──真√── 真・恋姫†無双 外史 北郷新勢力ルート:稟拠点之二 一日千秋 ─カナウオモイ、ノゾミノトキ─ ** 「とうとうご主人様に愛して頂いたのですよー」  稟が風からそんな衝撃的な事を告げられたのは、ある晴れた日の昼下がり。  何だか妙に嬉しそうにしている風の様子をいぶかしんだ稟がその理由を問いただした所、 前述の台詞が飛び出したのである。  風は嬉しそうに事の経緯を稟へと教え……その内容に幾度か鼻血を噴いて、風にトントンしてもらう。 「そ、そうですか!……その、それは良かったです。  ……いえ、そんな、羨ましく等は……多少は……いえ、ありませんよ?  ……っと、そろそろ政務に戻らねば。風も一刀様の期待に良く応える様に」  風の惚気とも自慢とも取れる話を聞き終え、早口でそんな台詞を言い残して去っていく稟の姿に、 風は、羨望やら嫉妬やら諦観やら……色々なモノを感じ取っていた。  ……実際の所稟は、己の体質が有るために、そういった事に及ぶ機会は…… 自分には決して無いであろうと考えていた。  だが風にしてみれば、そんな理由で稟には諦めて欲しくは無かった。  自分は一刀に抱かれ、この上も無い幸せを感じることが出来た。  だからこそ、その想いを稟にも味わって欲しい。 「……やれやれ、まったく素直じゃないのですねー」  だから、風は今度もこっそり“余計なおせっかい”を焼きに、一刀の元へ向かうのだった。  ……素直じゃないのは誰なのやら。  ──良かったら今夜、部屋に来て欲しい。  朝議の後、一刀にそんな誘いを受けたのは、風の話を聞いてから数日経った頃。  そしてその、自分にだけ聞こえるように、こっそりと告げられた言葉の意味を、稟は正確に理解していた。  そして理解していたからこそ……それを言われてから夜になるまで、何度噴いたであろうか。 それでも彼女は臆する事無く、今、一刀の部屋の前にいる。  ……もう随分とフラフラになってしまっているが。  コンコンッと扉を叩き、「一刀様、稟です」と声を掛けると、中から「どうぞ」と返事があった。  それに意を決して扉を開き、そっと中へ入ると、部屋は薄暗く、周囲は余り良く見えない。 「……一刀様……?……きゃっ!」  薄暗がりの中へ声を掛けた瞬間──グイッと手を引かれ、おもむろに抱き締められ、 ……無論それが一刀であろうことは解っているのだが、思わず小さな悲鳴が漏れた。 「稟」  案の定一刀の声が聞こえ──その瞬間、唇を奪われていた。  結局の所、彼女が盛大に鼻血を噴くのは、その妄想力に寄る所が大きい。  ならばいっそ、鼻血を噴く暇すら与えなければよいのではないか。  それは以前の、口付けを奪うことに成功したよ事変の経験から来るものであり、  ……今回も、一刀が至った結論である。  要するに、ちょっと強引に行ってしまおう……と言うことだ。  ノックに対して入室を促し、稟が部屋に入ってきた瞬間に、一刀は彼女を抱き締める。  そして、小さな悲鳴が漏れたがそれは軽く無視し……念のため、彼女の名前を呼んで自分であることを示し、 ……問答無用でキスをした。  彼女が我に返る前に、口内を舌で嬲り、蹂躙する。執拗に。  そしてそのままゆっくりと場所を移し、体重をかけ、寝台に押し倒す。  無論唇は離す事無く、彼女が余計なことを考え無いように、濃く、激しく舌をからませ、 ……問答無用で服を脱がせる。  この日のために稟の着る服を脱がせる練習もしたのである。  ……どうやって、とは聞く無かれ。ただ、『協力者:風』とだけ言っておこう。  そして稟を一糸纏わぬ姿にすると、一刀もまた着ている物を脱ぎ捨てた。  ……この段階で、ようやく稟が我に返る。 「か、かかか、かず、一刀様!」  そして状況を把握し、ちょっと……いや、かなり強引な一刀に驚き、顔を羞恥に赤くする。  そんな稟を優しく抱き締め、彼女の耳元へ口を寄せ、 「稟……俺は稟が欲しい。だから……稟が良いなら、しばらくの間頑張って我慢してくれないかな?」  一刀のその言葉に、稟は嬉しそうに微笑みを浮かべて小さく頷き……こみ上げるモノを、必死に我慢していた。 「稟、いいか?……挿れるぞ」 「……はい」  前戯もそこそこにそう言い放ち、固くいきり立った己が怒張を、ゆっくりと、 あまり濡れて居ない稟の中へと埋めていく。 「……いっ……ああ!」 「……稟、痛いか?……辛いだろうけど我慢して」 「……は……い。確かに、痛い、ですがっ……おかげで、鼻血も……引っ込んでしまいました」  こんな時にも、一刀に余計な気を遣わせまいと気丈に軽口を叩く稟に、 そっと微笑みかけながらその髪を優しく撫で、それでも動きを止めない様に、彼女の苦しみを長引かせない様に、 腰を進めていく。 「……うっ……くぅっ……ああああ!」  そして苦しそうな稟のうめきに心を痛めながらも、途中に感じた僅かな抵抗を突き破っていた。 「稟……全部入ったよ」 「はい……一刀様を感じます……」  語りかける一刀の言葉に、稟は荒い息をつき、目尻に涙を浮かべながらも嬉しそうに微笑む。 「……一刀様、私に構わずにどうぞ動いてください」  その稟の言葉に、思わず「でも」と言いそうになるが、それは彼女の気遣いを無駄にする行為であると口を閉ざす。 「……わかった。できるだけ優しくするから」  一刀はそう言うと、初めはゆっくりと、しかし決して稟に余裕を持たせ過ぎ無い様気をつけながら、 徐々にその動きを強めていった──。 ………… ……… …… …  ──結局、二人の行為は、稟の膣奥へ四度目の精を放ち、それに合わせる様に稟が大きく絶頂を迎え、 失神するまで続けられたのだった。  一刀は気を失いながらも、幸せそうに微笑む稟の寝顔に心を暖かくし、胸にかき抱いた稟の暖かさを感じつつ、 それに誘われるように自身も意識を手放すのであった。  ……只唯一、“稟が先に目覚める可能性”をすっかり失念して。  その朝、月はなかなか起きてこない一刀を起こそうと、彼の部屋を訪れていた。  ノックをしてしばらく待ってもやはり反応は無く、仕方が無いなぁ……と苦笑しながらも、 たまにはこういうのも良いかなと、部屋の扉をそっと開け、中の様子を伺った。 「…………………………へぅ」  そこで彼女が見たモノは──  胸から下を真っ赤に染め上げた、一刀の変わり果てた姿と──  鼻から下を真っ赤に染め上げた、稟の有る意味いつもと変わらない姿だった──。  この後、その色々な意味で余りに凄惨な光景に月が立ち直るまで、結構な時を要した事は……押して知るべし。