「だから、そちらの方法だと、我が国への負担が多いと言っているのだ」 「あら? そもそもの原因はそちらにあるのだから。いいのではなくて?」  険しい表情を浮かべる蓮華に華琳の冷静な一言が返ってくる。それによって一層眉間の皺が増えていく。 「それはそうだが……。こうなってしまうと少々比率的に不公平ではないか?」 「そう……、桃香はどう思う?」 「え?」  二人に挟まれていた桃香が華琳と蓮華を交互に見やる。そして、僅かに考える素振りを見せると、両手をパンと叩く。 「それだったら、ここをこうしたほうが……」  広げられた資料へと指をさしながら説明をする桃香に他の二人も顎に手を置きながら頷いている。 「なるほど。それはそれで……」 「へえ。桃香にしてはなかなか良い案ね」 「えへへ……、って、わたしにしてはってどういうこと?」  はにかみかけた桃香が首を傾げて華琳を見る。微妙に眉をひそめてるあたり引っかかるところがあるのだろう。 「まあまあ、華琳としては褒めてるつもりだから。な?」 「そうよ。よく考えたじゃない。あなたにしては」 「むぅ~、なんか釈然としないよぅ」  ぷうっと頬を膨らませたまま納得がいかないという表情をする桃香を一刀が宥めている間に魏と呉の間で話は進んでいきそれ以降はなんの滞りもなく終了を迎えるのだった。  †  会談も終了し、揃って廊下を歩いているとき急に桃香が手を打って一刀の方を見る。 「ご主人様、愛紗ちゃんの相手してあげてる?」 「え?」 「そういえば、最近は愛紗とゆっくりすごしたというような話は聞かないわね」 「言われてみると、そうね」  桃香の言葉にきょとんとしている間に華琳と蓮華が顔を見合わせる。 「もう。愛紗ちゃんはあれでも気のつく娘だから自分からはなかなか言い出さないってわかってるでしょ」 「うっ」 「いくら、気を遣ってくれているとはいえ、それに胡座を掻いているようでは男として駄目ね」 「…………うう」 「同じ女として愛紗が哀れでならないわね」 「……すいません」 「だいたい、他の女の子を追いかけてるんなら、愛紗ちゃんも見て上げないと」 「それを桃香がいうか……」 「言い訳なんてみぐるしいわよ」 「ええぇぇ……」  追いかけていた相手の一人であるというのを棚におく桃香に抗議を試みるが、三対一では勝ち目などあるわけがなかった。もっとも、一体一でも勝てる自信など無いわけだが。  結局、その後一刀は起死回生することも、狙うこともなく数刻に渡って三人によって散々に責められることになるのだった。  †  桃香たちに叱られた翌日、愛紗の姿を探して一刀は城門に向かって歩いていた。 「えっと、予定では調練に出てるって言うから外だろうな」  そう呟くと、一刀は訊いていた愛紗の予定を思い出す。予定とはいっても朝から隊を率いて調練に出ているということを朱里から聞いただけである。  今日は一際じわじわと肌を焼く暑い陽射しを浴びながら思案を巡らしていく。  こんな日なら川にいって水浴びなんかがいいだろうか? それとも遠乗り? もしくはかき氷でも食べてのんびり過ごす?  そんなことを考えているうちに気がつけば目的地へと到着していた。 「お、いるないるな」  未だ、残っている兵士たちの集まりへと混じっていく。どこに愛紗がいるのかとあちこちへと視線を巡らせるが、彼女の姿はない。 「おや、北郷様じゃないすか。どうしたんすか?」  兵士の一人が一刀に気付いて近寄ってくる。ちょうど良いと一刀は彼に愛紗の行方を尋ねることにする。 「いや、愛紗を捜してるんだけど……どこかな?」 「あぁ、関将軍でしたら。先ほど、別件があるとのことで調練終了後すぐに軍師殿の元へ行ったみたいっすよ」 「そうか。ありがと。行ってみるよ」  礼を言うと、一刀はその場から駆け出した。  †  執務室に朱里たちがいると聞いた一刀は、すぐさま向かった。 「ごめん。愛紗、いるかな?」  扉を開けるのと同時にそう切り出す。だが、中には書簡の山を前にした桃香と朱里、雛里の姿だけがあった。 「あ、ご主人様」 「あれ? 愛紗は」  嬉しそうに微笑む桃香に軽く手をあげて反応しつつ一刀は訊ねる。 「え? 愛紗さんですか?」 「うん。ここにいるって聞いたんだけど」  不思議そうに小首を傾げる朱里に頷いて返す。 「あの……愛紗さんなら、先ほど来たんですけど」 「やっぱり、そうか。それで?」  雛里の言葉にどこかにいるのだろうかと辺りを見渡してみるが彼女の気配はどこにもしないし影すらも見当たらない。 「今はもういないよ」 「え? そうなの」  桃香の答えに一刀は確認するように朱里の方を見やる。 「はい。先ほど、軍部へ確認が必要な資料を持っていきましたので他の方たちの元へ向かったようです」 「そうか、行き違いってことだな。うん、ありがとう。それじゃ、三人とも頑張ってな」 「うん。ご主人様も頑張ってね」  意味ありげな桃香の一言に苦笑を浮かべながら一刀は執務室を後にするのだった。  †  軍部関連ということなら恐らくは武官連中に話をしにいったのだろう。そう結論づけた一刀は庭園で鍛錬をしているであろう諸将の元へと駆けていく。 「にゃにゃにゃにゃ!」 「ふはははは、まだまだあ!」  実際に訪れると、鈴々と春蘭が打ち合いをしていた。 「にゃ!」 「どうした鈴々! そんなものか!」 「鈴々はこんなもんじゃないのだ! うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ~!」  七星餓狼で強引に押し込んでくる春蘭に対して八丈蛇矛を振り回して切り返す鈴々。まさに力対力。 「……ふっ!」 「甘い!」 「ちっ、よっ、うわっと」 「ふっ、ふっ、ふっ!」  慌てて避ける翠へ向けて次々と矢を放ってく秋蘭。  「みんな凄いな……相変わらず」 「見えた、そこだ!」 「くっ」 「うっしゃおらぁぁぁぁぁ!」  一瞬の隙を見つけた翠が一気に間合いを詰めながら銀閃による突きを放つ。秋蘭はそれをなんとかいなすので一杯一杯になっている。 「せぇぇい!」 「にゃー!」  一方で春蘭は鈴々をごり押ししている。もっとも、それでも耐えている辺り鈴々の力がどれ程のものなのかが窺い知ることができる。 「どうするかな……」  白熱する二組の稽古に一刀は腕組みして考え込む。いち早く愛紗のことを聞きたいという思いと邪魔しづらいという思いがある。そして、なによりも間に入ったら命の危機だという思いがあったためだ。 「あれ? ご主人様、どうしたの?」 「ん? ああ、たんぽぽか」  どうやらあぶれたらしい蒲公英が一刀の方へととことこと歩み寄ってくる。 「どうしたんだ。あまりか?」 「いや、あの中に混じるのはちょっと、ねえ?」  蒲公英が苦い表情で未だにやり合っている二組をちらりと見る。 「なるほどな。でも、たんぽぽだって強いと思うんだけどな」 「あれと比べられちゃあねえ」  そう言って蒲公英はため息混じりに肩を落とす。 「はは、そういうもんなのかな」 「そうだよ。たんぽぽはあそこまで無茶苦茶じゃないもん」 「俺からしたらたんぽぽも十分無茶苦茶なんだけどな……」  彼女には聞こえないようにぼそっと一刀は呟く。 「んん~?」 「おほん。それよりも、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」 「なになに? ご主人様のだったら、たんぽぽな~んでも話しちゃうよ?」 「ああ、その……愛紗、こっちに来てないかな?」  にこにこと笑顔を振りまきながら訊ねる蒲公英にそうきくと、彼女は人差し指を頬にそえながら小首を傾げる。 「えっとね~、確かに、来て何か話をしていたみたいだけど、もう別のところにいっちゃったよ」 「そっか。一足遅かったかな……それで、どこにいったかわかる?」 「うん。一部曖昧なところがあるからって魏の軍師連中のとこに行ったよ」 「なるほど、ありがとな。たんぽぽ」  そう言って蒲公英の頭をくしゃくしゃと撫でる。 「しかし、秋蘭がこういったことに参加するってのも珍しいな」 「そうだね。呉にしてもウチにしても弓使いは無理できない歳だからしょうがないとしても……ご主人様?」 「……わ、悪い。俺、愛紗探しに行かなきゃいけないから! それじゃ」  そう言って一刀は蒲公英に背をみせる。  それからすぐに背後で何やら甲高い悲鳴や「小便の準備はすませかの」やら「神様へのお祈りは?」やら二人ほどの熟れた女性の声や飛び交う矢の音が聞こえるが一刀は手で耳を塞いで庭園を後にした。  † 「死ね! 氏ねじゃなくて死ね!」 「いきなりかよ!」  一刀を出迎えたのは桂花のどきつい一言だった。ちなみにまだ何も言っていない。 「うっさいわね。それじゃあ、頭ねじ切れなさいよ」 「嫌だよ! なんでぼくの頭がねじきれなきゃならないんだよ!」  思わず妙な返しをする一刀に桂花は心底嫌そうな顔をする。 「なによ、ケチ」 「そういうもんじゃねー!」 「あの、それで一刀殿は何しにきたのですか?」  稟が呆れを含んだため息を吐きながら訊ねてくるが、答えたのは一刀ではなかった。 「お兄さんは獲物を探し求めてふらふらと彷徨っていて、ついに雌の匂いをかぎつけてやってきたのですよ」 「まぁ! このケダモノ! 死ね」 「おい! また死ねっていったな! というか、風も変な理由付けするな!」 「おや? 違いましたか?」 「違う! 愛紗を探してて、こっちに来たって聞いたから」 「ケダモノの一刀殿が愛紗殿を、そして、不在故にその代わりとして……ぷはっ!」  綺麗な赤色の放物線を描きながら稟が倒れ込む。 「おやおや、稟ちゃん。トントンしましょうねえ」 「ええっと……なんだか邪魔したな」  すっかり騒然とする場に一刀は申し訳なさげに頭を掻く。 「まったくだわ。詫びとして春蘭に生え際が……とか言って本気で怒らせなさいよ」 「それは、遠回しに死ねといってるよな!」  けっと悪態をつく桂花に一刀は張り合ってもらちがあかないと深々と息を吐いて立ち去ろうとする。 「あいつなら、多分、蜀のちびっこ軍師たちのとこよ」 「桂花?」  驚いた一刀が視線を向けるが桂花は一刀の方を見ていない。そのため表情は伺い知れない。 「あんたの顔を少しでも早く見ないですむようにしたんだから、早く消えなさいよ」 「ああ、はいはい。そんじゃな」  そう言って一刀はその場を後にした。  †  結局、その後も愛紗と一刀のいたちごっこは続き、愛紗を捕まえることができないまま。夕暮れとなってしまった。 「流石に、夜は仕事がなあ……」  今日は比較的仕事が少なかったために自由行動ができたが、さすがに夜には片付けなくてはならない。 「仕方ない。愛紗のことは明日にしとくか」  そう呟いて書類の束と向かい合うのと当時に扉からこんこんという音がする。 「ん? どうぞ」 「あの、失礼します」  そう言って入ってきたのは、今日一日の探し人。 「あ、愛紗?」 「何やら、今日は私を捜しておられたというのをあちこちで聞いたのですが? 本当ですか?」 「ああ。そうだよ。ちょっと愛紗と会いたいと思ってね」 「え? それは……」  首を傾げる愛紗を余所に一刀は席を立つ。 「それじゃあ、お茶でも用意しようか」 「あ、いえ。お構いなく……おや? 仕事が残っているのですね」  机の上を観察するように見回しながら愛紗が訊ねてくる。 「ん? まあね。寝るまでに片付けられると思ったから後回しにしててさ」 「では、仕事をほっぽり出して私を?」  視線を書類から一刀に移す愛紗に一刀は頬を掻きながら苦笑を浮かべる。 「あ、あはは……そうなるね」 「まったく……何を考えておられるのか、理解しかねますよ。本当に」 「め、面目ない」  ため息混じりに呆れた表情を浮かべる愛紗に一刀は何も言えなくなる。 「はぁ。いいから、席についてください」 「え? あ、ああ……」  一刀が席に戻り腰を下ろすと、愛紗がすぐ隣に椅子を寄せて座る。 「あの~愛紗さん?」 「手伝いますから。終わらせてしまいましょう」  肩を竦めながら愛紗は一刀を見る。その口元には微笑を称えていた。 「いいのか?」 「ええ、幸い。私の仕事は明るいうちに片付きましたから」 「ありがとう。愛紗」 「いえ、お気になさらず」 「よし! 愛紗も手伝ってくれるんだし、頑張ってみるかな」 「その意気です。ふふ」  意気込む一刀を可笑しそうに笑う愛紗に一刀は微笑み返すのだった。  †  隣に座る愛紗の肩へとそっと手を滑らす。 「ご、ご主人様!」 「実はさ、ここ最近じっくりと愛紗の相手してなかったろ?」 「…………」  愛紗は顔を俯かせる、一刀の位置からではよく窺い知ることはできない。 「そのことで桃香たちに怒られてさ。ごめんな」 「そ、そのように謝られる必要などありません。ご主人様はお忙しいお方です。しかたありませんよ」  そう言って顔を上げた愛紗はにこりと笑みを浮かべる。 「今日一日愛紗を捜して分かったけど、なんだか忙しいんだな」 「ふふ。そうですね。でも、良いのですよ、私は。忙しくても、それは三国のため、ひいては民のためですから」 「…………」 「それに……その、なによりもご主人様のお力になりたいので」  そう告げる愛紗の頬は朱に染まって彼女の柔肌を際立たせている。 「愛紗!」 「ちょ、ご主人様!?」  あまりにもいじらしい愛紗を前に我慢することなどできるわけもなく、一刀は愛紗を抱きしめる。 「今日は、いや、せめて今くらいはじっくりと甘えてくれ」 「し、しかし……」 「愛紗はいつだって俺のために頑張ってくれてる……なら、俺はそんな愛紗を少しでも癒やさないと」 「で、ですが……まだ、仕事が」 「そんなの後でいいだろ? 俺は愛紗とじっくりと時間をかけて過ごしたいんだよ」  層ってちらと愛紗を見る。愛紗もそれに気付いてかにこりと微笑む。 「でしたら、やはり仕事は片付けてしまいましょう」 「ええ~」 「文句は言わない。ほら、手伝ってるんですから、ぱぱっと終わらせますよ」 「ちぇっ」  相変わらず愛紗は真面目だと思いながら一刀は再び書類へと目を通していく。  それからしばらくは二人とも口を開くことなく黙々と仕事をこなしていった。  †  もういくつの書簡を片付けただろうかと一刀はふと思う。 「ふぅ……あっ、いけね」  気が緩んだせいだろう、筆を机の下へと落としてしまった。 「悪い、愛紗。ちょっと下がってくれないか。筆を落としちゃって」 「え? ああ、わかりました。どうぞ」  僅かに席を引いて空間を作った愛紗の脚の間へと一刀は入りこんでいく。  と、その時、扉が開かれる。 「あの、ご主人様……あれ?」 「お、おう。朱里ではないか。」  どうやら朱里が何か用事があってやってきたようだが、机の下にいる一刀は見えていないようだ。 「どうしたのだ?」 「あの、実はご主人様に御確認いただきたい案件がありまして」 「ふむ、それは今すぐではないといけないのか?」  自分の見えないところで繰り広げられる会話を聞きながら一刀は視線を動かす。 (おぉっ!)  見れば、正面に愛紗の白い布地が見えている。気のせいか、キラキラと輝いてすらいる。 「…………」  一刀は、考える。そして、瞬時に答えを導き出して実行に移す。  人差し指を立てて、一刀のために開かれた脚部の間を縫って足の付け根へと突き進め、腰布の中へと手を潜り込ませていく。 「っ!?」 「愛紗さん?」  一刀の手に気付いた愛紗が一瞬だけぴくりと小刻みに撥ねたのを朱里が訝しんでいるようだ。  一刀はそんな外の状況など気にせず、愛紗の股間を堪能しようと手をせわしなく動かし始める。  すぅっと中心の溝を撫でていく。 「ひゃん」 「どうしたんですか?」 「い、いや……なんでも……んぅっ!」  指の腹で下着をぐいぐいと押し込んでいく。気のせいか、純白の布は徐々に熱を持ち始めている。 「それで、あの、ご主人様はどこにいらっしゃるんでしょうか?」 「ああ、それはだな……ふぁっ」 「あの……?」 「いや、し、知らぬのだ。す、すまんな」  僅かに布地をずらして赤ん坊のようにふっくらとした花弁を直接なぞっていく。下着の中は腰布の中へと手を入れたとき以上に熱気が凄い。 「ひぃっ!」 「愛紗さん、本当にどうしたんですか?」  そう朱里が言った後、足音がする。どうやら愛紗の様子を気にして近づいてくるようだ。 「だ、大丈夫だ! だから、待て」 「でも……」 「そ、それよりも、朱里は……んっ……ご主人様を捜しているのだろぅぅ?」  一刀は調子に乗って潤いをマシ初めて来た花弁を弄っていないほうの手で太腿をさすりはじめる。  気がつけば、愛紗の股間はすっかり湿り気を帯びていて指を徐々に奥へと進めようとする一刀の指と合わさってちゅくという音をさせる。 「っ!?」 「……? そうですね、ご主人様がいらっしゃらないのでしたら。また、出直してきますね」 「あ、ああ。もし、戻ってこられたら……んっ」  愛紗の脚が一刀の腕を挟み込む。今になってようやく抵抗しているようだ。すっかり濡れそぼった股間が発する音が朱里に聞かれそうだと思ったのだろう。現に愛紗が先ほどからちらちらと抗議の眼で一刀を見ている。 (さすがに恥ずかしいか……だが、甘いぞ!)  一刀は前後左右に動かせない腕に変わって指を上下左右に動かしたり、ナカで指を曲げたりして刺激を与える。 「~~っ!」 「それじゃあ、愛紗さん。また」  その声がしてすぐに扉の閉まる音がした。瞬間。 「んぁぁぁっ!」  愛紗の腰がびくびくと撥ねた直後、とろりとした愛液が一刀の指、腕をつたって滴ってきた。  †  息が荒くなった愛紗が落ち着くのを待って一刀は自分の椅子に座り直した。  一刀が席に着くやいなや、愛紗が恨めしげな色をした瞳で見つめてくる。 「……な、何を考えておられるのですか!」 「はは、ごめんごめん。でも」 「?」  真っ赤になって抗議してくる愛紗に苦笑混じりに謝りながらも一刀はにやにやとだらしない笑みを浮かべながら先ほどの感想を口にする。 「必死に堪える愛紗、可愛かったぞ」 「なっ、なななななな! ご、ご主人さ――んっ」 「んっ……ちゅ……ん、んっ……ちゅ」  一瞬で顔を真っ赤にさせる愛紗が何かを言う前に一刀は唇同士を合わせ、そのまま舌をねじ込んでいく。  最初は驚いて目を見開いた愛紗だったがそっと一刀の躰へと腕を回してくる。 「ひょっ……ごひゅじんさま……んっ……ちゅ」 「んっ……んぅ……ちゅっ……んむ、んく……っ」  絡み合う舌、互いの口腔内の粘液が混ざり合っていきふつふつと沸き上がってくる熱も混じって一層ねっとりとしていく。 「ぷはっ、さて、それじゃあ……」  そして、一度口を離すと、一刀は既に力が抜けている愛紗の腰を抱いて椅子から僅かに浮かせ、その下へと滑り込むようにして入る。 「ちょ、ちょっと……ご主人様」 「いいだろ、愛紗」 「し、しかし……ですね。んっ」 「感じるだろ? 俺、もう限界なんだよ」  ぎんぎんにそそり立つ分身を愛紗の太腿にこすりつけながら耳元で囁く。 「も、もう……」  それだけ言うと、愛紗は口をつぐんで一切言葉を発しなくなった。一刀はそれを肯定の意と捉えて愛紗の腰に手を回してもう一度浮かせる。  そして、一刀は早く外気に触れさせろといわんばかりに膨れあがった息子を取り出す。 「いくよ」  ゆっくりと愛紗の肉壷と槍のごとく堂々とした自らのそれの位置を合わせていく。  先ほどの悪戯ですっかり濡れそぼっていた愛紗のそこは思っていた以上に容易く一刀を受け入れていく。 「はぁっ、あまり、急に奥まで入れたら……んっ」 「ちょっと慌て過ぎだったかな」  躰をよじるようにして悶える愛紗を腕の中に抱きながら一刀は彼女を降ろす速度を少し緩める。  くちゅと水音を立てながら入りこんでいく肉棒。 「やっぱり、愛紗、さっきので興奮したんだな」 「……そ、そんなこと……んあっ」 「だって、愛紗のなかにある俺のち●こを肉壁がくわえ込んでるぞ。くぅ……」  そう言いながらまた一段、愛紗の腰を下ろしていく。 「そ、そんなこと……はぁぁ、うんっ……ゆっくりすぎます」 「はやすぎだって言ったりおそすぎだって言ったり、わがままだなあ」 「そ、そんらことおっしゃられても……んああ」  ずぶずぶという感触が分身へと伝わるのを感じる。そして、ようやく愛紗は完全に一刀の上に座るか立ちになった。 「それじゃあ、んっ……いくぞ」 「ひょ、ひょっろ、まっれ、まっれくらさい」 「ごめん。俺も散々焦らされて待てない」 「そ、そんな……ひゃあああ……んんぅ」  下から突き上げる。愛紗の躰がびくびくと震えながら僅かに上昇して、再び落下する。登るたび、落ちるたびに愛紗は嬌声を上げて躰を振るわせる。 「はぁ……んっ……どう?」 「あん……あぁ、ど、どうといわれましても……はうっ」  突き上げるたび、愛紗が着地するたびに肉と肉がぶつかりあう音が部屋中へと響き渡る。 「せっかく……んっ……だから、こっちも……くぅ」  搾り取ろうとしてくるうねりの強い肉奥に耐えながら一刀は先ほどから揺れっぱなしの乳ぶさへと手を伸ばす。 「ひょ、ひょっ!」 「……ふっ、んぅ……よっと、こっちも弄らないとな」  そう言うやいなや、一刀は愛紗の服の胸元を開き、乳ぶさをやんわりと揉みしだいていく。 「ひゃん、ご、ごしゅじんさま……しげきが……」 「もう、ここもコリコリだな」  みみもとでそう囁きながら愛紗の巨大な果実のようにまるまるとした胸の先にある硬い膨らみをきゅっと人差し指と親指で摘んだりくりくりと動かしたりと弄ぶ。 「んっ……くぅ……」 「ど、どう……愛紗?」  もう一度訊ねるが、愛紗の口からは喘ぎ声いがいはもう出てこなくなっていた。その声を聞いて一刀の分身は一層その固さを増していき、腰の動きもさらに激しくなっていく。 「ひゃん、んぅ……ごひゅじんさま……は、はげしい……くぅん」 「はぁ……愛紗……言葉の割に、積極的に絡んできて……も、もう限界だ」 「わ、わらひも……も、もう、い、いっひゃいまふううう!」  その叫びを皮切りに愛紗の膣壁が餌を喰らう鯉のごとくぱくぱくと何度も一刀の肉棒をくわえ込み、そして、最後に一際大きく圧迫した瞬間、一刀は視界が爆発したのを見た。 「ん、んぁぁぁぁぁ! ご、ごしゅじんさまのが熱い……くぅぅぅ! あ、あついのが……んっ……お、おおすぎますぅ」 「そ……そう言われても、愛紗が良すぎて……」  ぐったりともたれかかる愛紗を抱き留めながらも一刀は心地より脱力感を迎えていた。  †  体勢をかえることないまま、更に何度か行為に及んだ後、ようやく一刀は落ち着いた様子で座っていた。  未だ腕の中に膝に乗っている愛紗を抱えたまま。 「やっぱり、久しぶりだったからなのか?」 「……それは、その」 「ごめんな。ホントに」  顔を紅くして俯く愛紗の頭をそっと撫でる。彼女のさらさらな髪はさわり心地がよい。 「愛紗は周りに気を遣っちゃうから俺から声をかけないとダメだよな」 「そんな……、それは私に勇気が足りないだけで――ん」  後ろ向きな発言をする愛紗の唇を塞ぐ。そして、今度は先ほどのように濃厚にはせず軽い口付けのみにして顔を離した。 「愛紗は悪くない。何事にも一生懸命なだけだ」 「……ご主人様」 「だから、俺も愛紗の相手をするのに一生懸命にならないとな」 「約束ですよ?」 「ああ。約束だ」 「ふふ。これからもよろしくお願いしますね。ご主人様」  そう言って頭を一刀の胸にこつんともたれかからせながら、にこりと微笑んだ愛紗の顔は夜の魔法か一段と美しく、一刀の胸をどきりと一際高鳴らせるのだった。