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547 名前:ED後[] 投稿日:2007/02/13(火) 16:32:25 ID:mOGqaMIn0
「以前の生活じゃ、こんな事する心の余裕は無かったんだろうなぁ・・・。」
青々と茂る芝生に体を沈め、一刀は大きく深呼吸をした。
「まぁ・・・以前のこの世界には、夢中になる彼女居なかったしな。」
昔の剣道バカとも思える自分を思い出し、目を閉じて自嘲気味に笑った。
髪に程よい微風を感じ気持ちが良い。このまま眠るのも悪くはないか。
うつらうつらと意識が遠のきかけては約束を思い出し覚醒させる。
それを数度繰り返した頃だろうか、大の字に寝そべった俺の二の腕に感じなれた重みが掛かる。
「こんな所で寝ると風邪引くぞ、鈴々〜。」
完全に寝こけていると思ったのだろう、目を閉じたまま話しかけると鈴々は体をビクっと強張らせた。
「お、おにいちゃん酷いのだ、折角ちゅーして起こそうと思ったのにぃ〜・・・。」
「はは、そりゃ残念。でも・・・今からでも遅くないよ?」
俺は目を閉じたまま彼女の方へ顔を向ける。と、すぐさま柔らかい唇の感触が俺の唇へと重なる。
時間にして約2秒、小鳥が餌をついばむ程度のキスに疑問を感じ俺は目を開けた。
「あれ、もう終わり?いつもならもっとこう・・・」
言いかけて鈴々が肩を震わせ涙目になっている事に気づく。
「お、おい・・・どうしたんだ〜?元気いっぱいで俺の大好きな鈴々はどこ行ったんだ?」
「ふ、、、ぇ、、ふぇぇぇ、、、、」
精一杯声を押し殺し、涙がぽろぽろと溢れてきた。
「お、、にいちゃ、ん、、、最近鈴々と会、、う、時間なくって、、、ぅ、学校も、バイトも忙しい、、、の鈴々分かってる、、、」
「うん。・・・」
俺は鈴々を抱きしめて起き上がり、じっと話を聞いた。
548 名前:ED後[] 投稿日:2007/02/13(火) 16:33:56 ID:mOGqaMIn0
「愛紗達と、別れて沢山日にち、、過ぎたけど、、、学校でもお友達いっぱいできて、寂しくなかった、、、」
「でもおにいちゃんが鈴々と全然お喋り出来ていないのに、鈴々以外の女の子と楽しく喋ってる所を見ると、胸がチクチクするのだ、、、」
なあるほど、妬いてくれてたわけか。
「鈴々、俺が鈴々以外の女の子を好きになるはずないだろう?」
「おにいちゃんは前の世界に居た時、もの凄く多情だったのだ・・・。」
「グ・・・む・・・じゃあ愛紗様に誓おう!」
「おにいちゃん愛紗に嘘ばっかりついて、よく政務をおさぼりして怒られていたのだ・・・。」
「うぐむむむ・・・。」
まさか鈴々に言い負かされる日がこようとは・・・。
「にゃははは!でもおにいちゃんの嘘は、愛紗が見抜けなかった事はないのだ!」
やっと笑顔を見せてくれた鈴々は、俺の頬に軽くキスをして立ち上がった。
「信じているのだ。・・・おにいちゃん、だーい好き!」
泣き止んで良かった。
鈴々の泣き顔を見るとどうしても思い出してしまう出来事がある。
肩車をして死んだ両親の事を思い出し、俺の部屋に来てボロ泣きした夜。
あんな鈴々はもう二度と見たくない。
そして、もう会える事の無い仲間達・・・。
彼女の泣き顔一つで、膨大な量の思い出が俺の胸に押し寄せてくる。
あの突然の別れから8ヶ月が経過していた。
この世界での鈴々は養子として俺の叔母にあたる人に貰われている。
今鈴々は聖フランチェスカ学園の中等部に通い、陸上部に所属。
戦いの無い幸せな刻を送っているよ、愛紗。
549 名前:ED後[] 投稿日:2007/02/13(火) 16:35:12 ID:mOGqaMIn0
「鈴々。」
「んう?おにいちゃんどうしたのかにゃ?」
「前にも言っただろ?俺と鈴々は恋人同士なんだから、名前で呼び合おうってさ。」
俺は立ち背中と尻に付いた芝をぱんぱんと払った、改めて鈴々の顔を覗き込む。
真っ赤になって俯いていた。可愛いなぁ〜。
「あ・・・えっと・・・か、かず・・・クン・・・」
「うん、鈴々可愛いよ。」
頭から蒸気が吹き出そうな赤さ、まぁいずれ慣れてくれるだろうと思いながらニヤニヤしていると
「やっやっぱりダメダメなの!おにいちゃんはおにいちゃんなのだ!」
顔を見られまいと踵を返し、公園の芝生を走り出した。
「おにぃーちゃーん!早くしないとデートの時間無くなっちゃうよー!パフェと肉まん食べに行くのだー!」
ぴょこぴょこと飛び跳ねてご飯を食べに行こうと催促する元一騎当千の武将。
太陽の様な笑顔を見せ、俺の心をいつまでも照らし続けてくれる俺の彼女。
それらはどちらも鈴々で、俺が一生を掛けて守ると誓った愛する人。
俺は鈴々の事を一生掛けて愛するよ、今まであの子が生きてきた辛い人生を今から俺と生きる多くの時間で塗りつぶす。
幸せにするよ、だから見守っていてくれ。
愛紗・・・。
生きている次元や場所は違えども、同じ時を生きているよな?

終わりでーす、有り難うございましたー。

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