[戻る] []

482 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 01:28:04 ID:p5Hw6V1s0
夜の帳も下りた頃。
城の奥にある一際大きな宮、その最上階にある本郷一刀の寝所。
コツコツ、と扉を叩く音がする。
「誰?入っていいよ」
一刀はそう促したが、誰も入ってくる様子はない。
不審に思い、扉を開けてみるが廊下には人の気配はない。
空耳か、と扉を閉め振り返ると寝床に腰掛ける星の姿があった。
「うわっ!びっくりした……星か。驚かせるなよ」
「ふふ、ご容赦を。主の気が抜けているようでしたので、つい悪戯心が首をもたげましてな」
ふと見れば窓が開いている。どうやらまた窓から侵入したようだ。
「夜くらい、気を抜かせてくれ。今日はずっと根を詰めて仕事してたんだ」
「おや、お疲れですか。それでは、無理をなさることもありますまい」
「いや、まあ」
「よいのです、主。ここで主に倒れられるのは私の望むところではありませぬ。
 今宵はおとなしく主を想い、月夜に独り寂しく慰め果てると致しましょう」
「またそんなことを……。今日は楽しみにしてたのに」
数日前からの約束事である。わざとらしく拗ねた様子をみせる星の隣に座り、身を寄せる。
「何と言っても、今日は逃さないぞ」
瞳の奥にどこか挑発的な光を宿した星に、ゆっくりと顔を近づけ、止める。
「それとも星は、俺とは嫌なのか?」
「……そう言われましては、仕方ありませぬな?」
いつもと同じ。こうやって言葉遊びのような事を繰り返しながら、お互いの気持ちを高める。
星の腰に手を回し、愉快そうな眼差しに答えながら、そっと唇を重ねる。
「ん……ちゅっ……」
湯浴みをしてなお、匂い立つような女の香り。口の端から漏れる甘い吐息。
目を閉じ、舌を絡ませ、星の柔らかさを、温もりを、味を楽しむ。
星の口の中はまるで溶けてしまいそうなほどで、とても温かかった。
ほのかに甘く、味わい深く。すこし塩っぱい、癖になるような味。
一度口に含めば忘れられず、ついつい再び、それを求めてしまう。
その歯ざわりも申し分なく、食欲をそそり、ご飯が進む事間違いなし。
ラーメンにのせるもよし、酒のつまみにもオススメ。
―――そんなメンマを、貴方にもお届け。

 [戻る] [上へ]