昨日の続きを投下しますね。
319 名前:華琳7[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 23:03:16 ID:JG42fnSn0
「はい!」
「華琳様!さみしゅうございました!」
「あらあら。この子達ったら私が帰ってきたらずいぶん喜ぶのね。ふふふ、相変わらずカ
ワイイ♪」

「あの、華琳様。この三日、何をしてらっしゃったんですか?」
「何かを作ってらっしゃった様ですが…。目の下の隈がおいたわしい…」
「ああ。この三日、ほとんど寝てないものね…そんなに酷い?」
「ええ…すっかりおやつれになっております」
「そう。食事をとったら少し休むわね。桂花はもうぐっすり寝てるわ」
「はい」

朝食もそこそこに、華琳様はさっさと自室に戻り、お休みになられた。
「あ〜眠い…春蘭、秋蘭。くだらない用事で私を起こしちゃ駄目よ。…そうね。昼から一
刻ほど過ぎても私が起きてこない様なら、起こしてちょうだい」
「「はっ」」
「準備があるからね」
「はっ??」
「あ、ううん。こっちの話」
「はぁ…」
事態がさっぱりわからず、私と春蘭は顔を見合わせた。
明らかに、華琳様は私達にも内密に何かを企んでおられる。桂花だけがそれを知っている
のだろう。
春蘭など、桂花に激しく嫉妬したものだ。
それをたしなめ、その日も勉学や鍛練等で時間をつぶすことになった。
320 名前:華琳8[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 23:08:01 ID:JG42fnSn0
「夏候惇殿、夏候淵殿」
庭にしつらえてある東屋で風にふかれながら私達が読書にふけっていると、趙雲殿に声を
かけられた。
「何用だ」
「おっと、夏候惇殿。そう邪険になさるな。もはや我々は敵同士ではないであろう?」
「む」
「ところでここ数日、曹操殿を見受けないが、どうかなされたか」
「いや、報告しなければならないことは何もない」
「そうか…まさか、逃亡を企てている訳ではないであろう?曹操殿はそんなことをなさる方で
はない」
「無論だ」
「疑うならば、首を切られる覚悟で華琳様の自室に様子を見に行けばよろしい。今頃は熟
睡なさってる筈だ!」
「春蘭!」
「えっ?…あっ!」
「ほほぅ。こんな昼間から睡眠か…美貌に気を使う曹操殿が夜更かしでもなされたか」
趙雲の口許がクイッと上がり、目元がキュッと細くなった。
「書にふけってらっしゃったのだ。明け方まで読んでいたらしく、昼刻過ぎまで起こすな
と申し遣っている」
「夏候淵殿。何を言おうともう無駄だ。私の好奇心はもう充分に刺激されたぞ」
「そうか…ならばもう何も言わぬ」
「その様子だと、貴方らもくわしいことは知らない様ですな。さて、曹操殿の安眠を妨げ
て首を切られるのもつまらないな。起きて来られるのを待つとしようか」
そう言い残し、趙雲は玩具を買ってもらって家路につく子供のように軽やかな足取りでこ
の場から姿を消した。
321 名前:華琳9[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 23:09:48 ID:JG42fnSn0
…ぬかった…。
平和惚けか?口が立つ者が相手とは言え、この程度の問答でボロを出してしまうとは…。
私達の口の中には、苦々しい味が残ってしまった。
しかしあの趙雲、なかなかに優れた武将だ。あれだけの問答であそこまで見透かすとは
…。
あんなのがゴロゴロいるのなら、北郷殿の軍勢が強いのも頷けるというものだ。あれほど
の者なら、このことを知ったところでよほど非道なことはすまい。
私達に敵意があるようにも見えない。
かえって華琳様が何をなさろうとしているのか、看破してくれるやも知れん。

「…いいのか?」
「そう心配するな姉者。私たちは何も聞かされていないんだ。その私たちがあの者に何を
伝えることができよう。…華琳様のお叱りを受けることはないさ」
「そうか…そうだな」
「華琳様がお起きになるまで、のんびり過ごすとしよう」
「そうだな。今日のところは体力を残しておいたほうがよさそうだ」
322 名前:華琳10[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 23:12:06 ID:JG42fnSn0
それから数刻。そろそろ華琳様を起こす時間になったころだ。
私が華琳様の部屋の前までくると、中から何やら声が聞こえる。
「じゃあ、準備はできたわね」
「はい、バッチリです」

…コンコン
「華琳様」
「ああ、秋蘭ね。丁度よかった」
不意に扉が開く。
「秋蘭、今日の夕食には私か皆にお酒を振舞うわ」
「は…酒、ですか」
「ええ。そろそろ、北郷の家臣達とも親睦を深めたほうがいいかと思ってね」
「…華琳様…そのお言葉の裏にはどんな意図がおありで?」
「フフ…いいことよ。とってもいいこと。みんなきっと喜ぶわ」
「………」
「じゃあ秋蘭、春蘭と協力してこのことをこの城にいる全武将に伝えて」
「…御意」
華琳様がいったい何を企んでいるかわからないが、私は華琳様のご意思に従うまで。

春蘭と合流するために、私は華琳様の部屋の前を後にした。
323 名前:華琳11[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 23:14:25 ID:JG42fnSn0
その様子を屋根の上から眺めている者がいた。星である。
「さて、曹操殿が目を覚まされたな。…軍師殿を連れてどこへいかれるのか…?」
好奇心をむき出しにして、あちらの屋根からこちらの屋根へ…華琳の後を追っていく。
「はて。あちらには、調理場しかないのでは?」
華琳と桂花は、まだ夕食の準備には間がある調理場の中へと姿を消した。
「まさか、毒…?…いや、あの曹操に限って、そんな姑息なことをするとは考え難い。では、
一体…?」
大きく跳躍し、調理場の入り口とは反対側に飛び降りる。
そちらには、調理場の窓があるのだ。


「さて、どこにあるのかしら…。あ、あれね。…桂花、薬を」
「はい、華琳様」
(…薬?やはり毒か!?)
調理場の窓から、趙雲は華琳と桂花のやることを一部始終観察する。
「…これは、いつまでも黙ってはいられないな」
事の次第を見守ると、星はまた跳躍する。
324 名前:華琳12[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 23:15:00 ID:JG42fnSn0
「思ったよりも早く終わったわね。後は夕食を待つばかり。…ふふ、楽しみ」
「どんなことになっちゃうんでしょう??私もすっごく楽しみです」
何事もなかったかのように、二人は調理場の扉から出てくる。
「…しばしお待ちあれ」
「…!!」
二人の後ろから、星が声をかける。
「あら、これはこれは趙雲じゃないの。どうしたの?怖い顔をして」
「ふむふむ。おとぼけになるおつもりか?全て見させていただきましたぞ。お二人が
何を企んでおいでか、この趙雲めにも教えて下さらんか」
軽い口調で話し始めたが、その目は笑っていない。
もし毒を盛ったなら、この二人と戦い、取り押さえなくてはいけない。
「あら…見られちゃったのね。仕方ないわ。ちょっと耳を貸しなさい」
「か、華琳様!教えちゃうんですか?」
「桂花は黙って。大丈夫。この者はきっと、私たちの邪魔はしないわ。…ほら趙雲、
もっと近くに来て」
「む…」
「…実はね…ぽしょぽしょぽしょ…」
「ふむふむ」
「でね…ぽしょぽしょ…」
「ほほう♪」
「ぽしょぽしょぽしょぽしょ…と思ったのよ」
「ほう!それはそれは…で?」
「面白いでしょ?で、ようやく出来たから、これから…ぽしょぽしょ…」
「なるほど!そういうことであればこの趙子龍、楽しませていただこう!」
「あなたなら、そう言ってくれると思ってたわ♪」
325 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 23:17:12 ID:JG42fnSn0


以上で、今日のうpは終わりです。

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