「かじゅと、今度はこっち」  すでに華琳を抱っこすることに慣れた俺は、指示通りに動く。 今日も今日とてお散歩。改め警邏。  この間のは真桜達を勧誘したために中断されていたのだが、それ以降も警邏隊を中心にもちろん続けている。 一応、真桜達三人が警邏隊の責任者、そして俺が三人の上官なのでちょくちょく俺も顔を出している。 そして俺の行く先には華琳の姿が。最近ではもうセットで扱われるのは当然になっている。 # # #  俺は華琳を説得し三人の上官に納まった。そして等価交換として華琳と会えない時間が増えるために一緒の部屋で寝ることにもなった。 はず、なのだが……結果、純粋に一緒の時間が増えた。うーんオカシイ?  おおよそになるが、俺が居た世界にあわせて俺の一日を説明しよう。 六時 起床。およそ二回に一回華琳が俺の上に乗っかっている。そして四回に一回華琳の顔が俺の顔の真横にある。残りの四回に一回俺の服が脱げている。 まだ同時技を使っていないのは本当にありがたい。 七時 朝食。華琳を起こし、華琳のために侍女を呼びお互いの準備を済ませ朝食を取る。 午前 警邏。主に警邏隊を二つに分け警邏を行う。分け方は一種類。俺、華琳。とその他。以上。 もちろん華琳のために隠れて親衛隊が付いているが。 華琳が俺に付いてくる理由は、確か昨日は町の視察。一昨日は部下(俺)の監督、三日前は警邏隊の視察。因みに今日は嫌な予感がするそうな。 正午 昼食。真桜達と落合い情報の交換。そのまま昼食へ。華琳の気分が悪いとき以外は三人も一緒。 三人―特に凪―はかなり戸惑っているが、自分のことは俺と同じように扱いなさいと言うのが華琳の言い分。 午後 机仕事。昼食を終えた後に警邏隊の詰め所に寄り報告書の回収。そのまま執務室に行って書類仕事。 華琳は自分の席に座り秋蘭や桂花が午前中にまとめておいた華琳向けの仕事をこなす。俺は警邏隊の仕事が終わったら勉強の時間。 十五時 おやつ。ほとんど毎日流琉が俺の上辺面の知識で話したお菓子を作って持ってきてくれる。それを皆でいただきます。 夕方 鍛錬。机仕事が一区切りしていたら秋蘭の手解きで鍛錬。華琳は外で政務。彼女曰く夕涼みをしながら政務を行うのがオツらしい。 十八時 夕食。日によって町に出たり、流琉や秋蘭の手料理など。 夜 自由時間。もし仕事が終わっていなかったらこの時間。風呂を使える日もこの時間。……一緒に入ってないよ、マジデ。 就寝前 ピロートーク。嘘。気が向くままにお話。華琳の髪を解いた姿は見せられない。……俺だけの特権だ!  分かってもらえただろうか。天性の要領の良さで華琳は俺との時間を捻出しているのだ。 結局俺が出した等価交換はむしろ一緒の時間を増やすだけだったのだ。 # # # 「お兄さん、ひまぁ?」  華琳を抱っこしながら歩いていたらいきなり声を掛けられた。そちらの方を向くと一人の女性が。 普段から回りに可愛い女の子が多いから大げさな反応をしなくて済んだが、目の前の女性もとても魅力的だ。 「やな予感は当たったわね。かじゅと、いったい誰かちら?」  そしてすぐ横から絶対零度の視線。女の子から見えない首の後ろを抓られているのはご愛嬌。 「全然知らないんだが……。えっと君誰?」 「わたしぃ、ちーちゃんとれんほーちゃんの三人で歌いながら大陸回ってるんだー。  この町でやるのは初めてなんだけど、お兄さんも暇なら見に来てね♪」 「へーおもちろそうね。かじゅと、見てみない?」 「そうだな、結構人って集まるのか?」 「うん。最近は結構集まってくれるんだよ」 「そうか、じゃあ警備を建前に見に行こうか」 「ありがとー。あっ、そうだ!出来れば、黄色い布をつけてきてほしいんだ。私たちの公演を見に来る人の合図なんだってー」  ……まさかなぁ。 「そう、分かったわ。楽しみにしてりゅわ」 「じゃあねー♪」  そして少女は手を振って走り去っていった。 「……かじゅと、あにゃたはどう思う?」 「うーん。限りなく黒に近い白ってところか。噂とかの人物像からはかけ離れているけど、桂花がここらへんに居るって情報掴んでいるし。 まぁ、取りあえずある程度対策をしてから見に行く、に一票」 「そうね、そうちましょうか」  そして俺達は時間までいつもどおりの生活を行うのであった。 # # # 「へぇ、結構集まってるのね」  大切なのかネコミミを必死に守りながら桂花が口を開く。俺の周りには俺に華琳、夏侯姉妹に季衣、流琉そして桂花。 本当は真桜達も一緒が良かったのだが、一応三人には会場の回りに配置した兵を率いて貰った。  実は凪だけは無手で戦力になるため潜入部隊に選ばれていたのだが、 「凪ちゃんだけずるいのー」 「隊長、もし、んなことしたらこいつが火ぃ吹くでぇ」  と螺旋槍をちらつかされたら、ねぇ。結果凪には我慢して貰った。 「皆黄色い布を付けたかちら?」  華琳が腕につけた黄色い布を見せながら皆に問う。 周囲を見渡すと殆どの参加者が付けており、つけていない者も係りの者らしき人から受け取って付けている。 「まさかこのように広がっていたとは」  少し驚愕を含ませた声色で春蘭が呟く。ちらほら屈強な身体をもった男もいるし、視線が妙に鋭い男もいる。 どんどん確信に変わっていく。というか入り口に『大陸を取ろう!』と書いてあったから確定なんだけどな。 「はいはーい、そちらの皆さん。そろそろ始まるので席について下さーい」  こちらもただの追っかけには見えない、正しい意味での親衛隊のような男が声を掛けてくる。 俺らはことを荒立てないようにその男に従った。 「みんなー!元気かなー?」 「張角ちゃーん!君のためなら大陸取るよー!」 「私達の歌をききなさいっ!」 「張宝ちゃーん!君の歌は大陸一だー!」 「熱くなりすぎないでね」 「そんな冷静な張梁ちゃんがいいー!」 「なんていうか凄いな」  想像以上だ。春蘭は目を点にしているし、季衣と流琉は場にのまれて一観客になっている。 「なに?私達はこんなヤツラに時間使ってたの」  桂花はブツブツ呟きながら頭を抱えている。 「今、大陸取ると言っていたな」  一人普段と変わらなさそうな秋蘭が分析をしている。俺もライブとかで慣れているので客観的に見れている。 「そうだな。けどどっちかって言うと彼女らより周りが暴走した結果みたいだね」 「しょうね。これを上手くちゅかえないかちら」 「うーん。何か即効性の悪ではなさそうだから、取りあえずこの公演見てから三人に会いに行こうか。周りの兵は警戒して貰って」  なんだかんだ琴線が触れていたのか、俺が見てからと言った瞬間華琳の目は輝く。そんな姿を見て俺と秋蘭は顔を見合わせて笑うのだった。 # # # 「ちょっといいかちら」  公演が終わり黄巾党と思われる男たちが去ったあと、俺達は彼女たちの控え室を訪ねた。 「すいませーん。もう今日は……あれ、昼間のお兄さんだ。来てくれたんだー」  興奮醒めやらないのか朱がさしている頬が可愛い。触ったら柔らかいんだろうな。……イテテッ。  華琳の方を向くと笑顔、ええ、笑顔。スイッチを入れなおす。 「今日は面白かったよ。いつもあんなに熱くなるの?」  えっとっと顔をして、めがねの少女を見る。 「そうですね、いつもあんな感じです。恥ずかしい話ですが、最近では私達でも手綱を捌けなくなってまして……」  最後の方は病的な熱さがあったのは確かだ。やっぱり本人たちも戸惑っていたのか。 「そう、だったりゃ提案がありゅのだけれど」  華琳が口を開く。どう対処していいのか分からないのか少女はこちらを見る。 「あぁ、自己紹介がまだだったね。俺は北郷一刀。一応天の御使いをしている。そしてこの子が、ここの太守である曹孟徳。 で後ろにいる子たちが愉快な仲間達。あまり言いたくないけど、周りには警邏を担当している兵が配置されている」  太守、そして兵の話をした途端三人の表情が変わる。そして俺は後ろから愉快な仲間とはと蹴られる。 「……で、その太守様が一体なんの様なのよ!」  活発そうな女の子が割って入ってくる。目には敵意か。 「別にあにゃた達にもわりゅい話ではないわ。ただ、今度かりゃ、方向を変えてくれればいいの。 そう、わたちたちに有利になるように。それを約束してくれるなりゃ、あにゃたたちはわたちの領土では自由に活動していいわよ」 「……は?どゆこと?」 「つまり、華琳様は貴女達の力を評価しているのよ。でその力をこの国、魏のことね、のために使えば貴女たちは特に罰しないってこと。 例えば貴女たちが、この国を守ってー♪とか言えば興行に来た男たちは魏のために働くでしょ。そう言うことよ。 それにきっと華琳様は大陸を統一するわよ。そしたら、貴女たちは大陸中何処でも興行を行えるわ。上手くすれば大陸一になるのも近いかもね」  桂花はふふんと言った様子で華琳の考えを三人に説明する。 「ねぇ、れんほーちゃん、お姉ちゃんよく分からないんだけど、また大陸回りたいな」 「そうね、きっとこれに乗ることが最善なんだと思う。ちぃ姉さんもいい?」 「分かったわよ!私達は大陸一になるんだから!」 「決まったようね。だったりゃ、これからよろちくね」  こうして張三姉妹を仲間にし、大陸全土にわたった黄巾党の乱は沈静に向かっていくのだった。 *拠点*華琳+天和、地和、人和 「よいか、皆のもの!これから我々は董卓討伐連合に参加する。そのため、総大将である曹操様から一言ある!」  目の前には精悍な男たち。士気も高く、圧巻の一言だ。そして彼らを前に俺は一歩前に出る。 ……総大将になったのかって?んな馬鹿な。ただ俺が華琳を肩車しているからさ……フッ。  相当な羞恥プレイなのに羞恥を感じなくなってきたのは拙いかもしれない。 華琳演説中。 演説終了。 「では、解散!兵たちは将の下に集合。時間になったら移動を開始する!」 # # # とある将の一部隊にて。 「ほら、とっとと集合しろ!」 「はっ!」 「いいか!この戦は我々にとって良い機会だ!先ほどの自分の立ち位置を思い出してみろ! 我々の軍では官位が高くなるにつれ前に並ぶことが出来る!つ!ま!り!!出世をすればするだけ華琳様に近づけるのだ!  昔の華琳様はそのまま立たれていたので、それはもう見えなくて見えなくて。かく言う俺もそのために出世したもんだ」 「しかし、隊長。華琳様が重用しておられるのは女性で、例外は御使い様只お一人です。平民の我々では限界があるのでは?」 「ばかもーん!逆だ、逆!御使い様は我々に希望を齎したのだ! 確かに以前の重鎮は女性しかおられなかったので、男の出世には限界があると思われていた。  が御仁は登場と同時に常に華琳様の傍におられるではないか! ということはだ、我々も天の御使いの名に匹敵または準ずる戦果を上げれば華琳様のお傍まで出世可能ということだ!」  周りの兵から感嘆の声が上がる。 「で、では隊長!我々も出世さえすれば、か、華琳様をかかっかた、かっ肩車できるのでしょうか?」 「可能性はある。想像してみろ、あの華琳様を肩車する自分を。  肩に感じる華琳様の重みと暖かさ。ふわりと漂ってくる華琳様の香り。安定のために頭に乗せられる小さなおてて。 そして何より自分の首に回されるおみ足!重心がずれて太ももに口付けしてしまうかも知れんが、それは事故だ! しかしお尻を持って支えるのはいけない。なぜなら我々は華琳様の騎士だからな!」 ふぉぉぉぉおぉぉぉおぉお!  声にならない声。 「そしてなにより……本当は黙っておこうかと思ったのだがな……」 「隊長!教えてください!」 「あぁ、先ほどな、御使い様が何か違和感を感じたのだろう。頭を少し動かしたのだ。そしたら華琳様が、 『か、かじゅと。頭動かしゃないで。お腹くしゅぐったい』 と小さな声で仰っていたのだ!つまりずっと頭の後ろにあの華琳様の柔らかそうなお腹、いやあえて言おう、ぽんぽんだと。 そう!ぽんぽんがずっとくっ付いているのだ!  いいかお前ら!戦果を上げて出世しろ!今日華琳様の声がほとんど聞こえなかったヤツ!その悔しさを敵にぶつけろ! その先に待っているのは桃源郷だ!」 おおおおおぉぉぉぉおおぉぉぉおお! 「全ては華琳様のために!」 「「「「「全ては華琳様のために!」」」」」 「華琳様に勝利を!御使い様に感謝を!」 「「「「「華琳様に勝利を!御使い様に感謝を!」」」」」 うおおおおおおおおぉぉぉおぉおぉおぉおお!!!!!  今軍は一つになり、士気は最高潮に達した。 「ちょっと!ちぃ達の出番ないじゃない!」 「華琳さまの求心力……私達も学ばないと一生大陸一になれないわ」 「その曹操さんを骨抜きにしている男の子か……お姉ちゃん気になるなー」 # # # 「ねぇ、かじゅと。わたちの演説どうだったかちら?」  馬車に揺られながら華琳が訪ねてくる。もちろん座っているのは座席ではなく俺の膝の上。 流石の華琳。俺との約束を忘れてなかった。張三姉妹を仲間にしたその日の夜に行われた祝賀会の席から俺の膝の上に座っている。  色々視線が痛かったぜ。しかも酔っ払って居たのか、ずっと秋蘭が俺の横に座りながら腕を組んでいたのでなおさらだった。 華琳は華琳で座り心地を調べては笑い、俺の胸に頭を預けは笑い、とかなり変なツボに入っていた。可愛かったのは確かだけどね。 「うん、すごく格好よかったよ。なんか皆華琳に夢中って感じだった」  お疲れ様と頭をなでなで。むず痒いのか上半身をくねらせる華琳。 「かじゅと、安心ちなさい。わたちはあにゃたが一番よ」  そういって華琳は振り返り俺の頬にキスをしてきた。 終 編集後記 ……打ち切りです。いや、もうこれ以上ロリ華琳を私には動かせません。 魏勢では三人ほど出せませんでした。まぁ、カラミが想像できてないんで、動かしようもないのですが……。 一応、その他勢と呉勢はロリ候補が出来てましたが、この調子でどんどん増えてくる姫達をどうしろとw その他 誰だー、あたいの斗詩の胸にしゃわるのはー!  呉  うるしゃい、黄公覆。それ以上は呉への侮辱とうけちょるじょ!わたちがばちゅを与えよう、誰か鞭を! 実は個人的裏設定に秋蘭も初見から一刀好き好きになってますwだから二ケツも許したし、馬術を教えるときも二ケツだったのです。 ……分からないよね。なんか、にこぽ?みたいで出さなかったのですが、酔っ払ったならいいかって……ごめん。 もう一度言おう、この話は華琳と一刀、そして私が大好きな秋蘭以外はモブだ!いや、魏勢皆大好きですよ。 私のしょぼい妄想に付き合っていただき、ありがとうございました。 おまけは嘘予告。最初に落ちる勢力は一択デス。 おまけ 「ここはどこだ?」  周りを見渡すと見知らぬ土地。いつの間に俺はこんな場所に来たんだ? 呆けているとこちらに近づいてくる三つの影。 「あなた面白い服装しているわね」  妖艶な笑みを浮かべながら中央に居る美女が声を掛けてきた。 三人とも褐色の肌に、三者三様の色をしている髪を風になびかせている。 何より、すごく、おおきいです。 嘘・恋姫†無双 〜ポヨッ☆巨乳だらけの三国志演義〜