- 217 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 21:26:09 ID:SRzOsH5d0
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「すまない、待たせたか?」
走ってきたけど、許可をとるのに少し時間が掛かってしまった。
「いや、構わないさ。頼んだのはこちらだ。
まぁ、姉者や華琳様なら怒るんだろうな。」
薄く笑いながら少し怖いことを言う。
「ははっ、相手が秋蘭で助かったよ。」
そう、今日一緒に出かけるのは秋蘭とだ。
何故こんな事になったかというと・・・
「よし、今日の執務は終了っと。」
さて、まだ日が落ちるまで時間もあるし、
町へ行って、遊びがてら見回りまるかな。
そんな事を考えていると
コンコン
とドアをノックする音が聞こえた。
「はい、開いてるから入っていいよ。」
「北郷殿、少しよろしいか?」
「あれ、どうしたの秋蘭?」
秋蘭が少し言い辛そうに
「実は、お願いがあるのだが・・・」
「お願い?」
秋蘭が言い辛そうにするお願い・・・
華琳が閨を一緒にする為に無理難題でもつけたのかな。
あれやこれやと無茶苦茶な考えが頭をよぎる。
- 218 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 21:27:10 ID:SRzOsH5d0
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「北郷殿?」
「あ、ああ、聞いてるよ。それでお願いって?」
「すまないのだが・・・」
ゴクッ、思わず唾を飲み込む。
「私と二人で町へ行ってもらいたい。」
・・・・・・・・・
「へ・・・?二人って俺と秋蘭が?」
「ああ。」
「つまり、外出の許可って事?」
「ありていに言えばそうなる。」
「それは構わないんだが、何で俺と二人っきりで?」
今までは、春蘭らと数人で出掛けていたはずである。
「うむ、率直に言ってしまえば、姉者達と出掛けると
どうしても世話をしないといけなくなるのでな。
買いたいものだけを買うとはいかなくなってしまうのでな。」
「ああ、なるほどね・・・」
世話係りの秋蘭らしいな。
「わかった、これから町に行くつもりだったし、
今から平気かな?」
「私は平気だが、外出許可は平気なのか?」
「秋蘭だけなら平気だろう。」
春蘭や季衣とは違って暴れないだろうし・・・
とは、口に出さないで置く。
しかし、
「ふふ、姉者が聞いたら怒るぞ。」
口に出さなくてもわかってしまったらしい。
「ま、愛紗に外出してくるって伝えてくるから、
門のところで待っていてもらっていいかな?」
「了解した。」
- 220 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 21:29:54 ID:SRzOsH5d0
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とまぁ、こんな訳である。
町へと向かう道中
「しかし、思ったより早く来たな。」
「そうか?許可を取るだけだから、もっと早く来れると
思ったんだが、愛紗に秋蘭と二人で町へ行ってくると言ったら、
危険だと言って、思ったより反発を受けてね。」
「ふふふ、妬いているのだろうさ。」
「妬いてる?」
「ああ、私が北郷殿と二人で出掛けるのが羨ましいのだろう。」
なるほど、道理で顔が赤かったわけだ。
「それで、秋蘭は何が欲しいんだ?」
「そういえば、言ってなかったな。本だよ。
姉者達がいるとゆっくり見て選べないのでな。」
確かに、春蘭達なら本を選んでるうちに何処かへ行ってしまうだろう。
「わかった。それじゃ、本屋に行こうか。」
「ああ、頼む。」
「ふあ〜あ」
っと、思わずあくびが出てしまった。
本屋に着いてから1時間くらいは秋蘭に付き合って、
本を眺めていたが、さすがに飽きてしまった。
秋蘭のほうはまだまだ時間が掛かりそうだし、
「どうしたものかな・・・」
あまり離れる訳にもいかないし、
少し向かいの店でも少し見てくるかな。
- 222 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 21:31:55 ID:SRzOsH5d0
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「姐さん、少し見せてもらうよ。」
「これは太守様、どうぞごゆっくり見て行って下さい。」
「ふむ」
んー、どれがいいかな。
お、これなんかいいかもしれないな。
「姐さん、これもらうよ」
「はい、毎度〜」
それから、通りかかった人に肉まんを貰ったりしながら
待っていると、
「すまない北郷殿、だいぶ待たせてしまってたようだな。」
本を10冊ほど抱えた秋蘭が店から出てきた。
「いや、構わないよ。熱心に見ていた様だけど、
いい物はあったかい?」
「ああ、北郷殿のおかげでゆっくりと買い物ができた。」
「それはよかった。付き合ったかいがあったよ。
荷物持つよ。さっき肉まんをもらってね。
まだ温かいから食べな。」
「助かる。」
秋蘭から本を預かり、代わりに肉まんとさっき買ったものを渡す。
「ん?北郷殿。これは?」
「秋蘭を待つ間に向かいの店を見てきたら、
装飾品店でね。少し見ていたら、それが秋蘭に似合いそうだったんでね。」
「これは・・・耳飾?」
手に持ちながらじっくり見る秋蘭
「気に入ってくれると嬉しいんだけど、どうかな?」
ふっと笑うと、耳に着けてくれる。
「私は気に入ったが、似合っているかな?」
「あ、ああ、よく似合ってるよ。」
「そうか。」
と言って笑った顔は、本当にドキリとさせられるものだった。
- 223 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 21:33:23 ID:SRzOsH5d0
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「さて、日もだいぶ落ちてきたことだし、急いで帰るとしよう。」
「そうだな、あまり遅くなると愛紗にまた説教されるしな。」
「それだけで済めばいいがな。」
そう呟いた秋蘭の言葉が気になる。
「どういう意味だ?」
「なぁに、こんな物を買ってもらったのでな。少し心配したまでだ。」
そう言いつつ、耳飾をいじる。
「もし、この事が愛紗達に知られれば、どうなるか、とな。」
・・・・・・・・・・・
「あの秋蘭さん、できればこの事は内密にお願いできますか?」
一瞬想像してみたが、恐ろしい事になりそうである。
「そうだな・・・また付き合ってくれるのなら考えてもいいな。」
さっきとは違う、少し意地の悪い笑みを浮かべながらそんな事を言う。
「それなら、全然問題ないよ。」
むしろ嬉しいくらいだ。
「そうか。では、またお願いするとしよう。」
「ああ、いつでも来てくれ。」
また行く日を楽しみにするとしよう。
秋蘭に個別あったらこんな感じかなと思って書いてみました。