「祭さ〜ん♪」 最近、困っていることがある… 嫌じゃない。むしろ悪い気持ちはしない…のだが。 「祭さん……その…一緒に寝てもいい…かな…?」 前から…薄々気づいてはいたのじゃが… 「はぁっ…はぁっ……! 好きだよ……大好きだよ………祭さん…祭さ…んっ…!!」 北郷が儂の事を好きすぎる━━━ 【一章】 うーむ。困った。祭が自室で頭を抱えている。 ここ毎晩北郷から身体を求められる…。 北郷には天の血を呉に入れるという使命があり、このまま儂だけ閨を共にしていたら呉の繁栄が… 「祭殿、失礼します」 「おぉ!めーりん!丁度よかった」 冥琳が沢山の書類を抱えて部屋に入ってきた。 「祭殿、前に話した兵の調練の…」 「そっそれより大変なのじゃ!このままじゃ呉の未来が…」 「むっ…どうかしたのですか?」 よかった…。丁度仕事の話をはぐらかせた…。 祭は冥琳に事情を説明した。 「ふむ…。確かに最近よく一緒に居るところをお見かけする…」 「そうなのじゃ…。儂もその嫌ではないのじゃが…。そうそう!前にもこんな事があってな…。」 ある日の夜、祭の部屋での事。 コンコン━━━ 「祭さん…? 起きてる?」 「北郷?」 扉越しに一刀が声を掛ける。 もう慣れっこだった。ここ最近、この時刻になると、枕をもった北郷がやってくる…。 「一緒に寝てもいいかな…」 ふぅ…とため息をつきながら、扉の前まで行く。 ここで扉を開けてあいつの甘えた上目づかいを見てしまうと、丸め込まれてしまう…。 今日こそは…。 「ほっ北郷…今日はその…駄目なのじゃ」 「えっ…!なんで!」 北郷が驚く。ドサッ、と音がしたから枕をショックのあまり落としたのだろう。 「今日はその…アレなのじゃ…アレ…。月のものが始まってしまっての…」 「ああ、なんだ生理か…。大丈夫だよ祭さん!俺全然気にしないから!」 儂が気にするんじゃあああああ!! 生理が始まったのは確かに嘘ではなく真実だった。 祭は一刀の無神経さにイラつきながらこう言った。 「とっ…とにかく今日は駄目なのじゃ!そうじゃ、権殿の部屋に行くのはどうじゃ?」 風呂にも入ってなくて…ムレムレなのじゃ…。今日は絶対に嫌じゃ! 「……………」 一刀が無言になる。 しょんぼりしている北郷が頭に浮かぶ。 いつもならここで母性本能をくすぐられ、部屋に招き入れて抱きしめてしまうだろう…。 しかし、今日はその手にはひっかからんぞ。 「……じゃあキス…」 「むっ…?」 「キスしてくれたら帰る…」 ふぅ…。 やっと観念したか。 しょうがない…。キスくらいならいいか、と思い鍵を外し扉を開いた。 「……まったく、北郷は甘えん━━━ふむっ!」 扉を開いた瞬間、祭の唇に一刀がくらいついてきた! 「ちょ…! ほんっ……ごうっ……! んっ、ちゅぅ…ちゅぅぅぅぅ……!」 一刀はそのまま腰に手をまわし、ベッドへと押し倒す…! 「えへへへ。入っちゃったよーだ♪」 一刀が満面の笑みで言う。 「北郷…!はっ話が違うぞっ…!」 祭は抵抗するが、両手は既に一刀の手で押さえつけられている。 「すぅぅぅぅぅう……ハァ…ハァ…祭さん…いつもより匂いが…濃くて……イイ…!」 一刀は祭の両手を押さえながら、脇や首筋をクンカクンカと嗅ぐ! 「ひいぃぃぃぃぃぃぃ!!変態!変態!!」 「ふひひひひ!」 【二章】 「━━━ということがあってな…」 「そっ…それは…災難でしたね……」 冥琳が顔に青筋を立てながら言う。 しかしその顔は段々と笑顔になっていく。 祭が話を続ける。 「そうなのじゃ…。アイツには儂も困っていてな…前にもじゃなぁ…」 「ふふっ」 冥琳から笑みがこぼれる。 「むっ…何かおかしい事言ったじゃろうか?」 「いえいえ…その…、呉に三代仕え、宿将とまで呼ばれた公蓋殿が…と思いまして」 含んだような言い方だった。それにむっときた祭が言う。 「なんじゃなんじゃ。はっきり言えばよかろう」 すると冥琳が少しおいて…こう言った。 「私にはノロケにしか聞こえませんよ」 「ノロケ……?儂が…?」 祭はきょとんとする。 「ええ。こんなに活き活きと…本当に楽しそうに話をする祭殿は久しく見る…」 「っ…」 「困っている困っているといいつつ、嬉しそうではないですか。 まだ自分の気持ちにも気づいていないようだ…」 「うぅぅぅ……うるさい…!」 「浮き足立ってますね。祭殿もまだまだ若い…という事か」 祭の顔が真っ赤になる。 「ふふ…それでは私はいきます…。あ、そこに置いてある書類は全部公蓋殿の仕事です。明日までに」 そういうとさっと部屋から冥琳は出て行った。 (少しくらいの嫌味はいいよな…。私なんて10日に一度抱いてもらえるかなのに……クスン) 廊下を早足で歩く冥琳は愚痴りながら思った。 【三章】 見透かされた…! 祭はショックを受けていた。 そうじゃ…。確かに儂は嬉しかったのじゃ…。 北郷が他の女、権殿や冥琳、亞莎や明命ではなく儂を特に好いている事に。 自分では気づかないふりをしていたが…皆に自慢したかったのだ。 呉の若い武将達に比べ、一回り(二回り?)も年が離れている自分が、若い北郷に選ばれているという事を。 頭の良い冥琳の事だ。きっと気づいている。 儂が儂のくだらない自尊心を守るために、何気なく話を持ちかけた…ということに…。 「うぐぅぅぅぅううううううう!!」 口から辛苦の声が漏れる。 恥ずかしい…。確かに浮き足立ってた…。 儂はどんな顔して話をしていたのじゃろうか…。いい歳して…。 でも少しは許して欲しい…。 だって…だって…。儂にとって本当に久しぶりの恋バナなんじゃもん…。 両手と両膝を床に付けOTLのポーズをとる祭。 自分の気持ち…。 儂は…夜に北郷がくるのをソワソワして待っていたような気がする。 口では困ったヤツとかなんとか言っておいて、来なかった日にはしょんぼりしていた。 次の日、なんで昨日はこなかったんじゃろ?もしかして誰かと……とも思っていた。 庭で酒を飲んでいるとき、突然北郷に背中から、 「祭さーんっ♪」 と、抱きしめられるのが好きだった。 驚かせようと背中に回り込んでくるのがバレバレだったが、 抱きしめられた時の甘い胸の痛みが心地よかった。 「おのれぇめーりん……」 ああ、確かに冥琳の言うとおりだ。 呉の宿将などと呼ばれ、えばり散らし踏ん反り返っているが…まだまだ未熟じゃった…。 「儂って…北郷の事…大好きじゃったんじゃのう……」 そう呟いた瞬間━━━━━━ ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!! 「ひぃ!な…なんじゃっ!」 ベッドの下の引き出しから何かが震える音がする! あそこには何も入れてないと思ったのじゃが… 犬か猫でも入ったか?また明命が猫を隠して飼っている…? それとも…曲者か…。 祭は護身用の小刀を手に取り、引き出しの前へ向かった。 「だっ…誰じゃ!」 【四章】 ガラッ! 祭は勢いよく引き出しを開けた。 すると中には、なんと両膝を胸に抱え小さくなっている一刀が居た! 「ひいぃぃぃ!!!北郷!ここで何をしておる!」 よく見ると一刀は涙を流している。正直言って気持ち悪かった…。 「祭さんが…そんなに俺の事を好きだったなんて…うぅ……」 一刀が両手で目を押さえながら言った。 「うっ…! 全部聞いていたのか孺子っ!いつからじゃ!いつからじゃぁ!」 祭が顔を真っ赤にしながら一刀の首を絞める。 「ぐぅえええ!ぐえぐえ…ぐえ!(朝から…隠れてた!)」 「ひいぃぃぃぃぃぃぃ!」 祭は身を悶えさせた! 全部聞かれていた…独り言も…… 祭が真っ白になって放心状態でいると、早々に気絶から復活した一刀が、祭の背後に近づき優しく抱きついた。 「祭さん…嬉しい…。俺も祭さんの事…大好きだよ」 「し……し知っておるわ…そんなの…」 恥ずかしくて北郷の顔が見れない。きっと真っ赤になっているじゃろう… 「照れてる祭さん可愛いよ…はぁはぁ…くんくん…」 「うぅぅうるさい…!」 振り返り、ポカっと頭を叩こうとした。 しかし腕を簡単に取られ、強引にキスをされてしまう。 「んんん…っ! むぅぅ…ちゅぅ……んっ、ぢゅるっ…」 舌を絡ませる情熱的なキスが続く…。 「ぷはっ…北郷…。何故ベッドの下に…?盗み聞きなど……あまり関心せんぞ… そもそもいつ…どうやって…?」 上目遣いで祭が聞いた。 すると一刀が少し照れながら言った。 「朝食食べた後、祭さんと昼寝しようと思って…」 「いっつも祭さん朝食の後少し昼寝するだろ? だから厨房で御飯食べてる祭さんを尻目に…、部屋のベッドの中で待ってようと思ったんだけど……」 「だけど……?」 「布団の中に隠れてるだけじゃつまらないと思って… つい…引き出しの中に…」 こやつ……アホじゃ! 「そんで、来るの待ってたらウトウトしてきちゃって、冥琳が来るまで寝ちゃってた……」 ポリポリと恥ずかしそうに頭を掻く一刀。 「ぷっ……くくく…」 あまりのマヌケさに祭の顔に笑みが浮かぶ。 そういえば以前、権殿が一刀についてこう言ってたな…。 真剣な時の顔とは打って変わって、とても子供っぽい一面があってそこに惹かれる…と。 確かに…。だけどあまりにお粗末すぎないか…? 一刀の髪を撫でる。 しっとりしていて柔らかい…。 「ふふっ…一刀…。あんな所で寝ていたら窒息してしまうぞ…」 名前を呼ばれ、ドキッとした一刀が続けてこう言った。 「なら…窒息させてよ……」 そう言うと、一刀は身を寄せ、祭の口を唇で塞いだ…。 【最終章】 ふぅ…。まさか昼間っから四回戦もするとは…。まさに種馬…。 ベッドの上で寝転ぶ二人。 三回目を膣内に放出した後、 「ハァ…ハァ…まだ収まらないんだけど……。……このまま…このまま四回戦行っていい…? 祭さん…」 と言われた時は流石に身震いした。 当の本人は行為を終え、満足げにニコニコしている。 ふいに一刀に聞いてみた。 「なぁ…一刀…。儂のどこがそんなに好きなんじゃ…?」 「んー。面倒見がよくて、優しくて…綺麗なんだけど、可愛いところかな…?」 むぅ… 少し困らせてやろうと思ったが、あっさりと返され少し照れる祭。 北郷のこういうところにやられる女が多いんだろうな。 照れ隠しに一刀の頭を撫でる。 「んっ…だけど……」 ん?だけど? 「やっぱり……おっぱいかな? 冥琳のおっぱいは大きいんだけど、張りがありすぎててばいんばいんなんだよね。 蓮華のおっぱい穏のおっぱいも中々だけどやっぱ張りがありすぎる。 それに比べて祭さんのおっぱいは、滅茶苦茶でかいし、ちょっと垂れてるから柔らかいんだよね! なんていうの?ふにゃ〜んって。超柔らかい!フヒ! 祭さんのおっぱいに包まれて眠ると、疲れも取れて凄い快眠できるんだよね! もう祭さんのおっぱい無しじゃ眠れなくてさ! やっぱ皆より長く生きてる分、コネコネされて柔らかくなってるのかな〜! ふひひひひ…なーんて…」 祭の特大胸に抱きついていた一刀が顔を上げ、祭の顔を見た瞬間、一刀の顔から血の気がうせる。 なんじゃ…わっ儂のおっぱいを…枕がわりにしていただけか…? どうりで毎晩儂の部屋にきて、胸に抱きついて寝るわけだ…。 そんでなんかムラムラしちゃってついでにHした…? ふふふ━━━ 不気味な笑みが浮かぶ。 「あの…祭さん…? 冗談だよ?」 「…北郷」 ドスのきいた低い声で祭さんがいう。 「たまには儂と修練のデートと行こうではないか…。  また前のように稽古をつけてやろう。 …向こう一週間、筋肉痛で夜中に儂の部屋へ来れないくらいな…!」 その後、一刀はみっちり稽古をつけられ、立てないくらいにボロボロにされたとさ。 【終わり】 【後日談】 しかしその日の夜、廊下を這って祭の部屋に行ったらしい。 恐るべし北郷一刀! 【完!】