三国それぞれの平定を成した一刀と蜀の面々。 戦乱の日々は過ぎ去り、平穏を堪能していたある日、 桃香、愛紗、鈴々、星、朱里、紫苑、翠達は一刀に呼出しを受けていた。 「突然だが諸君。俺は魔法が使えるようになった」 しん…と静まり返る7人。 何故か得意満面な顔で腕を組む一刀を前に言葉が出てこないようだ。 そん中、星がズビシッと勢いよく手を挙げる。 「はい、星さん」 「主。その“まほー”とは何ですかな?」 星の質問に「うんうん」「なんなのだ?」等と同意の声が上がる。 「うむ。魔法とはこちらで言う所の妖術に近いものだと思ってくれ」 「妖術ですか…いつのまに習得を?」 「習得って言うか、なんだか突然使えるようになってたんだよね」 ざわつく皆を尻目に次は桃香が手を挙げる。 「はい、桃香さん」 「えーっと、その“まほー”と私達が呼ばれたのって何か関係があるのかな?」 「うん。実はね…」 腕組を解いた一刀の右手に光が集まりだす。 「ちょっと魔法を掛けさせて欲しいんだ!」 言うが早いか、集まった光の塊を愛紗へと投げつける。 「なっ!」 反射的に防御の姿勢をとる愛紗の体へ光は吸い込まれていった。 「ふぅ…大丈夫だよ愛紗。人体への影響は無いから」 「そ、そう言う問題ではありません!  突然この様な事をされてはいくら私があなた様を  愛 し て い る  とはいえ、怒りますよ!」 「……………………」 唐突な告白にその場にいる全員(愛紗以外)の口が大きく開いた。 「あ、愛紗さん、今なんと?」 「ですから、いくら私でも怒りますと」 「い、いや、その前…」 「へ?……ああ。私がご主人様を愛していると言う事ですか?何かおかしかったですか?」 「しゅ、集合ー!愛紗以外全員集合ー!」 一刀の号令に口を開いて固まっていた全員が意識を取り戻し、手招きをしている一刀へ駆け寄り円陣を組む。 愛紗は訳が分からないといった風に首を傾げていた。 「(どどど、どうなってんの?)」 「(はわわ!愛紗さん積極的です!)」 「(あれだけ堂々と言っておいて照れもしていないのはおかしい……と言うか主、その慌て様は今回初めてお使いなされたのか!?)」 「(え、うん。そうだけど)」 「(うわ…事も無げに…)」 「(でもご主人様、さっき人体には影響無いって言ってたよね?)」 「(うん。なんて言うか、こう、感覚的に分かる?みたいな?)」 「(疑問系じゃねーかよ!)」 「(お兄ちゃん…流石にそれはヒドイのだ…)」 「(ま、まぁ皆落ち着いて。とりあえずもう少し様子を見ましょう。ご主人様、お願いできますか?)」 「(よし。まかせろ)」 一刀達は円陣を解き、愛紗へと向きなおった。 「なぁ愛紗。俺の事どう思う…?」 「…? どうと言われましても、我らが主にして、身も心も捧し愛しき御人…で御座いますが?」 「しゅ、集合ー!愛紗以外全員集合ー!」 集合と言ってもすぐ傍に全員居た為、その場でまたもや円陣を組む。 「(どうしよう皆!俺嬉しい!)」 「(そんな事言ってる場合じゃねーだろ!)」 両手で顔を覆う一刀に翠がツッコミをいれる。 ちょっとムッとしているのはご愛嬌だ。 「(あ、あの!)」 「(ん?どうしたの朱里ちゃん)」 「(多分なんですけど、ご主人様の“まほー”とは掛けられた人の性質を変化させるみたいです)」 「(おお、なるほど。それならば合点がいくな)」 朱里の推察に各々が感心していると一刀の背中に柔らかい何かが圧し掛かってきた。 「いい加減にして下さいませ!私だけ除け者にして…寂しいではありませんか」 その正体はいつのまにか近づいて来ていた愛紗だった。 ご丁寧に一刀の首へ腕を廻し、後ろから抱きつく形となっていて大きな二つの膨らみを背中で感じ取れた。 「ちょ、ちょっと愛紗ちゃん!それはやりすぎじゃ…!」 「ど、どうされたのですか桃香様?私はただ構ってもらえなくて寂しかっただけなのですが…」 その愛紗の言葉に嫌味など微塵も感じられなかった。 ただ純粋に寂しかったのだと分かる程にしゅんとしている。 もし犬耳が付いていたなら確実に垂れていただろう。 「まあまあ桃香様。これも全て“まほー”の仕業…ひいては主の仕業故、愛紗をお攻めになられますな」 「う〜ん…確かにそうだね。ご主人様のえっち!」 「にゃはは〜。お兄ちゃんはえっちなのだ〜!」 最近教わった天の国用語が大活躍だ。 言い返すことが出来ない一刀はただ苦笑いを浮かべている。 「さて、それでは次は私目の番ですかな?」 「お、星も魔法を受けてくれるのか?」 あまりの可愛さに背中の愛紗をそのままにしつつ一刀が尋ねる。 「ええ。この様な面白きこと、逃す手はありますまい?」 「よっし!それじゃあ行くぞ!そぅりゃ!」 右手に集めた光を星へと放つ。 愛紗と同じ様に光が星の体の中へと消えていった。 「ふむ…」 外見、心情共に変化は無い。 二言三言会話をしてみたが、特におかしな所は無かった。 「むぅ…何が変わったというのだ?」 「う〜ん…それは俺でも分からないな…」 「ま、その内分かる事でしょう」 そう言って星が一歩踏み出した瞬間 「ふぎゃ!」 “何も無い場所で”つまづき、顔面から盛大に転んでいた。 「せ、星?大丈夫か!?」 「は、ははは…いやはや、お恥ずかしい所をお見せ致しましたな。この程度なんの心配もいりませぬ」 そう言って立ち上がり、前についた埃を払う。 「せ……星……」 「はい?」 前を見ると、小刻みに震える一刀がこちらを指差していた。 その一刀の肩越しに見える愛紗の顔も信じられないという表情をしている。 「…え?」 顔を下に向けるとそこには………純白の下着が露になっていた。 「へ?え?………きゃあああああ!!!」 前を両腕で隠しながらその場に座り込む星。 埃を払った時に“ついつい”力をいれてしまい、前をはだけてしまったようだ。 「これは…これはどういう事なのですか!主!」 少し涙目になりながら一刀を見あげる。 しかし、肝心の一刀は目を閉じ何やらブツブツと呟いている。 背中に感じる二つの「おにくさま」と先ほどの純白下着で『かずとJr.』が覚醒しようとしていたのだ。 「主ぃ!」 星の悲痛な叫びに意識を呼び戻す一刀。 既にはだけた服は正され、じっと見つめていた。 「す、すまない。とりあえず星、君はドジッ子属性がついてしまったみたいだ」 「ドジッ子…?」 「そう。事ある毎に何かしら不運に見舞われてしまう体質の事なんだ」 「そ、そんな!人体への影響は無いと仰っていたではありませぬか!」 肩をいからせ一刀へと詰め寄る。 その時 一刀は直感した。 この後に起こる恐ろしい(お約束の)ハプニングを… 「せ、星!止ま…」 「………あ」 またもや“何も無い場所”でつまづく星。                            ハプニングを避けようと体を動かす一刀。 倒れてなるものかと掴まるものを求めて伸ばされる腕。                            誤算。 伸ばした腕が掴んだもの…それはズボン。                            背中に愛紗が抱きついたままで動けなかった一刀。 時既に遅し。顔面を強かに打ちつける星。                            まだ静まっていないJr. ぱおーん。。。 つづく…