「ん〜〜〜わくわくするわね、冥琳♪」 「あ、ああそうだな雪蓮」 「なぁにぃ〜冥琳ってばもしかして怖いの?」 「ああそうだな……」 「?」 ――呉のみんなと肝試し―― こえぇ、すげぇこえぇ…………なぜ、どうしてこんな事になってしまったんだ。 俺の提案で始まった肝試し。 参加者は俺に雪蓮、蓮華、小蓮、冥琳、祭さん、穏、思春、明命、亜莎でちょうど十人。 だから二人一組になる事も提案。クジも俺が作った。ついでに細工を施して。 今夜は肝試しをネタに蓮華をからかっ……もとい、二人っきりになってイチャイチャするんだ! もちろん俺はみんなの事を愛している。誰か一人を贔屓する気なんてない。 でも肝試しを思いついた時点で蓮華で遊ぶ、じゃない蓮華と楽しむべしという天からの啓示が! さすが天の御遣い、さすが俺。 細工の事は話していないけど、さっきこっそり耳元で「期待しててね」って言った時の彼女ときたら…… くぅぅぅぅ!チクショウッなんて可愛いんだ!!! そしてまずは一組目。思春と……俺。 Why? 何をどこでどう間違ったんだ!? 俺の後ろを歩く思春。ううぅぅぅ汗が止まりません。何この殺気!? いつもの比じゃねぇ。幽霊やおばけどころじゃねぇっての。超ホラー。誰か助けてくれ。 このあとの蓮華もコワイんだけど、今はそれどころじゃなく。 「あ、あのししゅヒィッ!?」 頑張って振り向こうとしましたが、出来ませんでした。 刃がく、首に当たってますよ? 「ひょ、ほ、ほんごうなにかようか」 ひょ? 「ふぅ……貴様まさか怖いなどと言うのではあるまいな」 し、思春さん、腕がキマってます。すごく痛いんですが。 「相変わらず軟弱な……仕方ない今日は大目に見てやろう横にいてやるから何か話をしろ私は聞き流すがそれで恐怖を紛らわせるかもしれないからなありがく思え」 俺なにも言ってねぇーーー イタイ、痛いです。横というか背後ですよね? 何をそんなにお怒りに? あぁ、首筋を何か生暖かい液状の、汗とは違うっぽいモノが流れた気がするんですが もしかして切れてませんか? なんでこんなまるで賊に捕まった人質みたいな状態で歩いていかないといけないのでしょうか? 「どうした何を黙っている! 話も出来ないほど怖いというのか自分で肝試しなどと言い出しておいて情けないさっさと歩け!」 ひぃぃぃぃぃいいいいい このまま幽霊になって肝試しに貢献する事になるのでしょうか。 「一刀様のお話に出てきたお猫又さまというのは呉にもいらっしゃるのでしょうか? モフモフしたいのですー」 「ぶぅ〜〜〜シャオは一刀といっしょが良かったなぁ」 「あ、あの、い、いま一刀さまの悲鳴が聞こえませんでしたか?」 「北郷め、自分で言い出しておいて情けないのぉ」 「蓮華さまー知ってました? ここだけの話ぃ、実は思春ちゃんっておばけがにが……ひぅ」 「一刀と思春……ええ良い事だわ……ふふ、仲良くなった二人の姿を私に見せようと、見せつけようというのねかずと………ふ、ふふふフフフ」 「(北郷が何やら企んでいたようだが……ふむ、思春と二人きりになりたかったのか? し、しかし蓮華様が……むむむ)」 「(一刀が目を離した隙に籤いじっちゃったけど、うん、やっぱ私の勘って冴えてる〜面白くなりそっ♪)」 <<一刀的にいろいろと完>>