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90 名前:蓮華[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:04:35 ID:WDh+f3k20
どうやら好評だったようなので、調子に乗って続きを書いてみました。

「蓮華様…よろしいので?市には私と先程…」
「興覇」
「はっ」
「いいのです」
「は」

思春の口許がわずかに緩んだ気がした。
私が北郷と外出することを喜んでいるのか?
その上でわざわざ先程市へ赴いたことを私に進言し、私がそれを隠そうとするのを確かめ
た、と?
…思春。暗愚な私でも、そのくらいの意図はおまえの口許を見るだけで読めるぞ。
「思春」
「は」
「まったく、私は主想いの家臣を持ったものだな…」
「…ありがとうございます」
「あ、あの、俺は…?」
「孫権様のお着替えが済むまで、後ろを向いておられよ。一瞬でもこちらを振り返ったな
らば、私がその首を跳ねる」
「は、はいっ」
「一度や二度、肌を合わせたとはいえ、貴様に孫権様のお着替えを覗く資格は無い」
「し、思春!に、に、に、二度目はまだしてません!」
「ま、まだって、孫権!?」
「えっ?あっ!」
わ、私はなんという発言をっ!?
あああああぁぁ……恥ずかしい…消えてしまいたい…。まだって、まだって私ったら…。

「と、兎に角!わ、私はこれからあなたの望む格好に着替えます。後ろを、後ろを向いて
いてくれますか?」
「あ、はい!はい!」
見ると、北郷も顔を真っ赤にしている。おそらく、私の顔はそれ以上だろうが…。
91 名前:蓮華[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:08:15 ID:WDh+f3k20
「では思春。行ってくる」「は」
「ついて来てはいかんぞ」「…御意」
北郷が選んでくれた服に袖を通し、二人で市へ繰り出す…。
男性とこんなことをするのは産まれて初めてだ。
この間は孫呉の王として、この男と肌を合わせた。その時よりもずっと胸がドキドキす
る。
これは、今の私が孫呉の王ではないからか…?
…とても、良い気分だ。
ウキウキする。町娘達は皆、こういう気持ちを味わっているのだろうか。
願わくばこの気持ちが出来るだけ長く続いてもらいたい…。
誰にも邪魔をされたくない。
ずっと、この人と二人っきりで…。

「ん?どしたの?」
隣を歩く北郷の顔をを見上げた途端、その顔がこっちを振り向いた。
「俺の顔になんかついてる?」
「い、いや、なんでもない…」
ああ、もはや北郷の顔をマトモに見ることすら出来ない…。
私の顔は、何度赤くなれば気が済むというのだ…。
92 名前:蓮華[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:15:11 ID:WDh+f3k20
「さて、ここが難所だ」
北郷が、城の門を出るところでコソコソとあたりを伺っている。
滑稽だ。自分の城の出入り口でコソコソする王…。
「どうしたと言うの?白装束の刺客を気にして?」
「いや、そうじゃないけど…うちの家臣に見られると面倒だからさ」
「あ、あなた!家臣に外出することを伝えてないの!?それでも一国の王なの!?」
「あ、あ、そんな大声を出したら駄目だ…!」
「えっ?」
北郷が片手で自分の額から目の部分を覆ってうなだれる。
それとほぼ同時に…
「何者!!」
「ほら、来た…」
「あ…」
城の警備にあたっている者に聞こえてしまったのだ。
「今日の警備は確か…」
「曲者か!…って、なんだ、主殿ではないか」
「星、か」
93 名前:蓮華[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:16:03 ID:WDh+f3k20
星…趙雲か…。
「主殿。またお忍びですか?……おや、今日のお供は…孫権殿!まさか、お二人で!?」
「ああ、そうだ星。このこと、愛紗には黙っててくんないかな?」
「…はは〜ん?お二人で、ねぇ…。主殿が単独で行動なさる病気をお持ちなのは今に始
まったことではないから良いとして」
「病気かよ…」
「孫権殿まで家臣も連れずに、しかもこんなによく似合うかわいらしい洋服まで着てとは
…あまりと言えばあまりに怪し過ぎますなぁ?主よ」
言って趙雲は、北郷に向けてニヤリ。
主人に向かって失礼な家臣だ!北郷は、家臣に対する教育がなっていないのではないか?
「趙雲よ、何か考え違いをしておいでか?」
「これは孫権殿。わたくしが何か考え違いをとな。わたくしの目から見れば、双方これか
らウキウキのデェトに行かれるようにしか見えんのですがな?」
「そ、それは違う」
違うって…思わず口から出たが何が違うと言うのだ、私よ…
「そんなにめかしこんで。何が違うとおっしゃるのか?」
「えっと…これは、この服は、私のいつもの服では町の皆に威圧感があるとかでここにい
る北郷が…そうだ、無理矢理私によこしたものだ。多分に北郷の趣味が含まれているのだ
ろう。これを着て今から市へ供をしろと言われては、捕虜の身である私に断る是非はな
い」
「ほう、では孫権殿はウキウキではない、と」
「そうだ」
94 名前:蓮華[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:17:06 ID:WDh+f3k20
…まずい、また私は本心ではない事を…
「星」
「ん?」
「酔ってるな」
「おや、バレましたか」
よくよく見ると、趙雲の腰には徳利がぶら下がっていた。
「いや、城の外周の警備なぞ、あまりに退屈で退屈で…」
「当番なんだから仕方がないだろう」
「う。まぁ、そうなのだが…」
「今回は愛紗には黙っておいてやる。だから…」
「むぅ。仕方ない…このことは何も見なかったことにしておく」
「ん、ありがと」
趙雲は、フンっとそっぽを向いた。
「じゃあね、星。行ってくるよ」
「主」
「ん?」
「酔っぱらいついでに忠告させていただいても良いか?」
「何?」
「…主は、なぜ私が自分のことを主の愛人と言うかおわかりか?」
「…え?」
95 名前:蓮華[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:19:13 ID:WDh+f3k20
趙雲は、徳利に直接口をつけて中身を一気に飲み干す
「っぷ…どこの世界に、頼まれた訳でもないのに自分から愛人を名乗る女が居ようか。本
来ならば、惚れた男には我こそ最も近くにいる女だと宣言したいものだ」
「うん」
「それを私がしないのは、ひとえに主。あなたのためだ。」
「俺の…」
「左様。…ぃっく。皆が皆、私が一番だと口々に言い合ったらどうなる?そう、例えば愛
紗の様に」
「それは…」
「流石の主でも困るであろう?部下の女どもの間にも不和が生まれるだろうし…そうなれ
ばこの国の存亡にもかかわる」
「…そうだな」
「だからこそ皆、主を取り合うような真似はしないのだ。主を愛するが故だ」
「…ありがとう。肝に命ずる。それで、そんなみんなの想いに答えるには俺はどうしたら
いい?」
「決まっておろう。皆を愛せ。前にも言ったが、それが出来なくて国は納められん」
「うん」
96 名前:蓮華[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:22:32 ID:WDh+f3k20
「でだ。皆、伽の順番を待ちわびておる。主があまり手広く構えすぎると、順番が回って
くるのに時間がかかるというものだ」
「そ、そうだね」
「私など、主の寵愛ならば毎晩でも良いぞ」
趙雲の目付きが変わった。とても艶っぽい、女の私でもドキッとさせられる。
「ま、毎晩!?」
「もちろん。毎晩、何度でも良い。主なら、何度でもこの星の体を貫き、その中に注がれ
ても私は嬉しいばかりだ」
「毎晩、何度でも…」
「主、それは何も私だけでなく、皆同じ気持ちだ。」「わ、わかった。」
「では、誓うか?皆を平等に愛すると」
「ち、誓う」
「ならば良し。孫権だろうがなんだろうが、存分に手にかけ、寵愛なさるとよろしかろ
う」
「な…っ!私は寵愛されに市に行くのではない!」
「ほほう?孫権殿はこの趙子龍の目を誤魔化そうと?」
「うっ…」
酔っているせいなのか、この趙雲、人の心を見透かす目をしている。
「わ、わかったよ星。続きは明日の夜にでも俺の部屋でゆっくり聞くからさっ」
「明日の夜…ですな?わかりました♪ではこの続きは、明日の夜主の部屋で聞きまする。
この趙子龍、主の気が済むまで、何度でもお相手させていただきます」
「うん、だからこの場は…ね?」
「了解した。いってらっしゃいませ」
趙雲は、掌を返すように主従の礼の姿をとる。
どうやら自分の満足いく交渉結果が得られたようだ。「行ってくるよ」
「お気をつけて。それでは私も警備の続きをするとしよう」
97 名前:蓮華[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:24:19 ID:WDh+f3k20
…続く。

はあ、駄文ですね。

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