- 605 名前:バレンタイン騒動 1[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 17:56:56 ID:Uy/J777y0
-
俺もバレンタイン話を投下。まだ未完、今日中には完成w
「ばれんたいんでえ…ですか?」
月が首を傾げる。
「そう、女の子が好きな人にチョコを渡して告白する日」
「こ、告白…」
『告白!!?』←聞きつけた他の皆さん
「うわっ、皆どこから湧いて出てきた」
「ふむ、つまり、『ちょこ』とやらを主にお渡しすれば、今夜はおろかこれから先、主の愛を手に入れることができるということですな」
星の言葉に皆の目が光る。
「まぁこの世界にチョコなんてない…ってあれ?皆はどこに?」
部屋には俺一人。否、部屋の隅に存在感を醸し出しまくっているのが一人。
「どぅふふ、それではご主人様、アタシの愛をチョコレートに溶かして渡してあ・げ・る」
と言って、部屋から出て行く怪物。部屋の戸を閉める際、ご丁寧にチラリとウィンク。
「いや…それはマジで勘弁」
ていうか、お前はチョコレートが何なのか知っているんだな。貂蝉よ。
「はぁ…仕事するか」
一人残された俺は、大人しく机へと向かうのであった。
- 606 名前:バレンタイン騒動 2[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 17:57:57 ID:Uy/J777y0
-
「ちょことやらぁぁ!!大人しく出て来いぃぃ!!」
「出てくるのだ〜」
中庭にて、愛紗と鈴々はそれぞれが武器を手に「ちょこ」を探していた。
「むう…そもそもちょことやらはどういう外見をしているのだろうか…鈴々、分かるか?」
「んと、お兄ちゃんが欲しがるくらいだから、きっとこの木よりもでっかいのだ」
「ふむ、それはそうだろうな、ご主人様だからな」
「それで、きっと鈴々達よりも強いのだ」
「ふむ、それでこそご主人様に渡す価値があるというもの。頑張るぞ鈴々」
「おーなのだ。それでそれで、きっととても可愛い娘なのだ」
ここで愛紗の肩がビクリと震える。
「ふ…む、ご主人様だからな。ならば生け捕りにせねばなるまいな」
「大丈夫なのだ、鈴々と力を合わせるのだ」
「ふ、そうだな…よし、行くぞ鈴々!」
「合点なのだ!」
こうして愛紗、鈴々はちょこ捕獲に向けて進んでいくのだった。
- 607 名前:バレンタイン騒動 3[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 18:01:52 ID:Uy/J777y0
-
「ん…詠ちゃん、ちょこって何だと思う?」
「知らない。って、なんでボク達までそのちょこを探さないとならないわけ?」
こちらは城下街。二人はとりあえずめぼしい店を回ってうろついていた。
「だって…ご主人様に喜んで欲しいし…それに…」
「それに?」
「ご主人様に告白…詠ちゃんもしたいでしょ?」
「っ、したくなんて、なな、ないわよ!ホントに!」
「クスクス」
顔を赤くしながら叫ぶ詠を見ながら、月はやさしく答える。
「わたしは…もう一度ちゃんとご主人様に告白したい…だから、詠ちゃんも、ね?」
「ボッ、ボクはもうあんなこと二度と言わないんだから!」
「…でも、大好きなんでしょ?ご主人様のこと」
「あんな奴、好き…………じゃない…こともない、けど」
詠の語尾に少しずつ力がなくなっていく。
「クスッ」
「うう〜〜〜」
詠は泣きそうな顔になっていたが、キッと顔を上げ、月の手を握った。
「もう!行くのよ月。ちょこを探しに!」
「うん、ご主人様のためだもんね?」
「違うわよ!これは…そう、ボクもちょこが何なのか知りたいだけよ、うん!」
「クスクス、そういうことにしておくね」
「もう!!」
こうして二人は、街中を歩き回った。
全員分書きたいが、ムリそうだなw
- 627 名前:バレンタイン騒動4[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 22:22:35 ID:Uy/J777y0
-
>>604の続き
「えと…それで、そのちょことやらはどうやって作るものなんですか?」
「ふむ、貂蝉が言うには、三国を回って伝説の豆を手に入れてから東南の島へ行って伝説の職人が作ってくれるものらしい」
「はぅっ!?そ、そんなの無理ですよ〜」
「何を言う、お主の主への愛はそんなものなのか?」
「そんなことない、ですけど、そんなの何年かかってしまうか…」
と、星と朱里が腕を組んでいると、
「…………あ」
「ん?」
「あれ?恋さん、今日は警邏の日では?」
肉饅を両手に持って恋がこちらに歩いてきた。
「……………」
「こら、帰ろうとするな」
「ま、またサボったんですか…」
「……(フルフルッ)」
「一応悪いとは思っているようだな、肉饅を頬張りながらだが、まぁいい。私達は今日はそれどころではない」
「……?」
「恋さん、実は…」
首を傾げた恋に朱里が事情を話す。
「という訳なんです」
「………チョコ」
「まぁ、お主に話したところで、競争相手が増えるだけだが、肝心のちょこが手に入らないのでは…」
「ですね…」
星と朱里が頭を抱えていると、不意に恋が動き出し、
「…おいしい」
「っ!?」
「い、今なんと!?」
「チョコ……おいしい」
「おおお主、ちょこを食したことがあるのか!?」
さすがの星も動揺気味だ。
「………(コクリ)」
- 628 名前:バレンタイン騒動 5[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 22:25:31 ID:Uy/J777y0
-
朱里は恋をガッシと掴み、
「どこで食べたんですか?」
「………?」
「ええい、どこでそのちょこを食べたのかと聞いている」
「………(スッ)」
と、恋が指差した方向には――。
「あらん、二人ともおそろいで、どうしたの?」
「はぁ……」
皆が出て行ってからもうすっかり時間がたち、もう夜になろうとしていた。
「皆何してるのかなぁ…まさか本当にこの世界にチョコがあるのかも知れないけど…」
それにしても全員探しにいってしまう何て…今攻められたら簡単に突破されてしまうのではないか。
「…ご主人様」
「あ、月、詠も」
「申し訳ありません…ちょこ…見つかりませんでした」
月は今にも泣きそうな顔をして、詠は悔しそうに顔を歪めていた。
「せっかくあんたが楽しみにしてたのに…ボク達、見つけられなかった」
俺はそっと二人の体を抱きしめ、
「気にするな。この世界にあるかどうか分からなかったんだし、星の言ったことはしないからさ」
「…ご主人様」
二人の顔がほころんだところに。
『ご主人様〜〜!!』
「―っ!?」
飛び込んできた貂蝉、星、朱里とそして恋。
「ど、どうしたんだ?そんなに慌てて」
「ハァ…ハァ…こ、これが、ちょこなんですね?」
と、朱里が差し出してきた物体。それはまさしく一般的に言うチョコだった。
「ど、どこでこれを?」
「貂蝉が知り合いに作ってもらったそうだ」
「貂蝉が!?」
「そうよん。これだけの量を作ってもらうには苦労したんだからぁ♪」
くねくねと体を揺らしながら自慢する貂蝉。
- 629 名前:バレンタイン騒動 6[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 22:27:17 ID:Uy/J777y0
-
「こ、これで、ご主人様にこ、告白できます、ね」
「ふむ、今更かもしれんが、私も主にもう一度愛を語るとするか」
「…………けぷ」
「けぷって…」
恋は口の周りを汚しながらうれしそうに微笑んだ。
「おいしかった」
「あぁ、そう……あ」
見ると、月と詠はとても悲しそうな表情でこちらを見ていた。
「なぁ、あのさ、二人とも。そのチョコ、月と詠にも分けてやってくれないか?」
「――っ!?」
「二人にですと?」
「だってさ…こんなの不公平じゃないか…二人はチョコがなかったから、告白できないなんてさ」
「ちょ―っ、ボクは告白なんて…したくなんか…」
「だからさ」
詠の発言を打ち消し、俺は続ける
「その…俺は皆平等に接したい…というか、なんていったらいいのか分からないんだけど」
と、俺が言葉をつまらせていると、星はパキッと持っていたチョコを半分にした。
「まったく、仕方のない主ですな」
そして、半分にしたチョコを月に渡す。
「でも、そこがご主人様のいいところですから」
朱里も同様に、自分の持っていたチョコの半分を詠に渡す。
「二人とも…」
「あらんあらん、美しいわん、女同士の、熱い友情ねん」
「星、朱里、ありがとうな」
「しかしだ」
「な、なに?」
急に星は真面目な表情になり、俺に詰め寄る。
「これで皆対等の立場になったということで、全員に告白の権利ができたということですな」
「……あ〜〜、それは」
「そうよそうよ、アタシも、等身大のアタシチョコ作ったのよ。さぁ、アタシを食べて」
と貂蝉は、自分そっくりなチョコの象を取り出す。貂蝉が二人並んだようで、直視ができない。
「詠ちゃん、わたし達も」
- 630 名前:バレンタイン騒動 7[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 22:31:40 ID:Uy/J777y0
-
「う、うん…」
と、月、詠、朱里も少しずつ距離を詰めていく。
『ご主人様』
「主」
「いや…だから俺は…その」
と、すでに皆と触れ合えるほど密着しそうになったところに、
「ご主人様!!」
「お兄ちゃ〜ん」
と、戸を蹴り飛ばす勢いで愛紗と鈴々が入ってきた。
「おお、二人ともいいところに…って、誰?」
「はっ、お約束通り、ちょこと言う者を捕獲してまいりました」
「結構強かったのだ」
見るとそこには、貂蝉並みの身長の美しい女性が立っていた。
「…………」
「ん?どうなされましたご主人様」
「…いや、なんかもうどうでもいいや」
「ご主人様、そ、それでは、我等もその、こく、はくを…」
「む、愛紗等は後だ。まずは私達の告白が先だぞ」
「ご主人様」
「大好きです」
皆にもみくちゃにされうすれゆく意識の中、来年は絶対にバレンタインの話はすまいと決心したのであった。
オマケ そのころの干吉と左慈
「はぁ〜い、バレンタインチョコですよ?」
「い ら ね え」
「ふふっ、照れなくてもいいではないですか。私の愛の凝縮結晶ですよ♪」
「絶対いらねえ!!」
「おやおや、せっかく私の顔を彫ってみたのに」
「死にたいのか」
- 631 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 22:33:07 ID:Uy/J777y0
-
オマケ2 その頃の華琳
「か、華琳さまぁ〜。できました〜」
「そう、ご苦労様」
「こんなに大きなの、どうするんですかぁ?」
「ナイショ、フフッ。喜んでくれるかな?」
「え?今何か言いました?」
「別に?」
でもバレンタインデーはとっくに過ぎていたのであった。
ついでに、チョコではなくチョコっぽい色のお酒なのであった。
一刀のその後については、皆のご想像にお任せする。
完