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917 名前:華琳毒殺計画1[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 00:04:18 ID:vKKvEcde0
※これは、横山版三国志17巻のストーリーを、恋姫キャラに置き換えたものです。

『近頃、曹操の態度は目に余るものがある。
朝廷によってなされる賞罰全て曹操の一存でなされ、栄えるは曹操の一門だけである。
朕はそれに反対するすべも知らず、先祖のなした遺業を思い夜ごと悔し涙にくれている。
董承よ、お前は国の元老であり、今まで朕のために随分と尽くしてくれた忠義の士である。
これからも朕のために尽くしてもらいたい。
忠義の志士を集め、姦党を滅ぼし、朝廷の権勢を取り戻してもらいたい。
ここに指を切って、これを記す』
 これは、献帝(けんてい)が曹操こと華琳の横暴な態度を見かね、最も信頼
している国家の元老・董承(とうじょう)に隠し渡した、献帝自らの血で書
いた密詔の内容である。
帝の心中を知った董承は、親友である王子服(おうじふく)、侍中・長水校
尉の仲輯(ちゅうしゅう)、将軍の呉磧(ごせき)と呉子蘭(ごしらん)、西涼
太守の馬騰(ばとう)、予州太守となった「天の御使い」と崇められている
青年・北郷一刀、そして医者の吉平と結託し、華琳を亡き者にせんとしていた。
そして、それを一刻も早く実行しようと、一味の一人となった吉平は毒を盛っ
て華琳を狙う決意をした。
 そして、華淋より使者として、荀ケこと桂花が吉平の屋敷を訪れた。
「吉平先生、いらっしゃいますか?」
使者が扉を叩く。
しばらくして扉が開き、吉平が姿を現す。
「おう、これはこれは荀ケ殿。どうなされた?」
「華…曹操様が頭痛を起こされました。すぐにおいで下さい」
使者のその言葉を聞き、吉平の目が光った。
〜いまが絶好の機会だ…!〜
「分かりました。支度をして、すぐ参ります」
918 名前:華琳毒殺計画2[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 00:21:30 ID:vKKvEcde0
 華琳の城へ向かった吉平は、すぐに寝室を訪れた。
寝台で華琳が頭を抱えて横になっている。
その横には、夏侯惇こと春蘭、夏候淵こと秋蘭が控えている。
「曹丞相。お召しにより吉平、参上つかまつりました」
「あぁ…吉平。また頭痛が始まったの。すぐに治して頂戴」
吉平は早速薬を調合する。
もちろん、あらかじめ用意しておいた毒薬である。
調合し終え、薬の器を華琳に差し出す。
「さぁ、お飲み下さいませ」
華琳が薬を受け取る。
だが、手を付けずに匂いをかいでいる。
そして、吉平に振り向いた。
「ねぇ、吉平…。この薬、いつもと匂いが違うみたいだけど、
今日のは別の薬なの?」
華琳の言葉に、吉平が息を飲む。
もしや気付かれたのか…?
「その様な事はございませぬ。いつもと同じ薬でございます」
「ふぅん…?」
すると、華琳は薬を吉平に向ける。
「じゃあお前が飲んでみなさい」
「え…?」
「分からない?毒見してみてって言ってるの。それとも…
本当に毒が入ってるから飲めないかしら?」
919 名前:華琳毒殺計画3[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 00:23:06 ID:vKKvEcde0
そして、華琳はその薬を床に投げ捨てた。
それと同時に、春蘭と秋蘭が吉平を取り押さえた。
「じょ…丞相!これは一体!?」
「とぼけても無駄よ。お前たちの企みは全部分かってるわ」
「な…何の事でございます?」
「この私を毒殺しようなんて、お前一人の考えじゃないでしょう?
お前のその千切れた小指を見ても、それは誰かに誓いをたてた証拠じゃないかしら?」
小指…。
そう、吉平は董承との結託の証として、自らの小指を食いちぎり、その血で董承に宣誓書を書き記したのだ。
その傷で見破ったとは思えないが…言い逃れは出来ない。
「さぁ仲間は誰?正直に言えば、命は助けてあげても良いわよ」
「………ふふ…。はははははは!」
突然吉平が笑い出した。
「貴様、何が可笑しい!」
春蘭が声を上げる。
「ふ…可笑しいから笑うのです」
そう言うと、吉平は華琳を睨み付けた。
「あなたを殺さんと念じる者が、この吉平やわずかの人数だけだとお思いか?
天下に数えられぬ程多うござる。その名をいちいち申し上げられませぬ」
「こ…このヤブ医者…言わせておけば…!」
吉平のその言葉が、華琳の頭に血を昇らせた。
つかつかと歩み寄り、吉平に平手打ちを喰らわせる。
「こいつを拷問にかけて白状させなさい!」
920 名前:華琳毒殺計画3[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 00:23:39 ID:vKKvEcde0
吉平は木に縛り付けられ、何度も棒で殴られた。
だが、忠義を誓った吉平は全く口を割ろうとはしなかった。
「どう?白状する気になった?」
「…し、知らぬ。…何も知らぬ」
拷問は続けられた。
何度も殴りつけられた吉平は意識を失った。
気絶した吉平を続けて殴ろうとした兵士だが…
「待ちなさい」
華琳が止めた。
「口を割るまで殺しては駄目よ。とりあえず、牢屋に入れておきなさい」
華琳がそう命じると、兵士は気絶した吉平を引きずって、立ち去った。
「あの男…あの調子だと、死んでも口を割りそうにないわね…」
何とか口を割らせる方法はないだろうか。
もしくは、仲間をおびき出したりできないだろうか。
そう考える華琳。
しばらくして…思いついた。
「そうだわ…。桂花」
「はい?」
「至急、公卿百官に招待状を出して」
「招待状…ですか?」
「そうよ。『私が酒乱を開くので、全員出席する様に』とね」
「分かりました。すぐ手配いたします」

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