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137 名前:若本[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 00:22:35 ID:DEV4Sg1A0
「ハァッ、ハァッ、ハァッ」
夜の城内を死ぬ気で走る
体は休息を求めて悲鳴をあげているが、今立ち止まれば俺は終わりだ
愛紗たちともはぐれてしまった
「くそっ、何でこんなことになったんだ!」
答えが出たって何の助けにもなりはしない。でも問わずにいられない
何なんだ?なにが起きた?
なぜ俺はこんなに走り回ることになってんだ?

背後から、ヒタヒタと、裸足で床を歩く音が聞こえる

ぞっとする悪寒と共に振り向く

暗闇に瞳を爛々と光らせて

奴がそこに居た

「くそっ!」
舌打ちをしてさらに加速。なんで走ってるのに引き離すことができないんだ!?
とりあえず身を隠せる場所か、武器のあるところへ向かわなくては!
「まぁ、あいつに攻撃が通用するかは分かんないけどな」
細めの通路に飛び込む!
奴の大きさなら入ってこれないはずだ。とりあえず時間は稼げた
みんなはきっと貯蔵庫にいるだろう。あそこなら食料もあるし、頑丈な扉もある
身を隠すにも篭城するにも最適な場所だ。事情を話せば衛士も鍵を開けええてくれるはず

「ぶるるるるぁぁぁぁぁあああああっっっ!!!!」
背後から、化け物の───豹蝉の悔しそうな雄叫びが聞こえてきた
138 名前:若本[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 00:24:05 ID:DEV4Sg1A0
異変の前兆はあったんだ
ただ、豹蝉はいつも変だったから見逃していただけで



豹「おはようございます、マインカイザー」
一「うぉっ!?どうしたんだ豹蝉!ついに頭までおかしくなったのか?
  後その高級軍人っぽい格好はどうしたんだ」
豹「これはこれは、なかなか手厳しいお言葉ですな。しかしこの豹蝉
  今も昔も、カイザーへの忠誠心はいささかも曇りはしておりませぬ」
一「会話しろよ」
豹「いいかミッターマイヤー、女という生き物はな、男を裏切るために
  この世に生を受けたんだぞ」
一「もう何がなんだか・・・」



一「お、馬超と豹蝉じゃないか。何してるんだ?」
馬「あ、ご主人様、助けてくれ!豹蝉のやつ変なんだよ!」
豹「変?変と言ったのかい君は?すべてを僕のせいにして、
 あの二人で過ごした熱い夜を無かったことにしたいと言うのかい!?」
馬「な、変だろ?」
一「確かにおかしいな。全身黄色いし」
豹「さあ!もう一度あの夜のように熱いひと時を過ごそうじゃないか!
  この胸に!飛び込んでカモーン!」
一「ほっとこう」
馬「・・・そうだな」
139 名前:若本[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 00:30:32 ID:DEV4Sg1A0


豹「フグ田君、お疲れ」
一「誰がフグだ」
豹「今日あたりどうだい?(クイッ)」
一「今度は顔からはみ出すほどのタラコ唇か・・・」
豹「おいおいー、最近付き合いが悪いじゃないか
  何かあるのかい?僕でよければ相談に乗るよ」
一「とりあえずお前に相談することは何もないが」
豹「おっといけない!今日は早く帰らないとカミさんから怒られるんだった
  すまないね、フグ田君。飲みに行くのはまた今度で」
一「・・・」

30分前
豹「・・・」
一「どうした豹蝉、今度は何だ?」
豹「私は、すべての女を吸収して完全体になる」
一「は?」
豹「ぶるぁぁぁぁぁああああ!!!」
一「!?何か今度のはやばい!みんな逃げろ!」
豹「ぶるぁぁぁぁぁああああ!!!」
全「うわぁぁぁぁぁ!!」
142 名前:若本[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 00:33:11 ID:DEV4Sg1A0
そして今、必死で逃げてるって訳だ
貯蔵庫に着いた。みんな無事に逃げただろうか
でも鍵を開けようとして気づいた

鍵が壊されている

背筋に冷たいものが伝う
「ま、まさか・・・」
そんな馬鹿な!さっきまであいつは俺を追いかけてきてたはず

ギィィィ・・・

触れてもいないのに扉が開いていく
そして俺を待っていたのは

「あら、遅かったわねご主人様」
143 名前:若本[sage] 投稿日:2007/02/06(火) 00:34:41 ID:DEV4Sg1A0
見たことも無い美女だった!
「お・・・お前はだれだ?」
「私は豹蝉。愛紗たちを取り込んだ、これが私の本当の姿」
「なっ!みんなをどうしたんだ!?」
「心配することはないわ。愛紗たちならほら、そこに」
「ご、ご主人様・・・」
「うぅ〜、お兄ちゃ〜ん」
「はわわ・・・」
「あ、主ぃ・・・」
「あうぅ〜」
「はふぅ・・・」
「みんな!
 ・・・なんで裸なの?」
「言ったでしょう?ご主人様?私は彼女たちの精を吸収して完全体になったの」
「ということは、まさかここであんなことやこんなことを・・・?」
「ええ。ご主人様も誘おうとしたのに逃げちゃうんですもの」
少し膨れてみせる豹蝉。ただそれだけなのにクラクラするほど可愛い顔だ
「な、何てことだ!俺はみすみすこんな美味しいチャンスを・・・っ!!
 しかし豹蝉」
「なぁに?ご主人様?」
「お前、声が変わってないからやっぱキモイわ」


完!

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