- 497 名前:顔良ルート第一回『北郷一刀!顔良に会う』[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 01:19:07 ID:6Xm945w20
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408だけど。顔良ルート第一回の妄想とか書いてみた。
むしゃくしゃしてやった。顔良ならなんでもよかった。
真夜中のテンションに任せて投下してみる。
- 498 名前:顔良ルート第一回『北郷一刀!顔良に会う』[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 01:20:23 ID:6Xm945w20
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「あ、北郷さん。こんにちわぁ」
昼下がり。本日の執務を終えて、暇をもて余しながら廊下を歩いていると、偶然顔良と出会った。
「よう、顔良。こんなとこでどうしたんだ?」
いつもの無骨な鎧を脱いだ普段姿の顔良に問うと、小脇に抱えていた数冊の書物を俺に見せた。
「ちょっと諸葛亮ちゃんのところへ行こうと思いまして」
「朱里のところへ?」
「はい。ちょっと兵法のことで二、三聞きたいことがあって」
なるほど。ということはあれは兵法書か何かだろう。
そういえば朱里の部屋で同じようなものを何冊か見かけたことがある。
……いや、読んだことはないんだけどさ。
「なるほどー。そうだよな、ウチの軍で兵法といえばやっぱり朱里だよなぁ」
「ええ、流石は諸葛亮ちゃんです。お話を聞くととっても勉強になるんです。ほら、兵法書もこんなに貸してくれて――」
言いかけて、何かに気づく顔良。にこやかだった表情がわずかに曇り、何かバツが悪そうな顔を浮かべる。
「あの……、やっぱりまずいですか? 私たちがあんまり城内うろついちゃ」
言われて気づく。たしかに顔良とは元は敵同士だった仲だ。
敵だった自分が暢気に廊下を歩いているのはどうか、という話なのだろう。
……しかしまぁなんとも彼女らしい気の使いようだなぁ。
我が物顔で気にせず歩き回る他の奴らも見習って欲しいもんである。
「んー。いいんじゃないの? 形の上では顔良たちは客将ってことになってるんだし」
「あれ? 捕虜じゃないんですか?」
俺の言葉に意外そうな顔をする。
「袁紹がああいう形で仲間になっちゃったからね」
「あー……。その節はすみません。袁紹様が無理言っちゃって」
思い返し、さらに気まずそうな顔をして顔良は頭を下げる。
あの時のいきさつを思い出し、自然と俺も苦笑い。
- 499 名前:顔良ルート第一回『北郷一刀!顔良に会う』[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 01:21:04 ID:6Xm945w20
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「ははは……。まぁ、その代わり顔良や文醜が仲間になってくれたんだからいいさ。おかげで心強いよ」
「お役に立てるといいんですけど」
「今はどこも人手不足だから、大歓迎だよ。――しかし、顔良も大変だな。わざわざ朱里に兵法習ったりして」
「袁紹様も文ちゃんも、兵法とか苦手だから……」
そういってわずかに顔良恥ずかしそうにする。
そうだよなぁ、そのせいで虎牢関の時は大変な目にあったんだから。
もっとも、そのおかげでこの前の戦いは楽に勝てたというのもあるんだから不思議なものである。
「でも、それに加えて戦闘の訓練もやってるんだろ? 良く嫌にならないもんだよなぁ」
愛紗たちに混じって、文醜とともに調練を行っている姿もたびたび見かける。
仮にも一軍の将ともなれば部隊の指揮も他人任せとはいかないのだろう。
しかしそんな俺の言葉にはあまりピンと来ないのか、顔良は頬に人差し指を当ててわずかに考え込む。
「うーん? もう慣れちゃいましたから、大丈夫ですよ」
慣れるようなもんでもないと思うんだが。
現に俺は半日程度の執務で毎日ヒイヒイ言ってるわけで。
「はぁー。顔良は偉いんだなぁ。マジで頭が下がるよ」
これは全くの本心からの言葉。がんばってるつもりでも、自分はやっぱり楽をしているんだなぁと実感する。
「そ、そんなに誉めないで下さいよぉ、照れちゃいますから……」
俺の言葉に顔良は照れくさそうにブンブンと手を振る。
「いやいや、大したもんだよ。俺にはマネできそうもないし」
「いえ、そんな……。それに、なんだかんだ言っても私好きなんです、袁紹様や文ちゃんの役に立つのが」
「好きなんだな、二人のことが」
コクリと頷き、思い返すように呟く。
- 500 名前:顔良ルート第一回『北郷一刀!顔良に会う』[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 01:26:02 ID:6Xm945w20
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「文ちゃんは明るくて、私よりもずっと前向きで……、
私が諦めちゃうようなときでも、がんばるぞーって気にさせてくれるんです。
……まぁその、ただの能天気だとも言えなくはないんですけど」
そう言って苦笑する。だけど、ムードーメーカーというならばたしかにそうだ。
文醜は俺にとっての鈴々や翠のように、気持ちの上で顔良の助けになっているんだろうと思う。
「そして、袁紹様もああ見えて部下にはけっこう優しいんですよ?」
「あの袁紹が!? ……なんか想像つかないなぁ」
優しい袁紹……。ごめん、マジで想像できない。
「ホントですよぉ。袁紹様はご自分が堂々としている分、下々の者に対してはとっても優しいんですよ。
……まぁその、かなりわかりにくい優しさではあるんですけど」
他ならぬ顔良が言うのだからきっとそうなのだろうが……。
高貴な者の義務、ノブレスオブリュージュというやつだろうか。
たしかに袁紹は無駄に偉そうだが、あれでなかなか責任感や義務感は強いほうだろう。
誤解だったとは言え、反董卓軍を結集させたりもしているし、
皆なんだかんだで利益や功名などの下心込みで参加していた中、
私利よりもむしろ自らの誇りをかけて戦っていたのは袁紹くらいだろう。
……まぁ、実際戦ったのは俺たちや曹操たちなんだけど。
「北郷さんに対しても、諸葛亮ちゃんたちは北郷さんのお役に立てて嬉しいと思ってますよ、きっと」
う。それは裏を返せば、俺が袁紹みたく朱里たちにかなり頼っちゃってるってことデスカ?
「あはは。――さぁて、どうでしょうね?」
俺の問いに、顔良は明るく笑い、トボけたように誤魔化す。
- 501 名前:顔良ルート第一回『北郷一刀!顔良に会う』[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 01:26:49 ID:6Xm945w20
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俺としてはただただ恐縮して、ここには居ない朱里や愛紗たちに感謝するしかない。
「俺ももっとガンバリマス……」
「がんばってください♪ ――あ、そうだ。早く行かないと諸葛亮ちゃんが待ってるんだった」
にっこり笑って励ましてくれた後。
あ、という顔をして自分が朱里を待たしていることを思い出したようだ。
「そっか。じゃあまたな」
「はい。それじゃあ失礼しますね、北郷さん」
そう言って顔良は俺に一礼し、廊下を歩いてこうとする。
「――っと、そうだ。ちょっと待って顔良」
「はい? なんですか?」
あることを思い出し、俺は顔良を呼び止める。
……大事なことを忘れてた。これを言おうと思ってたんだ。
「俺のことは北郷じゃなくて、一刀って呼んでくれていいよ」
「え……そんな、いくらなんでもそんな馴れ馴れしくは……」
俺の言葉に顔良は驚く。よっぽど意外だったのだろう。
正直こちらの、そういう感覚には慣れてない俺には、そんなに驚くことかなぁと思ってしまうんだけど。
「いいよいいよ。仲間なんだからさ、変にへりくだる必要なんか無いよ。文醜なんかとっくにそう呼んでるし」
「えーっ! そうなんですか? もう、文ちゃんったら……!」
そう。この間同じことを文醜にも言ったんだった。
文醜も少し迷ったようだったが、すぐにそう呼んでくれるようになった。
- 502 名前:顔良ルート第一回『北郷一刀!顔良に会う』[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 01:28:15 ID:6Xm945w20
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「だからさ、顔良もそれでいいよ。俺はこっちの生まれじゃないから、真名も字も無いんだし。
――それに、顔良みたいな可愛い子に他所他所しくされるとちょっと悲しいかな、なんてね?」
少しおどけたように言うと、顔良は顔を真っ赤にしてしまう。
「か、可愛いだなんてそんな……。そ、それじゃあ私もお言葉に甘えさせてもらっちゃいますね」
「ああ。――じゃあ、勉強がんばってな」
用事も済んだし、そう言って今度こそ顔良を送ろうとする。
だけど顔良は何故かモジモジとしてその場を去ろうとしない。
しばらく何かを迷っているようだったが、意を決して告げる。
「……あの、もし良ければ私のことも『斗詩』って呼んでくれますか?」
「え!? いいのか……? 真名って大事なもんなんだろ?」
今度は俺が驚く番だった。こっちの世界では真名はよほど親しいものにしか呼ばせないものだそうだからだ。
……なんかその割りにはけっこうみんな簡単に呼ばせてくれてるような気がするけど。
「お世話になってる人を気軽に呼んでおいて、自分だけそのままってわけにもいきませんよぉ。
……それに、私も親しくしてもらえれば嬉しいですから」
「そっか。うん、それじゃあ俺もそうさせてもらうよ。――斗詩」
「はい! これからも、よろしくお願いしますね。一刀さん!」
元気に答え、そして顔良……斗詩は、太陽のように微笑んだ。
【顔良ルート第一回 END】
- 503 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 01:32:42 ID:6Xm945w20
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連投規制とは厄介なものよな(´・ω・`)
思いの外時間がかかってしまったわい。
しかしなんだか語調に違和感。書く前にもう一回プレイしなおしておけばよかった。
勢いに任せるのも良し悪しだなぁと反省。