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780 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 23:18:31 ID:E/TAn3SS0
>>779
ここで俺が颯爽と投稿してみるぜ!

内容が明らかに恋姫無双っぽくないのと誤字脱字は勘弁な。
自分の追い込む為に見切り発車をしてみる。

文字化けテスト「“”――“"」
781 名前:アンニュイ。或は関羽愛紗の憂鬱。その1[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 23:22:04 ID:E/TAn3SS0
「……気に入らん」
 汚職、怠慢が跋扈する情報に嫌気が差し、私は“てれび”なる物の動力を切った。
 ――私がこの世界に来て早二月程経つ。最初は色々な物に戸惑い、苛立ち、恐れていたものだが、最近では一切の惑いなくとまではいかないものの、
見馴れる程度にはなっていた。しかし、一つだけ馴れそうにない物がある。
 其れは……人だ。我らの目指していた理想の果てに、もしかするとこれが成っていたのかと思うと、少しばかり考えてしまう。
 物が満ち、制度が充実し、人々には笑顔がある。少なくとも私達の元居た世界よりは確実にだ。だからこそなのだろうか。比例する様に無気力な人間が多いのは。
 今この国は停滞の最中にあると思う。だから子供達は大人に成るにつれて物を知り、楽しみを減らして行く。子供の頃に一杯一杯に詰まっていた幸福の袋は、
伸びるだけ伸びて適度に萎んでしまうのだ。――不幸な訳ではない。――幸福でない訳でもない。そんな状態が続けば、あんな人々が育つのは当然だろう。
 だが、其れは必然だ。どんな物も、育つだけ育てば後は止まるか……滅ぶのみだ。我等の国も、例え全てを統一したとて長く続きはしなかったに違いない。
「主に、跡取りの関係で……だな」
 と、何かを叩くような音が思考を遮った。其れが鳴った方に視線を向けると、鉄製の扉が静かに存在を示してる。誰かがこれを叩いたのだ。この聖ふらんちぇすかは
寮制度で、私は其の一室を借り受けている。しかし、誰だろうか? ご主人様が訪ねる事は――なんでも視線が痛いのだとか――少ない。恐らくは鈴々辺りだろう。
 私は扉の前に移動し、開けようとする。贅沢な物で、取っ手すら鉄製だ。冷やりとした感触を手の平に伝えてくる其れを軽く捻ると、軽い金属音と共に戒めが解けた。
さて、誰が――。
「あ、え? ご主人様!」
 扉の向こうに居たのは、先程可能性を否定したくだんの人であった。
 私の口から出た言葉は不意な出来事により拙い物だ。表情もきっと締りのないものに違いない。ほら、その証拠にご主人様は一瞬怪訝そうな表情をした後、苦笑を
浮かべたじゃないか。思わず羞恥に顔を伏せそうになってしまう。
782 名前:アンニュイ。或は関羽愛紗の憂鬱。その2[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 23:24:54 ID:E/TAn3SS0
「愛紗、ご主人様は禁止だって言っただろ。流石に学校でそう呼ばれるのは拙いんだって」
 ご主人様は少しだけげんなりした様にそう言った。それは再び私の予想を翻し、どうやら苦笑の訳は私が考えていたものとは違う様だ。
「あ、そうでした。一刀さん」
 そうだった。ご主人様はそう呼ばれるのを、最近酷く嫌がるのだ。恐らくご主人様が恐れているのは人々の目だろう。
 あれは――この世界に来て一月程経過した頃だっただろうか。ある程度この世界の常識を叩き込まれた私は、この学校なるものに入学とやらをしたのだ。
私とご主人様は、幸いな事に同じ組になる事が出来たのだが、そこで私は失敗をしてしまったのだ。ああ、あれはきっとたぶん恐らく、ご主人様が私をからかったのが悪いと思われるのだ。
それに反応してあっさり、しかも部屋全体に響くほどに“ご主人様!”と叫んでしまったのは、流石に私も悪いと思うが。……あの後の事は思い出したくもなかったが、恐らく其れがご主人様が
この言葉に対して過敏になっている原因だろう。まぁ、無理もない。
 私はご主人様を招き入れ、敷物の上に相対する様に座り込んだ。何処か居所を無さ気に手を微妙にモジモジさせているご主人様は、部屋を誤魔化す様に見回している。それは不安をかき消す
何かなのか。それとも考えを纏める時間稼ぎなのだろうか。どちらにしろ、この様子では下世話をしに来ただけと言う事は無さそうだ。
「突然だけどさ、愛紗。――何かあったか?」
 不審な挙動を止め、神妙な顔でご主人様は問いかけてきた。成る程、私は存外表情に出やすい性格をしているらしい。……しかし、気付かれたとしても其れをどうして言えようか。
この世界を作り上げてきた人間達の性質が気に入らないだなんて、この世界を厭うているのと取られてもおかしくない。まるで現実に起きた事の様に想像出来る。ご主人様の顔が辛そうに歪むのが。
だから私は否定する。不満な訳ではない。嫌っている訳でもない。唯、合わない。
「いいえ」
 嘘は、言ってない。何も無かった。何かが起こった訳ではない。
 ご主人様は言葉の真贋を確かめるかの様に私を見つめている。
783 名前:アンニュイ。或は関羽愛紗の憂鬱。その3[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 23:28:53 ID:E/TAn3SS0
 私とて武人であったのだ。こう言う個人の駆け引きでは誰にも劣らぬつもりだ。こう言っては何だが、集団の上に立つ者としてはともかく、個人としてはご主人様の能力は私には及ぶべくもない。
 だが、それでも私の余分――感情はその有利を奪い去ろうとしている。この人の視線を受けるだけで、私の中がかき回される気分だ。心が打ち震える。全てをぶちまけてしまえ、甘えてしまえと
悲鳴を上げるのだ。膿を出す様に泣叫びながら抱き付ければ、どれ程楽だろうか。どう足掻いても取り除けぬ悩みをぶちまけ癒してくれ、と哀願すればどれ程幸せだろうか。
 しかし、其れは出来ない。したくない。――自分はこの世界の不純物ではないのか? この人はそんな地盤を揺るがす様な悩みを、心の深くまで隠し、かなりの時間を過ごすまでそんな悩みを吐露する事はなかった。
この人は本当に、唯の心理的な問題に関してはどうにも隠す嫌いがある。私がこんな悩みを持っていると知れればいか程の心労を負うか怖ろしい程だ。この人は頼られれば背負い込む。解決が不可能でない限り悩み続ける。
だから言えない。そう、絶対に。
 未だにご主人様は只管に私を見つめ続けるだけだ。その瞳は何処か悲しげで――だからもう何かを悟られている事に気付いた。
「そっか」
 その小さく話した声色は納得を示すものではなく妥協だ。今は仕方ない、と言う事に過ぎない。
 徐にご主人様は立ち上がり、小さく”じゃ、俺そろそろ戻るよ”と言った。そして私は其れに会釈する。ご主人様は別段振り返る事もなく出て行った。唯、その表情は何処となく気まずそう――私自身もそう感じている所為かもしれないが――であった。
 何かやり切れない。そんな思いのままに私は寝台に転がる。
「苦しいな」
 私が今まで感じてきた心苦しさとは違う。何か物憂げにさせる苦しさだった。
784 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 23:31:01 ID:E/TAn3SS0
すまん、一番最初の投稿が激しく変だな。JaneのID抽出で見ると普通なんだが。
とりあえず、投稿しちまったからにはもう後には引けないぜ!

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