あー糞糞糞！むしゃくしゃする。

【恋する春蘭】

なんでだ？
なんでこんなに胸が締め付けられる…畜生。イライラする。

いつから痛むようになったのかは分かる。
前回洛陽に攻め入った時、虎牢関で油断して敵に弓を射られた。
その時北郷に身を挺して助けられた。あの日あたりからだ。

『春蘭！』

北郷が叫んで私を押し倒す。
最初は何をするコイツ！と思ったが、北郷の顔を見て血の気が引いた。
北郷のほっぺたには切り傷が出来ていた。やじりが掠ったのだろう。

『良かった…春蘭…』



一生の不覚だ。北郷なんぞに助けられるとは…。あんな軟弱者に…。
いやしかし軟弱者でもないか…。あの時のアイツは━━━

「姉者」

ボーっとしてると秋蘭が話しかけてきた。そうだ。今は楽しい昼時なのに…。

「もしかして口に合わなかったか？新作のｼｭｳﾏｲは…」

「いや！そんな事ないぞ！秋蘭の作る飯はまったくもって最高だな！ﾊﾞｸﾊﾞｸﾊﾞｸﾊﾞｸ…」

「そうか…なんだか怒っているように見えてな…」

秋蘭は心配そうに春蘭の顔を覗いてきた。

「何か…どこか痛いのか？腹が痛むとか…姉者…」

「む…いや、ちょっと胸がな…ハハ、なんだか痛くてな。なんだかもやもやするというか…」

「大丈夫なのか？いつも元気な姉者が…もしかして病気かもしれん…」

「秋蘭は大袈裟だな」

「いやここは大事をとって午後の訓練は中止に…あと医者を…」

我ながら良い妹を持ったものだ。可愛いし優しいし…。
なんだか秋蘭の優しさに触れて胸の痛みが少し取れた気がした。

「飯を食べてる時に姉者が険しい顔するなんて…こんなの初めてだ…しかも採譜は好物の私のｼｭｳﾏｲ…」

秋蘭は深刻な顔をしてまだﾌﾞﾂﾌﾞﾂ言っている。
心配を掛けすぎたか…。これからはちょっと元気を出してみせなきゃな…。

胸のつっかえが取れ、気分がよくなってきた時、厨房に問題の男が入ってきた。北郷だ。

「や。春蘭、秋蘭」

く…糞。調子よくなってきたのに。また胸が…。

「おお。北郷。丁度良かった。少しｼｭｳﾏｲを作りすぎてな。どうだ、昼飯に」

「うぉおおお、やったー！滅茶苦茶おなか空いててさぁ。」

秋蘭がニコニコとお皿にシュウマイを盛り付け始める。
こんなヤツもてなさなくていいのに…

「ふ…ふん。大方厨房から良い匂いを嗅ぎ付け狙ってやってきたのであろう」

「ははは、実はそうなんだ」

まったく。意地汚いヤツだ。

「ふふ。新作なんだ。食べてみてくれ」

秋蘭はなんだか嬉しそうにしている。そこまでコイツに優しくしなくてもいいのに。
いや、秋蘭はだれにでも優しいのだが。

春蘭が北郷に助けられてからというもの、秋蘭は北郷になんだか優しい。
北郷を見る目が前と違い優しい目で見るようになった。いつもニコニコしている。

前にその事を聞いてみたら、

「大切な姉者を守ってくれたんだ。私は感謝している」

と言った。
なんでも飛んできた矢の軌道は、春蘭の左目を直撃するモノだったらしい。
近くで見ていた秋蘭は一番慌てふためき、うろたえていた。
私の顔が無事だと分かると、ボロボロと涙を零し始めたのはびっくりしたものだ。

「美味い！美味すぎる！風が語りかけるよっ！」

秋蘭の作る飯が不味いわけなかろう。まったく。
ﾊﾞｸﾊﾞｸﾊﾞｸﾊﾞｸ食べて…。ちゃんと味わっているのかコイツ…。

「いい食べっぷりだ、北郷。作り手としても嬉しいぞ」

「おかわりっ！！」

むっ。私も食べようと思っていたのに…。

「ふっ、沢山あるからゆっくりで大丈夫だぞ。シュウマイは逃げない」

「いや、ゆっくりだと熱が逃げてしまう！一番美味しい状態で食べるのが俺の料理人に対する礼儀だ!!」

わけわからん…。しかし、見ていて嫌じゃない。むしろ…

「姉者もどうだ？おかわり」

「へっ!?あっ…きょ、今日はいい。もうお腹いっぱいだ！」

秋蘭が信じられないものを見るような顔をした。

「なん……だと…。姉者が…姉者がおかわり拒否を…」

プルプル身体を震わしている。北郷から渡された皿が今にも手から滑って落ちそうだ。
それを察知したのか、北郷が秋蘭から皿をｻｯと奪い取った。

「どっ…どうしたんだ？春蘭。どこか身体の調子悪いのか？」

「そうなんだ北郷！姉者は胸が痛いと言っていて…もしかしたら病気かもしれんのだ！」

「いやっ…大丈夫だ…大丈夫だから心配するな…」

心配そうに北郷が顔を覗きこんできた。
なんでだ？なんだか北郷に顔を見られると…恥ずかしい…。

春蘭は俯いて下を向いてしまう。

「もしかしたら熱があるのかも…。どれ、ちょっとおでこ触らしてみろ」

「へっ！？」

ペタッ

北郷が手のひらを春蘭のおでこに当てた。

「うーん…熱はないみたいだなあ…」

すると春蘭の顔が急激に赤くなる。まるでやかんのようだ！

「ウガガガガガガ…」

「おっ！どうした急に熱く…」

「ウガアアアアアアアアアアア!!!!」

「姉者ーーーッ！」

春蘭はテーブルをひっくり返した！
流石なのは秋蘭で、事前にそれを察知しテーブルの上の皿を全部回収していた。

「あわわわわわ…」

「どっ…どうした！春蘭！おっ…落ち着け！なんか俺悪いことしたか！？」

「フッ…フシャアアアアア!!!」

春蘭は取り乱し厨房から走って逃げていった。

「な…なんだアイツ…」

「姉者…」


【二章】


「はぁ…はぁ…」

春蘭は訓練場まで来ていた。

糞。北郷め。
突然私の顔に触るからびっくりしてしまったではないか…。

顔もこんなに熱くて…心臓もドキドキ言っている。
戦でもこんなに心臓は高鳴らないのに…

「私は…病気なのか？」

こんなに汗が出て、胸が痛くて…。
重病だ…他に考えられない。

もしかして…私は死ぬのか？
なんだか泣きそうになってきた。
華琳様に相談しよう。そうだ。それがいい。
春蘭はそう思い華琳の元へ向かった。



「これこれこうなんです…」
春蘭は事情を説明し、華琳に助言を仰いだ。

「そう…。ふむ」

華琳はあごに手をあて考えている。

「風邪の引き始めね」

華琳は笑顔であっさり言った。

「おお！やはりそうですか。華琳様が言うなら間違いない！」

「ええ。大事を取って午後の訓練は中止、大切な春蘭が身体を壊しては大変だわ。
代わりの指揮は一刀に取らせなさい」

「はいっ！！ってええ！？…ほっ北郷ですか？」

「そうよ」

「わかりました…。それでは失礼します」

春蘭はトボトボと玉座の間から去っていった。
華琳はその肩を落とした後ろ姿を見送ると、少し考えた後こう呟いた。

「まさかね…」


【三章　自室】


「そっ…そういうわけだ！北郷！」

さっきあんな事をしてしまったからまともに北郷の顔が見れない…。
春蘭はしどろもどろになりながら説明した。

「ああ…わかったよ。今日は午後から休みだったしな。まかせてくれ。
それより身体は大丈夫なのか？ちゃんと休むんだぞ？」

（うっ…早く行けー…）
春蘭はそんな事を思いながら顔を真っ赤にして俯く。

「なんだか…いつもと違って元気がないな。
早く元気になれよ。元気じゃない春蘭なんてらしくないぞ」

（ドキ）

北郷の言葉に胸が高鳴る。
いちいちどうしてしまったんだ…私の身体は…。

春蘭は逃げるようにして自室に走った。


ベッドにもぐって寝ようと試みるが、どうにも落ち着かない。
こんなに胸がドキドキいっているのに眠れるわけがない。
今頃、春蘭の部隊の訓練を北郷が指揮している。

きになるな…私の直属の部隊だ…。なまっちょろい指揮をされて兵士の士気が落ちても困る。
むっ…指揮だけに士気が、か。ﾌﾌﾌ。今度秋蘭に聞かせてやろう。

春蘭はこっそり自分の部隊の訓練を覗きにいくことにした。

【四章　訓練場】

春蘭は訓練場まで来ていた。
しかし北郷から見えないように、訓練場の隣の広場の木陰からこっそり覗いた。

じ〜っ。

北郷め。なかなかよくやっているようではないか…。
あれなら安心してまかせられるな…。
アイツもあれでなかなか兵から信頼を得ているようだし。

春蘭は虎牢関での事を思い出していた。


『良かった…春蘭…』

北郷が春蘭抱きしめながら言った。

『無事で…』

「隊長…」

アイツの腕の中は暖かかくて…案外胸板が厚くて硬かった…
私は恥ずかしくなってすぐに吹っ飛ばしてしまったがな…

「隊長…ﾊｧﾊｧ…」

その時のアイツの顔といったら…ﾌﾌ…隊長…ってえ？

「うおっ!!」

春蘭は横に飛びのいた！
気づかなかったが先客ですぐ近くに凪が居たらしい。
凪の方も春蘭には気づいていないようだ。

「なななな…なんだ…凪か。私に気配を気づかせないとは…」

「隊長…隊長…」

まだ気づいていないようだ。
な…なんだコイツ…ん？

春蘭は気づいた。
凪は苦しそうだ。手で胸を押さえ、頬を上気させ顔を赤く染めている。

「隊長…ｶｯｺｲｲ…」

まさかコイツ…私と同じ……病気！！！

「凪ーーーーッ！！！」

「はいーーーッ！！！はっ！？春蘭様ｯ！？」

凪はしどろもどろになっている。
いつからここに潜んでいたのだろうか…。

「どうしたんだ？こんな所で、何をしている？」

「えっ…あのっ…あのっ…その…」

凪は両手を前に組んでもじもじしている。
本当になんなんだコイツ…

「その………隊長を………見てました…」

隊長？…北郷か。

「何故北郷など見ている？暇なのか？こんなところで隠れてコソコソと…」

「あの…その…」

「ん？どうした？」

凪は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。
まったく。どうしたというのだ…凪は。

「隊長を…お慕いしているから…」

ん？お慕い？

「その…覗きのような事をしてしまい…ました…」

これ以上真っ赤にならないくらい顔を真っ赤にして凪は言った。

ああ。
凪は北郷の事が好きで恋をしているから、影から覗いていたのだな。うむ。納得！
そうかそうかﾊﾊｯ。聞かなくても誰が見ても一目瞭然ではないか！
恋する乙女のまんまではないか！はーっはっはっは…

はっ！？

恋する乙女…一目瞭然…

「なっ…凪よ…」

春蘭は動揺を隠せず、凪に話しかけた。


「もしかして、胸が締め付けられるように痛いのか…？」

「…はい。隊長を思うと胸が痛くて…」

「食欲がなくて…」

「…ええ。隊長を思うと食事も喉に通らなくて…」

「汗が…」

「はいいぃ！隊長を思うと手に汗が…」

「うぐぅぅぅ…」

「はいいぃ！隊長を思うとうぐぅぅ…って、え？」

春蘭はぷるぷると震えて咆哮した！

「ウガアアアアアアアアア!!」

「春蘭様ーーッ!!」

春蘭は木々をなぎ倒しながら広場を去っていった…

「春蘭様…どうしたのだろう…。
はっ！それより…隊長…隊長……隊長…隊長…」


【五章　再び自室】

はぁ…はぁ…。

春蘭は自室に居た。
わかったぞ。私の胸の痛みの原因が…。
全てが一致する。

あの日から…アイツの事を考えると胸が締め付けられるように痛くなった。

そうだ。私は昼飯の時、扉の外で人の気配がし北郷だったらいいな…と暗に思っていた。
それで…北郷が本当に入ってきて嬉しかったんだ…。
だけど、素直になれなくてイヤミばかり言ってしまって…。

アイツを前にするとあわててしまう。
アイツの胸の中の暖かさを思い出すと頭がボーっとしてしまう…。

木陰から私は北郷を覗いていた…。
凪も覗いていた…。

言い訳できない。私は…北郷のことが…


その時部屋にノックの音が響いた。

「姉者…入るぞ」

秋蘭が入ってきた。

「姉者…具合は…」

「しゅうぅううらぁあああん！！」

春蘭は秋蘭に駆け寄り、抱きついた！

「ああ。分かっているぞ姉者」

秋蘭は春蘭を抱きしめながら頭を撫でた。

「ひっく…秋蘭…秋蘭…ぐすっ…」

「分かっている。姉妹だものな」

「ｳｯ…ｳｯ…」

落ち着き払って秋蘭は言った。

「恋しているのだろ…？…北郷に」


【六章　作戦会議】


「ぷはーっ！ふひひ…我ながらどうしてあんな男に」

「いやいや…姉者。アイツはあーみえて中々見所あるぞ」

二人はしらふでは話ができんということになり、
夜を待ち酒を飲み始めた。
そして姉の初恋ということで、始めての恋バナに花を咲かせていた。

「そうなんだよな…。アイツ…たまに男らしい所があって…」

「ふふ…そうか…姉者がな…ふふふ」

「こ…こら…からかうな…」

一呼吸置いて仕切りなおすように秋蘭は言った。

「さて、姉者はこれから北郷とどうなりたいのだ？」

「わ…わからん…。ただ、またあの暖かい腕に抱かれたい…んだ」

春蘭は顔を赤くして言った。
その顔がたまらなくツボだったのか秋蘭が悶えながら言った。

「よしっ…。これから私が北郷をこの部屋に呼びにいってあげよう」

「へっ…？　ええええええええっ…！」

「なぁに大丈夫だ。ちょっと酒に付き合えと誘ってくるから。、
そのまま二人っきりになって気持ちを伝えて、抱いて貰えばいいじゃないか」

「しゅうらぁぁあああん…！」

「北郷のやつも…姉者の事を好いている」

「そうかな…」

「ああ。私が言うんだ。間違いない」



【七章　自室…】



秋蘭が北郷を呼びに入った。
はぁ…。どうしよう。一人になると急に心細くなり、酔いが冷めてきた。
こんな状態で会っても緊張して何も話せない気がする…。

北郷も…わたしの事を好いているのだろうか…
秋蘭の言うことなら信頼できるが…。

それよりわたしの身だしなみは変じゃないだろうか…

春蘭は鏡の前に立ち身体を映した。

こっけいだな…。戦う為に作り上げてきたこの体。硬くて…太くて…。
軍師のあいつらと比べて全然女っぽくない…。

こんな体で…。こんなわたしを北郷が好きになるわけない。
何を私はドキドキしているのだろう。身だしなみなどを気にして…。
急に心が冷めていくのを感じた。

こんこん…

「春蘭…？俺だけど…。入っていいか？」

「ほっ北郷か！？あっ、ああ！いいぞ！入ってくれ」

一刀が部屋に入ってきた。部屋を見回し…そしてゆっくりと腰を掛ける。

「や。どうしたんだ？急に…。具合は大丈夫なのか？」

「ああっ…北郷のおかげでな…。その、休んでいたら大丈夫になった…！
だから、今日は昼間助けて貰ったお礼に…その…」

「それで部屋に招待してくれたのか。ありがとな春蘭」

冷めて落ち着いていたはずの心が、一刀の笑顔を見て高鳴りはじめた。

「ああ…！酒もあるから飲んでくれっ。これは昼間秋蘭が作ったシュウマイの残りだ」

ズイ！と皿を一刀の方に寄せる。

「ははっ。じゃあ…いただきます！」

美味しそうに笑顔でﾊﾞｸﾊﾞｸとほお張る。
無邪気なこの顔に皆惹かれるのだろうか。

「な…なぁ北郷…」

「ん？」

春蘭はかねてから言おうとしていた事があった。

「虎牢関の時の事なんだが…」

「はふっ…あ、ああ。洛陽の」

「そっそうだ。あの時のお礼をまだ…お前に言ってなくて…」

「ははっ。いいよいいよ。俺が勝手にやったことだし、秋蘭にも散々お礼を言われた。
俺は春蘭が無事なら…それでいいんだ」

うっ。。またコイツは…胸をどきりとさせる事をさらっと言う…。

春蘭はもっと早くに本当はお礼を言いたかったのだが、一刀を前にすると照れてしまい
今まで言えなかったのだ。

「いや、そのせいで頬にキズを負わせてしまったし…ちゃんとお礼を言いたいんだ」

「そっか」

「あの時はありがとな。北郷。感謝している」

「う…うん。春蘭も無事で、よかった」

不思議な空気が二人を包む。

おかしいな。春蘭ってこんなしおらしい女の子だっけ？
もっと…どーんとぶつかってきてくれないと…なんか意識して…
と一刀は思った。

春蘭も微妙な雰囲気を感じ取ったのかあわてて会話を振った。

「そっ…そうだ！頬のキズは大丈夫なのか？痕とか残ってないか？」

春蘭は立ち上がり、一刀の横に座って顔を近づけた。

「春蘭…さん…？」

じっと一刀の頬を見つめる…。

「うん…大丈夫だな…痕も残っていないようだ」

「う…うん。もう…大丈夫」

春蘭は一刀の様子がちょっと変になったのに感づいた。

そっそうか。わたしがちかづいたから…北郷もドキドキしてるんだ…

「ほっ…北郷！！」

「はっはひっ！」

急に春蘭が大きな声をあげたから一刀はびっくりした。

「わ…私は…………くぅぅぅぅ……」

「春…蘭……さん？」

春蘭は勇気を振り絞って言った。

「私は……あの時抱きしめられたお前の…お前の胸の温かさが…忘れられないんだ…」

「う…うん」

「だから…また………抱きしめて欲しい…」

顔が真っ赤になるのを感じる。
恥ずかしくてたまらなかった。
しかし、北郷なら、優しい北郷なら受け止めてくれると思った。

「わかった……春蘭。俺の胸でよかったら、どっ…どうぞ」

一刀が腕を広げて抱擁のポーズをした。

「う…うむ…。す…すまないな…」

春蘭はズリズリ近づき、そして一刀の胸に抱きついた。

「はっ…はぁぁぁ…」

春蘭から感嘆の声があがる。
一刀も耐え切れなくなり春蘭を強く抱きしめる。

暖かい…。とても安心して…ずっとこのままでいたいと思った。

「背中…案外広いんだな…」

「う…うん…」

春蘭が背中に手を回して言った。

部屋には二人の鼓動の音が鳴り響く…。

北郷のヤツ…こんなにドキドキしてくれている…。
わたしと…同じだ…。
心臓に耳を当て、そんな事を春蘭は思った。

「すまんな…。硬いだろ？そして太くて…女らしくない身体だ…」

抱きしめながら春蘭は呟いた。

「えっ…？硬い？太い？女らしくないって…どこが？」

「わたしの身体だ…軍師のヤツらや他の女と比べて…」

春蘭は一刀の胸に顔を押しつけて、落ち込んでいる顔をみせないようにしている
それを見た一刀は畳み掛けるように喋った。

「何言ってるんだよ春蘭！春蘭の体はところどころ柔らかいじゃないか！
腕とか引き締まってて細くてかっこいいし…どこが太いの？」

「そっそうか…？」

「そうだよ！その…今だって春蘭の柔らかい胸が腰に当たってて…正直死んじゃいそうだし、
匂いだって…女の子のいい匂いがして…クラクラしそうだよ…」

「むっ胸ぇ！？……正直だな…お前…」

「だって、春蘭があまりにも見当違いのことを言うから…」

二人に沈黙が包む。
そして春蘭が言った。

「抱きたいって…寝たいって思うか？」

「思うよっ！」

即答だった。

「今だって…分かるだろ…大きくなってるの…」

「う…うむ」

「それが答えだよ…春蘭…」

二人の目と目が合い、見つめあう……


【八章】


「春蘭…」

一刀は春蘭を抱きしめてゆっくりと唇を重ね合わせた。

「ほ…ほん…ごう…んっ…んむ、ちゅ…ちゅぅ…んむ…ぺちゃ…」

涙目になっている春蘭がとても愛おしく、抱きしめて頭を撫でてあげる。

「あ…。北郷…それ好きぃ…」

頭を撫でられてとろけそうな顔で喜ぶ春蘭は、普段一刀を怒鳴りつける彼女からは
全然違う人のようで、それのギャップがあまりにも可愛らしい。

「ほん…ごう…もっと…キスしてぇ…んっ…ちゅぱ…ん…んん…ちゅ…んちゅう…」

春蘭は一刀の頭を抱えるように抱きしめ、乱暴に激しくキスを求める。

「んんっ…はぁ…ちゅぶ…んちゅぅぅ…ちゅぱっ、ちゅ…ちゅ…」

激しい唾液の交換…。
キスをしながら一刀は春蘭の胸をはだけさせる…。

「っう…くぅぅ…」

恥ずかしそうに春蘭は頬を染めた。
そしてそのまま両手でおっぱいをもみしだいた。

「んんっ…！　胸だめぇ…！はむっ……ちゅぶ、ちゅぱっ…んちゅぅぅ…ちゅぱっ、ちゅ…ちゅ…」

キスをしながらのおっぱいへの攻撃に春蘭はとても気持ちよさそうだ。

「んんんんーーっ！…ちゅぱっ…ほっ、ほんご…、ん、んんーっ！」

一刀は唇を離さない。片手を恥部に持っていくと既に愛液でいやらしく濡れていた。

「ちゅぱっ、ちゅっ……ん、んんっ…はぁ…北郷っ…ほ、んご……ぉ…」

「気持ちいい？」

「…はぁっ…うん……ああぁ…っ！気持ち…いい…よう……んんっ…！はぁっ…」

すでに一刀の肉棒を受け入れる準備はできている。

「春蘭…もう…俺…」

「ああ…。いいぞ…お前の熱いのを…入れてくれ…ひゃあっん…！」

正常位の体位で、柔らかく口を開けた割れ目に亀頭の先端を触れ合わす。
先走り汁が愛液でぬかるむピンクの秘肉に触れ合い、
じんわりと膣内に広がっていく。

一刀は焦らすように割れ目にそって亀頭を動かす。

「ふっ…ふぅぅ…はぁ…はぁ……ほっ…北郷…虐めないで…早く…」

一刀はふと春蘭に聞いた。

「なぁ春蘭。春蘭は俺の事、一刀って…よんでくれないのか？」

「ふ、ふえぇ？」

一刀は春蘭の秘肉を擦り上げるのをやめ、目を合わせて聞いた。

「春蘭…一刀って…よんでくれよ…」

すると春蘭は目を逸らしてこう言った。

「だっ…駄目だ…！一刀…って呼んだら…呼んだら…。私は…完全に心をお前に持っていかれてしまいそうだ…
怖いんだ…虜になってしまうのが…。」

「………」

「だっ…だから一刀とは…呼ばない…」

「そっか…」

一刀は少し考え、決心した顔でこう言った。


「なら…無理やり……呼ばせてやるッ！！！」



「へっ！？ほっ北郷っ？」

一刀は春蘭の腰をがっちり掴み、あらためて恥部に亀頭を合わせた…

「だっ…駄目っ…ゆっくりだぞ！？いっ…いきなり奥まで突いちゃ……」

そして、力が入って硬くなっているそこを押し広げながら一気に…貫いた…！

「らめえぇぇぇ…！　かは、ぁっつい…あついのが…ああああっ…、あ……っ！
おっきいよぅ…あ…っ…ああ、や、あぁぁあ…っ」

十分に濡れているのに強く締め付けてくる春蘭の膣内。
すかさず一刀は春蘭の唇に覆いかぶさる。

「ふぐっ…ちゅっ…ちゅぱっ…んんっ…ちゅぱっ…ふぇ…ふぅぅう"う"う"う"…」

「好きだよ…春蘭…愛してる…好きだ…好きだよ」

一刀が腰のスライドを休めずに、耳元で愛の言葉を囁く。

「らめっ…ふむっ!!…ちゅ、ちゅぱっ…！ちゅ、ちゅっ…。やめて…北郷…染めないで…んｎっ…」

「北郷…じゃないだろ？…一刀…だろ…」

一刀はキスをやめない。何度も何度も春蘭に自分の唾液の飲ませる。
両手を、指と指を絡ませるような恋人繋ぎにして、さらに一刀は春蘭を攻める！

「染まっていいんだよ…春蘭…。俺も…んっ…春蘭を…愛してるんだ…好きなんだよ…」

「んんっ…はぁ…はぁ……かっ…ふぅっ…ほっ北郷も…わたしの事…好きぃ？…はぁっ…ん！」

「ああ。好きだよ春蘭…春蘭…」

「あはっ…！　あ、あぁあ…っ、はぁ、く、うっ……ん、くふぅぅっっ！
わ…わたしも…好きぃ…！……好きぃ！好きぃ…ぃ…ふむっ…ちゅぱっ…ちゅっ、ちゅ」

むさぼるように春蘭が唇を奪ってくる。

「んんっ！　ちゅぱっ…ちゅ、ちゅぱっ…はぁ…ふぅうう…染まっちゃうぅぅ…染まっちゃうよぉぉぉぉ…!!」

「ほら…！…春蘭……」

一刀が促すように春蘭に言った。

「はっ…んっ…んんん…かずっ…んっあっ、ひゃ…やっ、あん…あああっあん…」

春蘭が甘い叫びを上げるたび強く肉棒は甘い秘肉に締め付けられた。。
深く浅くを繰り返して強く、春蘭の唇をむさぼりながら…突く。

そしてついに春蘭が……篭絡した！

「かじゅ……かじゅとぉぉぉぉお！かじゅとぉ！好きぃっ！好きぃぃ…」

涙目で蕩けそうな顔をしながら抱きしめてくる。

「よしっ…！　偉いぞ…偉い偉い…春蘭…。いい子いい子…」

一刀が春蘭の頭を撫でる。

「えへへ………一刀…一刀……はむっ…!　はぁ…ちゅぱっ、ちゅぅうぅ…あっ…ちゅぱっ…ふぅぅう…」

「春蘭…もう…俺、我慢できないよ…春蘭が可愛すぎて…もう…」

「いい…よ…ふぅっ…はぁっ…！　かじゅとの…かじゅとの…せーえき出して……中で…出して…」

「ああ、思いっきり中で…奥で出すからな…」

「うんっ…！わたしをかじゅとで…染めて…ふにゃぁぁ…あぁんんｎっ！　…そんなっ…強くっ…
じゅぽ、じゅぽ……っ！　らめぇ…ふにゃぁあ……ぅぅぅぅ…っ！」

春蘭の膣がキュウゥゥゥっ…と強く肉棒を締め付ける。
そして春蘭の一番奥で…

「やばっ…そんな…締め付け…凄っ……イクぞ…っ…春蘭…春蘭…はっ…イク…
…出るっ………出るっ……っ！」

「ひゃっ…あぁぁあっ！かじゅと！かじゅと！はぁぁあ…！　あ、あああ…！
ああぁぁぁああ……あぁあああああぁああ…っ！」




「ふぅぅんんんんん………っ！！！
でてるうぅうう…！びゅるびゅる…かじゅとのせーえき出てるぅぅぅうう…！はぁ…あぁぁあ…
染まっちゃったようぅぅ…！かじゅとに…かじゅとに染まっちゃったようぅぅぅぅううううう…っ！」

「はぁっ…はぁっ…春蘭…ちゅっ…ちゅぱっ…」

「かじゅと…ちゅぱっ…ちゅ、はむ…っ…ちゅっ…はぁ…んっ…」

そして、そのまま二人は気を失うかのように寝てしまった…。



【最終章】


（スルッ…スルルッ…）

布の擦れる音がして一刀は目を覚ました。
ムクリと起き上がると月明かりに映されて、春蘭が着替えているのが見えた。

「はっ！はわわわ…ほっ…北郷…起きたのか…？」

やっやばい！ばれた！
急いで春蘭は上着を羽織る。

春蘭は慌てている。多分一刀に気づかれないように出て行こうとしたのだろう。
そしてこの夜を無かった事にしようとしているのだ。

一刀はそれを感じ取り、ベッドから起き上がった。
そして春蘭を腕を取り引き寄せて…

強引にキスを…した。

「ほんご…ふむっ…!!」

抱きしめながらの長い…キス。
じたばたと抵抗をするが、だんだんと春蘭の力が抜けていく…。

「一刀…だろ…？」

「う……うん…。か…かずと…」

春蘭は一瞬で顔を蕩けさせた。

そして抱き合いながら二人でベッドに戻った…


「春蘭はかわいいな。Hの時はあんな風に猫になっちゃうんだね」

「うぅぅ…恥ずかしいから言わないでくれ…」

春蘭をからかっても殴ってこないのが新鮮なのか、一刀は春蘭をからかっていた。

「かじゅと…かじゅと…って可愛かったなぁ〜ﾆﾔﾆﾔ」

「ぁぅぅ〜」

「あんなにキスを求めてきてさぁ、」

「調子に乗るなっ！！」

ぼこっ！

以前と違うのは殴る拳に全然力が入っていない、優しい拳だった。

二人でじゃれあうようにして、そしてどちらかがキスをして再び身体を求め始めた。。。




【エピローグ】

「よし…よし…！　よく録れてる！」

二人の二回戦が終わりすっかり寝静まった後、部屋の天井に隠れていた秋蘭はこっそりと部屋を抜け出し、
自室に戻った。

『かじゅ……かじゅとぉぉぉぉお！かじゅとぉ！好きぃっ！好きぃぃ…』

「おおおおおお…！　いいぞ…この顔…最高だ…姉者…姉者…はぁ…はぁはぁｈぁｈぁ」

秋蘭は真桜が新しく開発した全自動型録画機、半出井咬無（ﾊﾝﾃﾞｨｶﾑ）
で天井から全ての行為をこっそり録画していたのである！


『うんっ…！わたしをかじゅとで…染めて…ふにゃぁぁ…あぁんんｎっ！　…そんなっ…強くっ…
じゅぽ、じゅぽ……っ！　らめぇ…ふにゃぁあ……ぅぅぅぅ…っ！』

「はぁはぁはぁはぁ…姉者姉者姉者っ…イイ…いいぞ…そのあへ顔イイ…！いい…ふぁっ…
あぁぁ…いい…気持ちいい…姉者…姉者…姉者ぁ…NTR最高…NTR最高…」

『でてるうぅうう…！びゅるびゅる…かじゅとのせーえき出てるぅぅぅうう…！はぁ…あぁぁあ…
染まっちゃったようぅぅ…！かじゅとに…かじゅとに染まっちゃったようぅぅぅぅううううう…っ！』

「はああああっ……！！イク…！ぁぁんん…はっ…私も…ふぅぅっ…！
あぁぁ、ふっあぁｎ、姉者と一緒に…一緒に…イッちゃ………うｯ！！」



「はぁはぁ…はぁはぁ……最高だ…最高のモノが撮れた……ふふふっ…はははっはーっはっはっは！！！」

恐るべし秋蘭。

完？