とある夏の一幕  前編  とある夏の日、私たちは海に来ていた。 「しかし、日差しが強いわね」  先日の三国会議の後、雪蓮が出した提案によってここに来たことを思い出しながら、私 は声を上げた。 「そうだな、すっかり夏って感じだな」  日差しを手で遮りながら太陽をにらみつける私の横で陽気な表情を浮かべる男――天の 御使いこと北郷一刀が同じように手で日差しを遮りながら太陽……ではなく、青く澄み渡 った空を見上げている。 「かーずとっ!」  そんな彼の背中に小さいお子様が抱きつく。  孫呉の末女、孫尚香。  三国会議に出席した一刀と出会った際、一目で気に入ったのだそうだ。 「おっとと……びっくりするからいきなり抱きつくのはやめてくれないか」 「にゅふふ、ごめんねぇ。そ、れ、じゃ、あ〜お詫びにイイことしてあげるぅ」  猫なで声でそういうと、彼女はさらに体を密着させ体を上下に動かし始める。 「…………小蓮、何してるんだ?」 「わかってるくせに〜」 「あ、あのなぁ……」 「ふん〜ふふん」  一刀の抗議を気にもとめず尚香は、胸をこすり続ける。  正直言って……おもしろくない。 「はぁ、一刀わかってる? あなたの顔……緩んでるわよ」 「えっ!? そ、そんなことはない……と思う……ぞ」 「やっぱり〜! 一刀ったら、ホントは嬉しいんでしょ〜」 「い、いや、そんなことはないぞ」  顔を高揚させた尚香に尋ねられて一刀がまるで何も感じていない風を装っている。  でもね、一刀。あなたの声、裏返っているわよ。 「も、もう止めろって」 「え〜!? やだぁ」 「…………」 「ちょ、華琳! どこに…………うぉ、蓮華! か、顔! 怖い! げっ! し、しゅ… …ぎゃああああ!」  鼻の下を伸ばしている一刀に呆れた私はその場を後にする。一刀が何か言っているよう だけれど聞く気にはなれない。 (何よ! あれくらいなら私だって…………はぁ)  一刀たちの姿がだいぶ小さくなったところで砂浜に腰掛ける。 「あれ? どうしたんですか?」 「……別にどうもしないわ」  気がつくと、すぐ横に桃香がいた。 「横、いいですか?」 「かまわないわ」  特に視線も向けず返答をすると、失礼しますと返事をして桃香が腰掛ける。 「それで……何かありました?」 「別に何も無いわ」  的確に突っ込んでくる彼女の方を向きたくなくて、海ではしゃぐ季衣たちの方へと視線 を向ける。流琉や、馬岱と水のかけあいをしている。  三人ともまぶしいほどの笑顔を浮かべている。 「もぅ、いつもそうやって一人で悶々としてますよね」 「…………そうかしら?」  桃香の言葉に思わず彼女の方を向きそうになるが、それも癪なのでなんとか抑える。  代わりに、視線を春蘭の方へ向ける。  なにやら岸辺で城のようなものを砂を使って作っている。どうやら、一緒にいる孔明と 鳳統に的確な助言を貰っているようだ。 「そうですよ。あ、でも打ち明ける相手って言ったら一刀さんだけですよね」 「…………そうかしら?」  桃香が何かを言っているようだが、私は瞳をらんらんと輝かせている春蘭から目が離せ ず適当に答える。  どうやら砂の城が完成したらしく、春蘭の元へと歩み寄った秋蘭が何かを言っている。  それを聞いた春蘭が満面の笑みを浮かべて自信満々に胸を張っている。  春蘭を見つめる秋蘭の顔が緩んでいる……あの娘は本当に春蘭が好きね、と思うのと同 時に私の口角が上がる。  そして、そんな二人を見る孔明と鳳統もなんだか和んでいるように見える、意外と言い 組み合わせなのだろうか?  私が、そんなことを考えている間も桃香は、話を続けているらしく言葉を連ねる。 「てことは、一刀さんのことで何かあったんですね」 「…………そうかしら?」  向こうの様子が気になり桃香に対しておざなりに返答をする。  春蘭が立ち上がりこちらへ手を振る。どうやら私に見せたいようだ。こちらへ歩み始め る。その瞬間、目の前を犬が……それに驚いた春蘭が後ろへ転ぶ。そして、そのまま砂の 城を崩壊させる。 「…………聞いてます?」 「…………そうかしら?」 「……………………」  尻餅をついた衝撃でつむっていた目を開いた春蘭がおそるおそる座り込んだ位置を見や る。そして、砂の城の惨状に気づいた瞬間、うなだれる。両手を目元へ添えているのを見 る限り泣いているのだろう。 (ふふ……やっぱり、春蘭はかわいいわね)  どうやら、秋蘭も同じことを思ったのか、緩んでいた顔を一層緩ませる。その上、春蘭 の頭を撫でている。よく見れば、孔明と鳳統も肩に手を添えて励ましているようだ。それ ぞれの外見を考えるとすこし面白い光景だ。 「もう! 聞いてるんですか?」 「……え? あら、ちゃんと聞いてたわよ」 「……そのわりには、返答が変でしたよ」  やかに低い声に驚き彼女の方を向く。  そこには頬をふくらませこちらを睨み付ける桃香の顔があった。  結局、私は機嫌を悪くした彼女から逃げるように一人、浜辺へと向かうのだった。  とはいえ、することもなかった私は横になった。  軽く横になって休んだら、すぐにみんなの顔でも見に行こうと思っていたのだが、徐々 に瞼が落ち、気がつけば私の世界は暗闇に覆われていた――。  どれくらいの時間が経ったのだろうか、身体に違和感を感じ、意識が覚醒する。  そして、閉じていた瞼を開き、周囲を見渡す。  太陽は先程と比べ、大いに移動していた。どうやら、長時間寝てしまったようだ。  そんなことを思いつつ上体を起こそうとするが、何故か上がらない。  不思議に思いつつ、自分の身体を見る。 「あら? いつの間にこんな」  気がつけば、体を覆うように砂が盛られていた。それもどうやら人の体に似せて形作ら れているみたい。なかなか質の高い出来で思わず感心するように見渡す。 「へぇ、誰が作ったのかしら…………!!」  とある一点だけ異様に砂が盛られている。まるで、足りない分を補うように…………。 「おっ、華琳起きたのか?」  異常な程に砂の盛られた部分を睨み付けていると一刀が声を掛けてきた。  どうやら、ずっと私の側にいたようだ。そこで一つだけ尋ねることにする。 「……一刀、ちょっといいかしら」 「ん? 何だ?」  妙ににこやかな顔でこちらを見てくる。  そんな彼をわなわなと震える身体も幸いなことに砂で隠れている。 「私のそばにいたのはあなただけ?」 「まぁ、そうだな」 「ふぅん、そう。まぁ、いいわ。さっさと出たいから手伝ってくれないかしら」 「そうだな、よし」  一刀は、何の疑いも持たずに私に近づいてくる。後三歩、二歩、一歩、そして射程範囲 内に入る。 「え? うぉ!」  一刀が目的の箇所を踏みしめたのを確認した私は砂から手を出して、彼の足を思いっき りつかんでやった。そして、すでにもろくなっていた砂をどけながら出る。 「あ、あれ? 何だ一人で出れたんじゃないか」 「あら、そうみたいね。気づかなかったわ。それよりも……さっきのアレはどういうこと かしら?」 「へ? い、いや待て俺は知らないぞ。華琳に似つかわしくないモノなんて」  彼が、早口で何か申し立てをしてくる。  でも、それが自分の首を絞めていることに気づいていないのだろうか。 「…………そう、なら他の者にも聞いてみるとしましょう」 「あ、あぁ」  青い顔をしている一刀を引き連れて私は各々の話を聞くことにした。 「春蘭、秋蘭ちょっといいかしら?」  まずは、春蘭と秋蘭に尋ねることにした私は二人に声を掛けた。  そこには、座り込んでいる春蘭とそれを見る秋蘭、そして孔明と鳳統がいた。どうやら、 まだ一緒にいたようだ。 「おや、華琳さま。お目覚めになられましたか」 「か、華琳さま! これをご覧ください! ようやく完成したんです」  私に気づいた秋蘭が、春蘭から目を離し、こちらへ振り向いた。  そして、春蘭もこちらに振り返る。その背後には立派な砂の城が建っていた。  どうやら、崩れた後、再度作り直していたみたいだ。 「ふふ、随分立派な出来ね。すごいわ」 「えへへ、そ、そうですか? ふふふ」  春蘭にしてはよく出来ていたので褒めて上げると、彼女は嬉しそうに笑みを見せてくれ た。  でも……迫り来る波に対抗するための城壁として七星餓狼を使うのはどうかと思う。 (春蘭、あなたの大切な武器なんじゃないの?)  そう思って、春蘭を見るが相変わらずにこにこと笑顔を浮かべている。  ならばと、秋蘭を見るがただ微笑んでいるだけだ……きっと、彼女は止めなかったのだ ろう。 「うふふ、あれ? どうしました華琳さま? あぁ、これですか?」  私の視線に気づいたのか七星餓狼を指さす春蘭。  なんとなく頷いて返すと、彼女は胸を張る。 「実はですね、秋蘭が助言してくれたのです! それに秋蘭はこの城の制作に手を貸して くれたんです」 「そう、それは良かったわね」  瞳をきらきらと輝かせて私を見つめてくる春蘭を見ているとこちらの頬もゆるむ。 「それに、諸葛亮と鳳統もとてもためになる助言をしてくれました」 「ふふ、二人とも悪かったわね」 「い、いえ、そんな。わたしたちも楽しかったですから」 「あわわ……夏侯惇さんの笑顔を見てたら手伝いたくなったんです」  孔明と鳳統に礼を告げると二人はわたわたと慌てながら謙遜の言葉を述べた。  二人とも見た目に合わずしっかりとしているものだ。確かにこの二人と春蘭ならば、ち ょうど良いのかもしれない。 「それで、華琳さま。我らに何用かあったのでは?」  その言葉で私は"犯人捜し"をしていたことを思い出す。 「そうそう、あなたたちは私が寝てるあいだ側に来たかしら?」 「いえ、我らはここでコレを造っていましたから」  秋蘭の言葉に春蘭、それに孔明と鳳統が頷く。  どうやら、彼女たちにはしっかりとした証拠があるようだ。 「そう、ありがとう。変なこと聞いて、悪かったわね。それじゃあ、私たちはまだ行くと ころがあるから」  それだけ告げると、先程よりも顔を青くしている一刀を連れて彼女たちの元から立ち去 った。  次に向かったのは、季衣と流琉のいる休憩所だ。  そこでは、休憩できる空間と、料理人がいろいろと料理を振る舞ってくれる屋台がある。  一刀が、何気なく言った"海の家"とやらを元に造ったらしい。 「季衣は……寝てるわね」  休憩所の中を覗くと、休憩室で季衣が寝ていた。  きっと、遊び疲れなのだろう。随分と可愛らしい寝息を立てている。起こしてしまって はかわいそうだと思い、流琉の姿を探しに行く。  彼女の姿は予想通り屋台の調理場で見つかった。 「あ、華琳さまに兄様。どうしたんですか?」 「えぇ、ちょっと聞きたいことがあって」  流琉にそう告げると、彼女は、そうだ、といって手を鳴らした。 「それなら、何か造りますので食べながらにしませんか?」 「そうね。いただこうかしら」  ちょうど、小腹も空いてきたところだったため流琉の提案に乗ることにした。  それから、私は相変わらず表情の優れない一刀を連れて席へと向かう。  そして、流琉の造った料理がすぐに私たちの前に運ばれてきた。 「相変わらず美味しそうね。流琉の料理は」 「あ、ありがとうございます」  環境が変わっても衰えることのない流琉の腕前に感心すると、彼女はぺこぺこと頭を何 度もさげてくる。  一刀が同じように褒めるが、それに対しては頬をそめて笑顔を浮かべるだけだった。  ちょっと、本当にちょっとだけムッとしつつも私はすぐに平然となり料理に手を伸ばそ うとする。 「にゃ〜、とっても美味そうなのだ〜じゅるっ」 「ひっ!」  手を伸ばした料理の真横に唐突に現れた顔に思わず奇声をはっしてしまった。  はっと、一刀と流琉の方を見ると何とも言えない微妙な顔をしている。  そんな二人に視線を向けると急に身体を縮こまらせてしまった。  二人の不思議な行動に首を傾げつつ唐突な来訪者のほうへ視線を向ける。 「あなた、たしか……張飛だったわね」 「にゃ?そうなのだ」 涎をだらだらと垂らしている張飛に声を掛けると、ようやくこちらに気づいたようで頷 き返してくる。 「もしよかったら、一緒にどうかしら?」 「いいのか?」 「ふふ、そんな顔されたら誘わないわけにはいかないわよ」  可愛らしい両眼をキラキラと輝かせてくる張飛に思わず笑いそうになりつつ促す。  私の言葉を聞くやいなや張飛が手を伸ばす。すると、その手が別の手と重なる。 「にゃ?」 「むむ!」  いつの間に来たのか、そこには季衣がいた。  まぁ、大方張飛のように料理の香りに引き寄せられたのだろう。  相変わらず似ている二人だと思っていると、二人が睨み合い唸っている。 「う〜、これは鈴々が先に目をつけていたのだ!」 「そんなのわかんないだろ! 証拠でもあんのか!」  互いに口を開けば、険悪さをどんどん増している。  そんな二人の間に一刀が入っていく。そのせいで更なる一悶着が起きようとしたみたい だが一刀がそれをも食い止めたようだ。  そして、ようやく二人は食事に戻っていった。  そんな様子を視界の隅に抑えつつ、私も料理を口へ運ぶ。 「あら、とても美味しいわ。すごいわね、流琉」 「本当ですか! よかった〜」  よくこの小さな規模しかない小屋でこれだけの料理をつくれるものだと感心しながら感 想を告げると流琉は先程のようにぺこぺことするのではなく明るい笑顔を見せてくれた。  それからはそれぞれ、ただ食事に従事していった。  食後、季衣と張飛が膨らんだ腹部をさすっているのを横目に私は用件を済ませるため流 琉へと声を掛けた。 「ところで……流琉、ちょっと聞かせてもらえるかしら?」 「もう、季衣ったら……あ、はい、なんですか華琳さま?」 「あなた、ずっと季衣と一緒にいたのよね?」 「? はい、そうですけど」 「それならちょうどいいわ、二人は私のもとへ来たかしら?」 「いえ、私たちはずっと遊び回ってたので華琳さまのもとへはいってませんよ」  首を傾げながら答えてくれた流琉に、そう、とだけ返す。 「それがどうかしたんですか?」 「ふふ、何でもないわ。ごめんなさいね意味の分からないことを尋ねて」 「いえ、構いません」 「ありがと。それじゃあ、私はいくわ。ほら、一刀も来なさい」  流琉にそう告げると私は、いつの間にか季衣たちのように腹部をさすってまったりして いる一刀の腕を掴み引っ張る。  後ろから聞こえる一刀のわめき声を無視して次の場所へと向かう。  しばらく歩き、木陰に集まっている集団を見つけた私はそちらへと赴く。 「ここにいたのね、何をしているのかしら?」 「おぉ? これは華琳さまにお兄さんではありませんか」 「ちょっと! 何でまだあんたが華琳さまと一緒にいるのよ!」  気持ちよさそうに日向ぼっこしている風と、一刀の姿を見た瞬間に全身の毛を逆立てる ように威嚇する桂花。  そんな二人を見て、姿勢は違えどどちらも猫の様だと思いつつ、桂花を嗜める。  桂花がおとなしくなったところで二入にも先程までと同じ質問をする。 「ところで二人はずっと一緒だったの?」 「う〜ん、ずっと寝てたのでわかりませんね〜」 「はぁ、一緒だったじゃない。あなたが寝る前までは呉の軍師たちとも色々話しをしてい たんだから」  そういって桂花は隣で寝ている陸遜に眼をやる。  それを追うように私も眼を向けると、相変わらず規格外なアレが上下に動いている。  横で同じようにソレを見ている馬鹿の尻をつねってやると、飛び上がった。  それを見た桂花が一刀を罵り始めたが、それを無視して私は風の方へと向き直る。 「で? 結局二人は一緒だったのね?」 「そうですねぇ〜、桂花ちゃんがそう言うならそうなのではないかと」  相変わらず飄々とした雰囲気を放ちながら答える風。  彼女はしばらく私の姿を見るとぽつりと呟く。 「しかし、今回、稟ちゃんはお留守番で正解だったかもしれませんねぇ」  確かに、稟が今の私の姿を見れば、いつも以上に赤い花をさかせることとなったのだろ う。  そんな事を考えつつ、二人に別れを告げ次なる人物の元へと向かうことにした。 「ふひひ、ほらほら、凪も飲まんかい」 「い、いえ、私はその……」  少し外れにある岩場を覗くと、そこでは凪が酔っぱらいたちに絡まれていた。 「まったく……霞、あまり羽目を外しすぎては駄目よ」 「ん? おぉ、華琳やないか! それに一刀もおるんか。よっしゃ二人も飲みぃや」 「それにしても、海に来てまでお酒とは……まぁあなたらしいと言えばらしいのかしらね」  もの凄く上機嫌な霞を見ながらため息をはく。  まったくこんなになるまで飲み続けてるなんて思わなかった。それに趙雲、黄蓋も一緒 になって楽しそうに飲むだけで止めようともしていない……まさに、三国の飲兵衛の集ま りと言ったところだと思う。  でも、一番問題だと思うのは―― 「何であなたまでいるのよ、雪蓮」  そう、一国の主たる彼女までもがこの集まりに参加していた。  その顔は、朱に染まり、目も蕩けきり口からは怪しげな笑い声がこぼれている。 「うふふ、華琳も一緒に飲みましょう?」 「あなたね……仮にも臣下たちをまとめる立場にある者がそれはないんじゃないかしら?」 「ぶぅ〜、ならいいわよ。か〜ずと! 一緒に飲みましょ!」  私の文句にあひるのような口で文句を垂れる雪蓮。  そんな彼女に呆れていると、彼女は目にもとまらぬ速度で一刀を捕まえていた。 「ちょ、ちょっとひとの部下を勝手に引き込まないでもらえるかしら」 「え〜、だって華琳は私たちに付き合ってくれないんでしょ。だったら、せめて一刀くら いはおいていってよ」  そう言って、雪蓮が一刀の腕をその巨大な胸に挟み込む。  一刀も一刀で鼻の下を伸ばして……すごく不愉快ね。 「駄目よ、一刀は今、私と行動を共にしているんだから」 「でも、一刀自身は私たちと飲む方がいいんじゃない? これだけ美女が揃ってるんだか ら肴には困らないし、ね?」 「だ、か、ら、そうやって誘惑しないでちょうだい!」 「ぶーぶー、横暴よ! どうするかは、一刀の自由でしょ」 「むー!」 「ふぅー!」  と、つい熱くなり彼女と睨み合いを続けていると、とつぜん辺りに小気味いい音が響き 渡る。  その発信源をみると頭を抱えて蹲っている。 「いった〜い、何するのよ! 冥琳」 「雪蓮よ、仮にも一国の王なのだぞ。まったく……頼むから、情けない姿をさらさないで もらいたいものだな」  そんな周瑜の言葉に反論しようとする雪蓮を引きずりながらこの場から離れていく。 「あ、そうそう」  急にこちらへと振り返る。 「大事な思い人をうちの酔っぱらいが誘惑して申し訳なかったな」 「!? そ、それは別にそういう意味じゃ……」 「ふっ、まぁそういうことにしておこう。では……おっと、忘れるところだった」  反論する私など気にもとめず、周瑜は思い出したように飲兵衛たちへと視線を向ける。 「祭殿、くれぐれも飲み過ぎることの無きよう……頼みますよ」 「お、応、大丈夫じゃ。だからあまり儂のことは気にするでない」  それだけ聞くと周瑜は再び前を向き歩き出した。  その手に引かれていく雪蓮が何か叫んでいる。裏切り者? 一体なんの事かしら? 「まぁ、それはいいとして、霞……は駄目そうだから凪、ちょっといらっしゃい」 「は、はい。何かご用でしょうか?」 「えぇ、少し尋ねたいことがあってね」  そこで、やはり私が寝てる間のことを聞いてみることにした。 「そうですね……、私ははじめは二人――沙和と真桜へ何か持って帰ってやりたいと思い 、浜辺の貝殻などを見てました。それでこの岩場にも来たのですがそしたら捕まりまして」 「なるほど、その後はどうだったの、凪?」 「その後は、ずっとここにいました。霞さまはほとんどここで飲んでいたみたいです。た だ、私が来てから何度かお酒をとりにたっていますのでその時は分かりません」 「そう、ありがとう。助かったわ」 「こ、こんなことでよろしかったのでしょうか?」 「えぇ、結構よ。それじゃあ、私たちはこれで」  私は凪に礼を告げるとすぐに、一刀を引きずりながら元の場所へと戻った。 「さて、この辺りを見る限り手がかりは何も無いわね」  私が寝ていた辺りを見るが足跡があったと思われる箇所が踏み荒らされて見る影もなく なっている。これではもうお手上げだ。  仕方なく、私は最後の仕上げとして、一刀からも話を聞くことにした。  一刀曰く、私が寝ているのを発見したらしい。しばらくは、私の寝姿を見ていたものの、 ふと、天の国での面白い遊びを思い出し、私の身体に砂をかけたのだそうだ。  ただ、その際には余計なことはしなかったというのが、一刀の主張。  その後、気がついたら自分も寝ていたらしい。  でも、他にそれを証明する者が一切いない。 「やっぱり、あなたが一番怪しいわね……一刀?」  震えながら一刀が反論してくるが、それを一刀両断する。  そもそも、砂をかぶせるなんてことを知っていたのが一刀だけだという時点でかなり怪 しい。そんなことを考える私を一刀が青い顔で見てくる。  そんな一刀の様子に笑みをこぼしそうになった私は、彼から顔を背けた。 「まぁ、いいわ。罰は帰ってからにしましょう」  その言葉に一刀は呆気にとられたらしく、間抜けな表情を浮かべている。 「ほら、大分時間も経ったみたいだし、行くわよ」  そう言って彼の手を取る。気がつけば日は沈もうとしている。  もう、明日はここを立って魏に、忙しい日々に戻らなければならないのだ。  そんなことを思いつつ、既に集まっているみんなの元へと向かった。  帰ってから彼にやらせる罰のことを楽しみにしながら――――。 終 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  とある夏の一幕 後編  呉から戻ってきて曹操、もとい早々に俺への罰が下されることとなった。  そして、その実行場所である華琳の自室へと引きずられながら、俺はここまでの経緯を 思い浮かべていた。  そう……あれは、呉での三国会議に出席した後のことだ。  会議の終了に合わせて雪蓮が突然言ったんだった。 「ねぇ、みんな。海に行かない?」 「雪蓮? 突然何を言い出すのだ?」  唐突に提案を口にした主を訝りながら冥琳が尋ねる。 「ん〜、ほら、多分桃香たちも華琳のとこの人たちも海で遊んだこと無いんじゃないかな って思ってさ。どう? 二人とも」  雪蓮は、会議中の真面目な表情からは想像出来ないほどはつらつとした様子で華琳たち に話を振った。 「そうね……確かに訪れる機会というのも、そうあるものでもないわね」 「わたしたちも同じですね」  両者とも雪蓮の質問に頷いて返す。  それを見た雪蓮は深々と頷き。 「そうでしょ! だ、か、ら、海に行きましょう〜!」  そう叫び、その手を高々と挙げる。鈴々や季衣、それに桃香が雪蓮に併せて、おー、と 叫びながら天に向かって手を突き出している。  そんな様子を見て、冥琳が頭を抑えながら、ため息を吐いている。  我らが大将、華琳もまったく同じ様子で呆れている。  その後、一夜を過ごした後に俺たちは海へと向かったんだ。  あの時の俺はまさかこんな結末を迎えるとは思っていなかったんだよな……。  海に着いた俺は、一人別の場所で着替えを済まし砂浜へと躍り出た。  さすがに、雪蓮と小蓮の姉妹コンビや鈴々と季衣のおこちゃまコンビに一緒に着替えさ せられそうになったのには滅茶苦茶焦ったが……。 「それぞれの抑え役に感謝だな……」  そんなことを俺が乾いた笑みと共に漏らしていると、ちょうどよく、着替え終わった一 人が俺の元へやってきた。 「あら、随分早いわね?」 「まぁな。男の着替えは簡単なんだよ、華琳」  俺の言葉に、ふぅん、とだけ返すと華琳は空を仰いだ。  彼女の水着はかなり刺激的だ。  黒のカットアウトビキニ、稟が見たら間違いなく大噴射ものだ。  ただ、いかんせん胸が……。  そんなことを考えていると、華琳が口を開く。 「しかし、日差しが強いわね」 「そうだな、すっかり夏って感じだな」  彼女にならって俺も空を見上げる。  と、その時、背中に衝撃を受ける。 「かーずとっ!」  その正体は小蓮だった。背中に抱きつかれているせいでよく見えないが、薄い桃地に水 玉のビキニタイプの水着だ。  その頭にはいつもの薄い桃色のリボンでなく、花の形をした黄色のリボン。  そんな観察をしながらも小蓮を嗜めるが、そんなことなどお構いなしといった様子で俺 に反応すると、何やら動き始めた。 「…………小蓮、何してるんだ?」 「わかってるくせに〜」 「あ、あのなぁ……」 「ふん〜ふふん」  一応、抗議の声を上げるが彼女は返答の代わりに痛いところを突いてくる。  確かに、小さいなりにもこう気持ちの良い感触が背中に――そんなことを考えている俺 に呆れたのか、華琳がため息を吐いた。 「はぁ、一刀わかってる? あなたの顔……緩んでるわよ」 「えっ!? そ、そんなことはない……と思う……ぞ」  慌てて取り繕ってみたが、ごまかせてはいないだろう。なにしろ、声が裏返ってしまっ ていたのだから。  そうやって慌てている俺とは裏腹に、嬉しそうな声を上げる小蓮。  そんな彼女にに対して、俺が否定の声を上げていると、華琳が黙って離れていく。  慌てて彼女を呼び止めようと手を伸ばす。 「小蓮……」 「うぉ、蓮華! か、顔! 怖い!」  いつの間にか俺のすぐ横に立っていた蓮華に驚いてそちらを見ると、彼女はとても表現 できないような表情を浮かべ小蓮を睨み付けていた。 「離れなさい!」 「やーだよっ」  小蓮を捕まえようと蓮華が両腕をがばっと開いて突っ込んだのに対して、小蓮は旋回し てよける。  もちろん、そうなれば俺の身体ごと回ってしまうわけで 「えっ! 一刀、どいて――きゃっ」  結果として、俺は突っ込んできた蓮華を正面から受け止めることとなった。  受け止めた蓮華の身体の感触を全身で感じて、胸を高鳴らせつつも俺は、彼女の水着へ と視線を向けた。  どうやら小蓮と同じでビキニタイプのようだ。  薄い桃地であることも一緒だが、柄が花であったりと僅かに異なる部分はあるが姉妹で そろえたのだろう。  そんなことを考えていると、急に背中の感触が変わった。  背丈的には先程より大きいような気がするが――。 「……おい、貴様」 「げっ!」 「なに、蓮華様に不埒なことをしている……」  震える身体を押さえつつ、彼女の名前を口にしようとするがうまく口が動かない。 「もし、よからぬことを考えているのならば、これで貴様を……」  そう言って、彼女は俺の喉元に添えている短剣の切っ先を突きつける。 「安心しろ……貴様の命は奪わん。色々と問題らしいからな……忌々しいことに」  取りあえず、生命の危機でないことにわずかに安堵する。まぁ、俺としては最後の部分 が引っかかりはするが。 「だから、せいぜいこの短剣の刃に塗った眠り薬で貴様を眠らせて……切り取るだけだ」  不穏な言葉を発した思春に驚き、俺は思わず振り向いた。  瞬間、短剣の切っ先が俺の喉に刺さった。  そりゃ、皮膚に触れている状態でそんな風に動けば刺さるよな……あと、思春、さらし にふんどしはどうだろう、まぁ、俺的にはありだ――などと考えながら俺は悲鳴を上げた のだった。  それから俺は、蓮華の手当を受け、別の場所へと来ていた。 「しかし、我ながら情けない……」  先程の事を思いだし、項垂れる。  俺は喉が切り裂かれたと思って声を上げたのだが、実際に見てみれば、針が刺さった程 度のもので俺の反応が過敏だったのだ。  まぁ、それも俺の喉に刺さる瞬間とっさに刃をどけてくれた思春のおかげらしい。  蓮華がそう教えてくれたものの本人が否定しているので真偽の程はわからないが……。  それについて言及しようとしたのだが、小蓮が、二人とも抱きつきたいなら素直に言え ば良かったのに、という一言を口にしたせいで場が荒れて、俺は立ち去るしか無くなって しまい、結局知ることは出来なかった。  そんなことを思い出しながら歩いていると、砂浜に横たわる人影を見つけた。 「華琳……寝てるのか?」  砂浜に横たわり、その慎ましい胸を上下させる以外はぴくりとも動くことなく寝ている 愛しい少女……。  三国会議……いや、日頃からの疲れもたまっていたのだろうとても気持ちよさそうにぐ っすりと眠っている。 「……す〜……す〜」 「こうやって、寝てるときの顔はほんとかわいい女の子なんだけどな」  この寝顔を見て、彼女が三国を制覇しただなんて誰が思うだろうか? 少なくとも俺だ ったら想像もつかないだろう。 「…………寝顔を見てるだけでも全然飽きないな」  それからどれ程の間だろうか、俺は彼女の寝姿を見つめ続けた。  あまりに見過ぎて、途中何度か起きやしないかと内心ひやひやしていたがそんなことも なく熟睡し続けていた。  そんな彼女を見ている内に俺の中のちょっとした悪戯心が頭をもたげてくる。  そう、夏の海、砂浜、寝てる人間といえばやることは一つ。 「くく、砂を人型に盛り上げるか……どんな反応を見せてくれるかね……」  一人ぽつりと呟き、黙々と砂を集めていく。  そして、彼女の身体へと少しずつかけていく。  あまり盛りすぎれば埋められる側は苦しいもなのだ。 華琳の場合、他の女性よりも比 較的小柄だからそこは気をつけなければならないだろう。  そして、色々と注意しながらなんとか砂を盛ることに成功した俺は形を整えていった。 「……よし、こんなもんだろ」  完成した人型を見て俺が一人宇なうずいていると、背後に人の気配がした。  よく見れば、巨大な猫のような影が俺の影を踏みつぶすように大地に映っている。 「ん? どうしたんだ」  俺は振り向きながら尋ねる。  彼女は、ここでも猫耳頭巾をかぶっている。まぁ、日よけにはよさそうではあるが。  水着の方はワンピースタイプのようだ。色は橙か……。  その申し訳程度のフリルが可愛らしい。  そんなことを考えているのを察したのか彼女は身体を庇うように自分を抱きしめた。  それを残念に思いつつ、俺は大方桂花は華琳に用があったのだろうと予想していた。 「あんた……何してるのよ? それにその傷はどうしたの?」  華琳の方を指さし、次に俺の首を指さして尋ねてくる桂花に説明をしていく。  俺の説明を聞いて納得した桂花はため息まじりに俺を見た。 「ほんと、くだらないことを思いつくわね、あんた。ま、そんなあんただから刺されるん でしょうけど」 「いいだろ、別に。それより、何の用なんだ?」 「あんたなんかに用はないわ」  予想通り態度を取る彼女に苦笑しつつ取りあえずどうしたのか尋ねる。 「それなら、華琳に何の用だったんだ?」 「別にあんたには関係ないわよ」 「まぁまぁ、本人寝てるんだしさ。教えてくれよ」 「……面白いお茶が手に入ったから華琳さまに差し上げようと思ったのよ」  そういって彼女は湯飲みを俺に見せる。 「へぇ、一体どんなお茶なんだ?」 「なんでも漢方の一種で体内の血行をよくする効能があるんですって」 「へぇ、どうするんだ? 華琳寝ちゃってるけど」  さすがに、いつまでもこうしているわけにもいかないので尋ねると、桂花はため息を吐 き、俺に湯飲みを渡してきた。 「あんたにあげるわよ。もったいないし……まぁ、あんたも疲れてるでしょうしね」  最後のほうの呟きは良く聞こえなかったが取りあえずいただくことにした。  いざ飲んでみると少々苦みが強いものの飲みやすいものだった。 「ふぅ、ありがとうな。桂花」 「ふん、元々は華琳さまのために用意したものなんだから誤解しないでよね!」  そう言うと彼女は、立ち去っていった。  その手に持った、もうひとつの湯飲みの中身をぐいっと飲み干して……。  一体、桂花は何故二つの湯飲みを持っていたのか、その真相に考えを巡らせたところで 急激な眠気が俺を襲ってきた。 「……俺も寝るか」  そのまま俺は睡魔にまかせて眠りについた。  目を覚ますと、華琳がとある一点を注視している。  俺もそちらへ視線を向ける……その箇所に違和感を覚えた。 (なんだアレは、俺は知らないぞ!)  そう、その一点――華琳の胸にあたる部分の"大きな山"を呆然と見つめながらも華琳へ と声を掛ける。 「……一刀、ちょっといいかしら」 「ん? 何だ?」  なんとか、彼女に俺の無実が伝わるように笑顔を浮かべる。  華琳は、そんな俺をただ無表情で見つめ返してくる。 「私のそばにいたのはあなただけ?」 「まぁ、そうだな」  彼女の質問に汗が流れる。暑さからのものではない、何故なら冷や汗なのだから。 「ふぅん、そう。まぁ、いいわ。さっさと出たいから手伝ってくれないかしら」 「そうだな、よし」  とりあえず、華琳をすなから引っ張り出すのを優先すべきと思った俺は彼女の元へと歩 み寄った。  そして、彼女のすぐ側に立った瞬間。  人型の砂から出てきた腕に脚を捕まれた。  俺がそれに驚いている間に華琳が砂の山を崩して姿を現した。  そして驚いてる俺に対し、華琳が先程の山に関して尋ねてくる。 「へ? い、いや待て俺は知らないぞ。華琳に似つかわしくないモノなんて」  なんとか、俺の無実を伝えようと訴えてみるが、華琳の表情は変わらない。  そして、何かを思案した後、俺の腕を掴む。 「…………そう、なら他の者にも聞いてみるとしましょう」  華琳の言葉になんとか頷いた俺だが、そのまま彼女に引きずられていくこととなった。  そして、そこから俺の無実を証明するため、華琳からすれば俺への疑惑を固めるための 調査が始まった。  まずは、春蘭と秋蘭の二人だ。  二人は、スクール水着でそろえている。  春蘭が紺、秋蘭が白と色が違う部分を覗けば同じだ。  ただ、気になるのは二人とも胸のところに名札がついているのだが、春蘭の方だけ何て 書いてあるのか読めない……。おそらくは"しゅんらん"なのだろうけど。  それと、蜀の軍師である朱里と雛里がいる。  こちらは二人ともワンピースタイプだ。こちらは先程の桂花と違ってフリルのないシン プルタイプだ。  形状的には春蘭と秋蘭の着ているスクール水着に似ているな。  色に関しては、桃色の朱里と薄緑の雛里。二人ともその外見と比べても遜色なくよく似 合っている。  そんな風に四人を眺めている内に秋蘭が華琳の質問に答えている。  どうやら彼女たちはずっとここにいたようだこれは互いに証明しあえているので真実な のだろう。  それはつまり、俺の疑いは晴れるどころか増したということだ……。  そのことに気づき、心を恐怖一色にしている俺を華琳は再び引きずり出した。  そして、俺たちは彼女たちの元から立ち去った。  華琳に連れられて次にやってきたのは、海の家だ。    休憩所を覗いてみれば、季衣が寝ている。  彼女の水着は、薄桃色のセパレートタイプのビキニだ。  活発な季衣にはよく似合っているように思う。  それから、すぐに華琳と共に屋台の調理場へと向かった。  そこでは、季衣と色違いの薄青色のセパレートタイプの水着を着た流琉が料理を作る準 備をしているところのようだ。  華琳が彼女へ質問を行おうとすると、流琉はそうだ、といって手を鳴らした。  先程の季衣の様子から、彼女が遊び疲れて寝ていることが伺える。  そして、親友の流琉がそれに付き合わないはずがない。  つまりは……二人一緒にいたはずだ。それはすなわち、互いに証明が行えるって事だ。 そうなると、俺への疑いは……。  それから、俺は華琳に連れられて席へと向かった。  気落ちする俺を励ましてくれたのは、流琉の美味しい料理だった。   俺たちの前に運ばれてきた料理の数々に俺の心も明るくならざるを得なかった。 「いやぁ、流琉の料理は本当にすごいな。こう、心も満たされる」 「兄様……」  俺の感想に、流琉は嬉しそうに微笑んでくれた。  その彼女の顔もまた俺の心を癒してくれる。  俺がそんなことを考えて和んでいると、突然華琳が悲鳴を上げる。  そちらを見ればいつの間にか鈴々がいた。  彼女は、季衣同様セパレートタイプのビキニを着ている。  黄色を基調とした色調に、向日葵の柄、太陽のような彼女を良く表している水着だ。  そんな観察をして、その真横を見る。そこにいる華琳は驚いたのだろう、少し間抜けな 体制になっている。  そのあまりの姿に笑うに笑えず、どうしたものかと思いあぐねていると華琳が鋭い視線 をこちらへ向けてくる。  俺はその視線から眼をそらしたかったがどこかそれを許さないように感じたため身体を 縮こまらせることしかできなかった。  それから、大人しく成り行きを見守っていると、鈴々が料理へと手を伸ばした。  が、それを別の人影が遮った。 「にゃ?」 「むむ!」  そして、二人は睨み合いを始めてしまった。  仕方なく止めに入ることにする。 「こらこら、二人とも喧嘩は駄目だぞ」 「にゃ、お兄ちゃん! でも、こいつが……」 「こらぁ! 兄ちゃんを兄ちゃんて呼んで良いのはボクだけなんだだぞ!」 「ふーん、そんなの誰が決めたのだ〜」 「むぅー!」 「にゃぁあ!」  再び二人は睨み合いを始める。  俺はそんなやり取りにため息を漏らす。 「こら! 二人とも喧嘩はやめなさい」 「……でも」 「うぅ……だって」 「俺は二人に仲良くして欲しいんだがな」  そう言って俺は腕を組みどうしたものかと首を傾げる。  この二人は、合うたびになにかしらの騒動を巻き起こしている……困ったものだ。  そんなことを想い本日何度目かのため息を漏らすと 「ごめん、兄ちゃん」 「……ごめんなさいなのだ」  二人とも先程までの激しさはどこへやら、すっかりしょんぼりとしてしまった。  まったく、と思いつつも二人のこんな姿を見せられては許さざるをえない。 「まぁ、反省したのならいいさ。それよりさっさと食事にしよう」  努めて明るくそう言うと。二人は元気いっぱいに頷いて食事に戻っていった。 「さて、俺も負けずに食うとしようか……」  気合いをいれ、俺も大食漢二人に少しでも負けないように食べ始めた。  そして、すっかり全ての料理を平らげた後、俺は季衣と鈴々と並んでが膨らんだ腹部を さすっていた。  華琳の方へちらりと視線を向けると話を聞いているようだ。  俺も耳だけは傾ける。  流琉の主張は、結局のところ俺の予想とほとんど一緒だった。  そのことで胃がちくりとし始めたのを感じるのと同時に華琳が俺の手を握る。 「ありがと。それじゃあ、私はいくわ。ほら、一刀も来なさい」  そう告げるた華琳は海の家の外へと駆けだしていった。  当然、腕を捕まれる俺も引きずられるわけで……無理矢理走らされた俺の胃が上下に揺 れて腹の中でかき混ぜられる。 「か、華琳! 出ちゃう! 出ちゃうって! うぷっ」  だが、そんな俺の叫びも華琳には届かなかった……。  しばらく進むと、ようやく華琳は止まってくれた。  そこには、風と桂花、そして呉の穏がいた。  風は、ワンピース、それもスカート部分が腰を覆うタイプだ。  色は、赤を基調としていて、裾の部分に白い線が走っている。  穏は、薄青のビキニだ、腰にはパレオ代わりの布が巻かれている。  まぁ、一番目を引くのはその胸だが……。  そう思った瞬間、尻に衝撃が走る。華琳につねられたらしい。  実際、華琳に嗜められなくても俺には彼女たちを見る余裕は無い。 (ちくしょう、じっくり見たいのに走らされたせいで気持ち悪……うぷっ)  そう、ここまで華琳に強制的に動かされた俺はこみ上げるものを押さえつけるので精一 杯で軍師三人の観察も、話を聞くことも叶わなかった。  まぁ、俺は桂花が一度やってきたのは知っているから問題はないのだろうが……。  そして、ようやく俺が落ち着いた頃には話は終わっていた。  結局、俺は話を聞けないまま、次へ向かうことになった。  俺たちは、岩場から聞こえる声を頼りに立ち寄ってみた。  するとそこでは宴会が開かれていた。  凪が霞に絡まれている。ほんのり頬が赤いのは少し飲んだためなのだろう。  しかも、まわりにいるのも酔っぱらい。誰しもが霞を煽っている。  しかし、みんな魅力的な格好だな。  霞は、  星は、色は白で柄も無くシンプルなのだが、どうも下の後ろ側……面積が少ないように 見える。おそらくはティーだろう。  雪蓮は、フロントオープン&サイドオープンのビキニタイプ。それも彼女の豊満な肉体 によって、それ水着か? と聞きたくなるような状態になっている。  蓮華や小蓮と同じなのはせいぜい色が薄桃色であることくらいだ。  そして、同じく豊満な"躰"を持っている祭さん。彼女は紅紫色のヒモ結びビキニ。  それだけならいざ知らず、超マイクロで隠すとこ隠してるだけって感じだ。  三人に比べると、控えめだが凪はつなぎタイプのビキニ、下はショートパンツのようで 一見露出が少ないが、その割に身体にフィットして身体の線を浮き彫りにしている。  それになんといっても、ショートパンツの後ろ部分から溢れる尻肉、これが、逆に色っ ぽさを醸し出す。  しかも、色は黒、しかも革で出来ているかのように光沢を放っていてそれも色っぽい。  と、そんなことを考えていると、いつの間にか雪蓮と華琳が口論を始めている。  とは言っても、酔っぱらいに華琳が説教をしているだけのようだが。 「ぶぅ〜、ならいいわよ。か〜ずと! 一緒に飲みましょ!」  突然、雪蓮が俺の元に来る。出来れば巻き込んで欲しくなかったな。   そして、捕まった俺を見る華琳があからさまに動揺している。  華琳がそこまで俺を……そう思ったら目頭が熱くなった。 「え〜、だって華琳は私たちに付き合ってくれないんでしょ。だったら、せめて一刀くら いはおいていってよ」  その言葉の直後、雪蓮が俺の腕をその豊満な胸に挟み込んだ。今度は、俺の股間が熱く なった。  華琳が睨んでくるが、これはどうしようもないなにせ雪蓮の胸は俺の触れている部分に 限ってはむき出しなのだから……この後、どうしよう。  そんな風に頭を悩ませている間も二人は口論を続けている。  終わることのない争いになるのだろうかと、空に浮かぶ沙和と真桜似の雲に尋ね、知る わけ無いのこの変態鬼畜野郎、やっぱ隊長は種馬や〜、などというやり取りを俺が行って いると、辺りに小気味いい音が響き渡り、雪蓮から俺の腕が解放された。  そこにいらっしゃったのは呉軍軍師の冥琳だった。  彼女の水着は、穏と色違いで赤のパレオ付きのビキニ。  そんな観察をしている間に雪蓮が冥琳によって連れ去られていった。  その際に雪蓮が発した言葉に対し、祭さんが眼をそらしていたのが印象的だった。  そして、その後は凪から事情聴取を行って終わりを迎えた。  結局、霞が酒をとるさいに一人になったこと以外わからなかった。  そのことで失意にかられていると、華琳が俺を引きずりながら歩き始めた。  そして、最後にたどり着いたのは始めにいた場所だ。  そこには何もなかった、足跡も意図的になのか踏み荒らされて消えてしまっていた。  その時、俺は何故か違和感を覚えたここに"何も無い"のだ。  本来、あるものが無い。  そして、気づく。今回の騒動の中、俺が不覚を取った理由に……。  思春が使った眠り薬、あれが塗られた短剣で俺は刺された。  つまり、注入による摂取する薬だ。  そして、桂花の持ってきた漢方を煎じたお茶。効能は血行促進、つまり薬を摂取してい たら、それのまわりが早くなるわけで……。 (つまり、あの眠気はそのせいかよ!)  自分が眠りについたきっかけに気づいたが、その証拠となる湯飲みが無くなっているた め説明のしようがない。  どうしたものかと頭を捻っていると、華琳に声を掛けられた。  最後に、俺からも話を聞くとのことだ。  仕方なく、俺は眠った理由だけを覗いてわかっていることを話した。  だが、もちろんそんなことで俺の疑いが晴れるはずもなく。 「やっぱり、あなたが一番怪しいわね……一刀?」  と、決定的な言葉を告げられた。  それに対してなんとか反論を試みたが却下されてしまった。  華琳の発する雰囲気に怯えていると、彼女は俺から顔を背けた。 「まぁ、いいわ。罰は帰ってからにしましょう」  意外だったため、すこし惚けてしまった。 「ほら、大分時間も経ったみたいだし、行くわよ」  そして俺は華琳に引っ張られ、みんなの元へと向かった。  俺の魂の灯火のように太陽がその光を失おうとしている。  その後、俺は見た。  華琳と共に集合場所へいった時に猫耳少女が俺の方を見てその口角を吊り上げ、いやら しい笑みを浮かべたのを……。  そして、そこで俺は結論に至った。  これは無計画に行われたものだったのだ、というか突発的にだ。  俺が眠り薬を摂取したことを察した桂花はあのお茶を俺に飲ませ寝かせたんだ。  そして、眠っている俺を横目に華琳の山を大盛りにした。  後は、足跡と湯飲みさえ消せば……。  そこで真実に気づいたものの俺には口にだせないわけだが。  まさか、呉の人間に傷を負わされましたとも言えないのだから――。  そこまで、思い起こしたところで、ちょうど華琳の部屋の前についたらしく華琳が中へ 入るように促してくる。  そして、俺が部屋へ入ったのを確認して自身も入室した。  華琳は、部屋の戸を閉めると、ゆっくりと俺の方を振り返る。 「それでは、罰を言い渡しましょうか」 「…………あ、あぁ」  華琳の放つ気迫に押されそうになりながらもなんとか頷くことは出来た。 「一刀、どうやらあなたは私の胸の大きさを憂いているようね」  一言一言を明確に、そしてじっくりと告げていく華琳に俺の喉がごくりと鳴る。 「だから、あなたには私の胸を大きくする手伝いをしてもらうわ」 「へ?」  予想外の申し出に俺の全身から力が抜ける。 「……だから、その、あれよ! 旅の商人が話しているのを耳にしたのだけれど、なんで も整体をするように胸を揉めば大きくなるらしいのよ」 「あぁ、異性に揉まれると胸が大きくなるってやつか」  華琳が耳にしたという話を聞いて俺は自分がいた世界で聞いた俗説を思い出した。 「ん? ということは、俺の罰は華琳の胸を揉むことなんだな?」 「……そ、そうよ。言っておくけど、これは罰なのよ。それを忘れないように」  華琳の忠告に適当に相づちを打ちながら、寝台に座る彼女の元へと歩み寄る。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※ここからエロ描写あり、苦手な方は次の※まで飛ばしてください。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「どうする? 服の上からにするか?」 「……直で良いわ」  そう言うと、華琳は服をまくり上げ胸部を露わにする。 「これも邪魔ね」  華琳は、そのまま彼女の胸を申し訳程度に隠す下着も取り払い、乳房をさらけ出した。 「それじゃあ、始めなさい」  それだけ告げると、彼女は瞼を閉じて黙り込んだ。  それを確認した俺は、そっと彼女の乳房の下部に手を添える。  すると、華琳は、んっ、と僅かに声を漏らしたが、すぐに口をつぐんだ。  その様子をちらりと伺いながら楽しみつつ、俺は彼女の乳房の下部から上部へと向かっ て、すす……と指を這わせていく。  そして、そのまま円を描くように元の位置へと戻すと、今度は下部に掌をぴたりと合わ せ、乳房全体を持ち上げるようにぐっと押し上げる。  先程から、ぴくりぴくりと動く彼女の反応に気づいてはいるが、そこには触れず指を這 わすのと掌で押し上げるという行為を交互に繰り返していく。  そして、もう何度目か分からないほどに繰り返した頃、俺は気がついた。  彼女の肌がほんのり赤く火照ってきていることに。  さらに、彼女の大きくはないが非常に美しい山、その山頂は自らの存在を強調するかの ようにそそり立っている。  それを見て、俺は唾を飲み込む。動機も高鳴り、息遣いも激しくなっていくがそれを抑 えて彼女の胸をいじるのに専念する。  今度は、今までとは動きを変え、彼女の乳房を包み込むようにして掌で覆う。  掌の中心部に固い感触があるのを感じながら、手全体で挟み込むようにして、左右から 華琳の乳房を揉みだいていく。 「くっ……んぅ」  時に強く、時には優しくと緩急をつけながら揉むのにあわせて華琳の口から湿り気を帯 びた声が漏れ聞こえてくる。  それを聞き、俺の方まで熱くなってくるが、これは罰だと自分に言い聞かせ、ただ無心 に揉みしだき続ける。  徐々に緩急の間隔も狭めたり広げたりと変化を加えていく。  すると、強めに揉み、力を弱めてすぐに再び強く揉んだ際などに、ひっ、と華琳の口か ら空気が漏れる音が空へと響いた。    俺の掌は、汗ばんで滑りを帯びている。  それが潤滑油のように彼女の乳房の弾力をより一層激しくしている。  その上、俺の汗と彼女の汗が混ざり合い、俺が手を動かすのに合わせ、くちゅくちゅと 卑猥な音を立てている。  その音と華琳の漏らす艶声や吐息に俺の理性も危うくなってきたので一旦作業を止めて 、華琳の顔へと視線を向ける。 「な、なぁ、そろそろ勘弁してくれないか?」 「はっ、はぁ……はぁ、わ、わかったわ。罰はこれで終わりよ」 「そ、そうか、それじゃあ俺はこれで」  そう告げて立ち去ろうとした瞬間、俺の服が引っ張られる。 「ちょっと、待ちなさい。私は罰は終わりと言ったのよ……だから、その、あれは構わな いのよ」  汗ばんだ顔を真っ赤にして俺を上目で睨み付ける華琳。  さすがに、俺も限界だった――。  華琳の横に座ると、そのまま彼女の躰を横たえさせる。  顔に劣らず真っ赤に染まった乳房へと再び手を伸ばす。  片方は先程同様に緩急をつけながら揉みしだく。 「ん、んぅ」  もう一方は、先程から凝り固まっている蕾を指で転がしていく。 「ひゃっ、ふぅ……ん」  俺の手の動きに合わせ艶声を上げる華琳の口が欲しくなった俺は前ぶりもなく、むしゃ ぶりつく。 「華琳!」 「ん!? じゅ、んぁ、むぅ」  前戯を飛ばし、口を合わせた瞬間、一気に舌を絡めていく。  口内で舌を絡ませていく内にあふれ出る唾液を吸い上げた瞬間、華琳の躰がびくっと跳 ね上がった。  我ながら強引に責めすぎだろうかとも思う、しかし、長時間悶々としていた今の状態で は制御など一切きかない。  胸を弄っていた手をすっと彼女の柔肌を撫でながら、ほどよく引き締まったくびれへと 手を下ろしていく。  さらに、片方の手だけをそのまま下げ、太ももへと滑らしていく。  唇と舌で彼女の口内を愛しながら、くびれと太ももを撫で上げる。  気づけば、華琳も俺の首に両腕を回し俺の顔を離すまいとしている。  俺は視線で華琳に、もういいか? と尋ねる。  それに対して彼女も視線で頷いて答えてくれたのを合図に俺は太ももを撫でていた手を スカートの中へと潜り込ませる。そして、彼女の腰を愛撫していく。  それにあわせて、くびれを撫でていた手を華琳の胸元へと戻す。  彼女の乳房、そこに咲きほこる蕾を摘み取る。  瞬間、彼女の目が見開かれ、腰が浮かび上がる。  それを機とみた俺は、浮いた腰の下へと手を滑り込ませる。そして、彼女の臀部を掌で ぐにぐにと揉みはじめていく。  乳房に置いてある手も蕾の縁をなぞるように指を沿わしていく。  一通り、臀部の感触を堪能した俺は彼女の肌と下着の間に手を差し入れていく。  下着の上からとは違う彼女の体温を直に掌に感じる。  そして、彼女が腰を僅かに上げたのを見計らって下着を一気に太ももまでおろす。 「ぷはっ、か、一刀……」 「華琳……」  一度、口を離した二人の間に光り輝く粘りけのある橋が架かる。  そして、見つめ合うやいなや再び唇を重ね合う。  華琳の口内を再度味わいはじめたのにあわせて手を下の口へと持って行く。  彼女の秘所は既に戦闘態勢に入っていた。触れただけの俺の手がすぐにびちょびちょに なるほどだ。  そのことに頬をぴくりとさせながら彼女の口内を一層愛しつくす。  勿論、秘所の方も愛することを忘れない。  彼女の肉芽の外の包皮をゆっくりと剥きながらも女陰にも指を沈めていく。 「ふぅんん……んぅ」  気がつけば、華琳の手が俺の息子を刺激し始めている。ズボンの上から撫で上げる。  既に張り詰めていた俺の息子が一層、強固になるの感じる。  華琳の肉芽を完全にむき出しにし、指で拍子のように等間隔で弾く。  それにあわせて彼女の腰がびくっと動くのを愛らしいと想いながら女陰を徐々にほぐし ながら、沈める指の本数を増やしていく。 「むふー、んぅ、はぁ、じゅじゅ……ん」  鼻息の荒くしながら俺の息子を激しく愛撫していた華琳の手がズボンの中へと進入して くる。  そして、そのままズボンの留め具を外し俺の息子を窮屈な布の中から取り出す。  その瞬間、彼女の女陰からあまい密があふれ出てきた。  それを指にすくい取ると、女陰の入り口から中、そして肉芽まで塗りたくる。  そこにきて、彼女の女陰が充分にほぐれていることがわかる。 「んぅ、はぁ、華琳」 「はぁ、はっ、ふぅ……」  彼女は息を整えると俺の首にかけたままだった手を離し俺を見つめてくる。  華琳の瞳を見つめ返しながら俺は、両手を彼女の腰に添え、彼女の秘所へと俺の息子を 接触させる。  そして、ぬぷり、と音をさせて俺の息子を進入させていく。  それにあわせて華琳が呻くように声を漏らす。  その声に感情を昂ぶらせながらもゆっくりと彼女に俺を受け入れてもらう。  完全に俺の分身が彼女のナカに収まったところで腰を動かし始める。 「んっ、か、一刀……」 「あぁ」  彼女を抱きしめるように首に手を添え口づけをする。  すると、華琳は、俺の首に両でを回し抱きつき返してくる。  そして、彼女は俺の口内を荒らしてきた。  それを受けながら、俺は彼女のナカを責めていく。  部屋中に、濡れそぼった部分で何かが動く水音が響き渡る。  彼女の中で暴れ回ろうとする息子を上手く制御して、内壁の中で上下させたり、左右に 動かしたりとしている内に彼女の両脚が俺の体を挟み込んできた。  俺の口内を責め立てていたはずの彼女の舌はもう動いていない。  それでは口が寂しいので俺から責め返すことにする。 「ふぅ、うぅ……むぅぅ」 「ちゅっ、んぅ、じゅ、はぁ」  上の口も下の口も責めてていく。  徐々に華琳の瞳が蕩けていくのがわかる。  終点はもうすぐだ。  それを感じた俺は、一気に全力をぶつけていく。  勢いよく突き上げ、何度も跳ね上がる華琳の躰をしっかりと抱き止めて一定上跳ねない ように押さえつける。 「むぅぅぅ!」 「ぷはっ、か、華琳!」  華琳の方も、"その瞬間"へとむかってるらしくぎゅうぎゅうと息子を締め付けてくる。  俺は、それに負けないようにひたすらに腰を振り続ける。 「くっ、か、かず、かずとぉぉ!」 「うあっ、か、華琳! もぅ、うぁぁ」  そして、その勢いのまま俺は全てを華琳のナカへと解き放った。  果てる彼女を見ながら俺は放出した余韻に浸りながら残りを絞り出していた。  その時の俺たちは、桂花がお土産として買ってきた"あのお茶"を飲んで躰を再び燃え上 がらせ、追加で数回致してしまうことになるなど思ってもいなかった……。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※エロをカットした方はココからどうぞ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  翌日以降、ずっと俺の罰は続くこととなった。  よくよく考えればそれも当たり前のことだ。  何故なら、こういったことは継続こそが力となるのだからな。  そして、それからの俺は事あるごとに華琳の胸を揉み続けたのだった。    時折、俺を嵌めた猫耳少女が乱入してきたことも何度かあったが、その時は、彼女も胸 がないので華琳と同時に揉みしだいてやった。  そして、三人で"あのお茶"を飲んですんごいことになったのは言うまでもない。  ちなみに、整体の結果がどうなったのかは俺と華琳だけの秘密だ。 完 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  これで、後編も終了です。  事件の真相ですが、まぁ詳しいところの突っ込みとかは勘弁してください。  一体、何人の方に満足していただくことができるかこれを書いている現在、もの凄く不 安ですが、楽しんでいただけたなら幸いです。  実は前々から、エロに挑戦したいという想いはありました。  ですが、中々書くきっかけを自分でつくれませんでした。  そして、その度に、水鏡先生……!! エロが書きたいです……という科白が頭をよぎる なんてこともありました。  しかし、実際に書いてみると肉体的というより精神的に疲れました。バンバン書けてる 人はすごい人だと思います。  さて、短編も終わったということで、資料とにらめっこしながら長編の制作へと戻ろう と思います。  拙い文章だったとは思いますが、お付き合いいただきありがとうございました。